特撮ヴィラン語り ~その155 三面怪人ダダ(パワード版)~
2021年、恐らく特撮ファンの大部分がざわついたトピックのひとつがこちら。
「ウルトラマンパワード」版のダダがTVシリーズにリバイバル登場したこと
元々この「ウルトラマンパワード」、前年の「ウルトラマンG(グレート)」って海外制作のシリーズなんですが、基本的にそっちのキャラって日本国内では再登場しなかったんですよ。
ところがその封印が遂に「ウルトラマントリガー」で解除。しかも登場したのは前年の作品「ウルトラマンZ」とのコラボ話という、なんという破格の厚待遇。まぁ大注目の怪獣となりました。
さて「ウルトラマンパワード」はアメリカで制作されたシリーズですが、基本的には初代ウルトラマンのリメイクに近い構成になってます。
登場する怪獣もバルタン星人やゼットンなど初代ウルトラマンと戦ったキャラで、設定などはあまり大きく変えていないのが大半。しかしこのダダだけは完全な例外で、まるきり設定が変わっております。
まず初代ウルトラマンと戦ったダダ。こちらはダダ星からやってきた宇宙人です。
3つの顔を使い分けて地球人を撹乱させながら暗躍するこいつの目的は、あらゆるものを小さくする光線銃を使って人間を縮小、ダダ星に持ち帰り研究材料に使うことでした。
しかしウルトラマンにそれがバレ、抗戦を試みるも全っ然刃が立ちません。縮小光線銃を使って小さくしても、ウルトラマンは自由に体のサイズを変えられるんで何の意味もない。
はいそうなんです雑魚なんです割と
しまいには母星に連絡を取り、「ダメだ!ウルトラマンは強い!」と上司に泣きついて逃げ帰ろうとするも完全に見捨てられる始末。
はいそうなんですブラック企業のヒラ社員なんです割と
まあこんな情けない設定を引き継ぐわけにはいかんですよねさすがにね。
そんなわけで「ウルトラマンパワード」であてられた設定というとーー
ある会社で、イジメに遭って解雇されそうになったシステムエンジニアが腹いせから社内のコンピューターに感染するウイルスを制作します。
するとそのウイルスが突然変異し、なんと人間を襲う殺人プログラム:ダダに変貌。現実世界に出るために人体を分解・吸収して肉体を得ようとします。肉体を奪われた人間はもちろん消滅。皮肉にもそのエンジニア本人が最初の犠牲者になってしまいます。
ダダに感染したコンピューターの画面には「DADADADA」の羅列が表示され、「ダダァアアアア」というノイズ混じりの電子音声が響き……
あれ、なんか怖いぞこのダダ?
いざ巨大な肉体を得てパワードと戦うも、あくまでそれは仮の肉体。本体はデータなので、肉体が倒されても大元が無事な限りは実質不死身。
パワードはとっさにコンピューターの電源を管理するビルを破壊することでダダの活動を封じたんですが、あくまでそれも応急措置。ウイルスを消したわけじゃないので、ダダはまたいつ現れるか……という不穏な結末を迎えました。
なんかめちゃくちゃ株上がりすぎじゃねダダ?
そんなパワード版のダダが、なんと今年復活。
令和になりさらに一般に浸透したデジタル化社会という恩恵を受けて大規模なシステム障害を巻き起こし、「ウルトラマンZ」の世界から投下された防衛ロボの特空機も乗っ取って猛威を奮う様はまさに水を得た魚。昔以上に厄介で恐ろしい敵として2人のウルトラマンを苦しめました……いやすごい出世ですよこれは。
ブラック企業のヒラ社員からの華麗なる大逆転
エッセイ本出せるやつだよマジで
matthew
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