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特撮ヴィラン語り ~その69 バーンスマッシュ~

今回は「仮面ライダービルド」から第2話に登場したバーンスマッシュをご紹介。こいつは久しぶりに「悲しい改造人間の宿命」を真っ向から仮面ライダーで描いた一体でした。

そもそも「仮面ライダービルド」って、近年の作品では珍しいぐらい色々と攻めたテーマだよなとは思ってて。真っ向から兵器開発や科学の発展を題材にして、その先にある戦争と平和を軸にしてる。その延長として「人間兵器」にさせられた犠牲者の話も触れられていて。
このバーンスマッシュってその悲哀を序盤からガッツリ突き付けてきた怪人だと思うんです。

まりもっこりみたいなゆるい見た目に騙されたら痛い目見るよマジで

「ビルド」における怪人:スマッシュとはそもそも、火星で発見された謎のオーパーツ「パンドラボックス」から解放されたエネルギーの影響により発生した現象の一つ:ネビュラガスを体内に人為的に取り込ませた人々が変身した怪人。そうしてスマッシュを作り出す人体実験をベースにしながら秘密裏に日本を牛耳ろうとする裏の組織:ファウストが暗躍するのが主なストーリーです。
仮面ライダーがスマッシュを撃破した後でそのネビュラガスの成分をフルボトルという小瓶に吸収させることで、ようやく元の人間に戻ることが出来るのですが、そのネビュラガスとの適性が低いと実験に失敗し、スマッシュになることもなくその人は死亡してしまいます。
このバーンスマッシュはまさにその適性:ハザードレベルが低く、ひとまずスマッシュにはなっているもののどのみち死ぬのも時間の問題という失敗作。
しかもその正体は、劇中で冤罪をかけられ死刑寸前のところを脱獄した準主人公:万丈龍我の恋人である香澄さんです。

序盤からとんでもねぇ爆弾ブッこんで来やがったよビルド

万丈を保護した天才物理学者の主人公:桐生戦兎が何とか仮面ライダービルドに変身して彼女を救おうとスマッシュの成分を分離するも、その時点ですでに香澄は死亡寸前。万丈の目の前で消滅して帰らぬ人となってしまいます。
彼女から分離したスマッシュの成分はドラゴンフルボトルに変化するのですが、後に万丈は形見でもあるこのフルボトルを使って第2の戦士:仮面ライダークローズに変身するようになり、ビルドの良き相棒として活躍します。
亡き恋人の忘れ形見を力に変えて戦うってもう、文脈がエモいじゃないですか…そんな展開が序盤から描かれるという重厚なドラマが「仮面ライダービルド」における一つの魅力なんじゃないかと思ってます。

その重厚さを打ち消すほど軽快なセリフの応酬もまあすげぇんだけどね

さてデザインに目を向けますが、スマッシュって実はフルボトルのモチーフを「隠す」コンセプトがあるみたいなんです。
例えば第1話で登場したストロングスマッシュは岩を握る拳のような見た目ですが、そこから生み出されたのは力自慢のゴリラフルボトル。
分身能力を持つミラージュスマッシュは両肩と頭部が同じ形をしてるんですが、そこから抽出された成分は忍者のフルボトルに変化します。
このバーンスマッシュは、まるで火の玉のような頭部が特徴。ドラゴンといえば炎を吐き出すわけですから、なるほどって感じですね。

matthew

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