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「東京観光日誌」#25|東銀座|歌舞伎座

3月16日(水)時計は17:30前。
随分日が延びたな~まだ全然明るい。京橋の「国立映画アーカイブ」から歩いてきて、ここは東銀座・・歌舞伎座前。(両手を腰に当てて)改めてここを眺めてみる。もう何十年も前からこの前を通り続けていた(写真下)。

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しかし、中には一度も入ったことがない。
建物の存在感はすごいが・・そもそも歌舞伎には興味がなかった。正直なところ今も歌舞伎についてはよく知らないので、今晩の公演が楽しめるかどうかは・・わからない。ただ、言えることは、全く知らない世界を覗くということが楽しい。
もう少しすると暗くなり始めるだろう。この時期、中では食事ができないようだし、どこかで食べてから中に入ろうと思う。
チケットを見ると開演6:30PM。開場は開演の40分前予定と書いてある。

・ 蕎麦屋のためにも

軽く食べようと思っていたので、蕎麦は都合が良かった。

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歌舞伎座の裏通りに「歌舞伎そば」(写真上)というのがあったので、入ってみることにした。中は立ち食い蕎麦のような内装でカウンター席のみであった。入り口近くの自動販売機で食券を買い。カウンター越しを通って、一人だけいた先客から間を空けて食券を渡して席に座った。
先客と店主らしき人とは知り合い同士のようで、会話が自然と耳に入ってしまう。

「値上げしないとやっていけないじゃない・・」と客。
「去年11月に上げたばかりだからな・・上げられないよ・・」と店主。
「だけどそば粉とかあの辺から相当輸入しているっていうだろう・・」客。
「ああ、そうだな・・仕方ねえよ・・今は無理無理」店主。

ロシア・ウクライナの戦争が歌舞伎座の裏にも及んでいるとは思いもよらなかった。そそくさとカウンター越しに置かれた「ざるかき揚げそば」(520円)を手前に持ってきて、まずは撮影(写真下)。

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玉ねぎの天ぷらがさくさくに揚がっていて香ばしい。そばも普通に美味しい。これはロシアかウクライナのそば粉かな・・と思いながら、ありがたくいただく。立ち食い蕎麦では出さない蕎麦湯もカウンターに置かれて、最後に残った蕎麦汁に混ぜてしっかりいただいた。

「ご馳走さま」と立ち上がると・・すかさず、
「食べた後は上に乗せてもらえませんか!」とやや怒気を放つ店主。
「え? あ、そうですか・・」と食器をカウンター越しに上げた。
食べた周辺には「忘れ物ご注意」の貼り紙だけで、注意書きはさっと見、見当たらなかった。
ということは・・ここは常連さんの来るお店で、そういうことは暗黙の了解になっているのか、またはどこかサプライズで貼ってあるのか、よくわからなかったが、何もそんな鋭い目をして言わなくても・・と思った。
実際は、食器は上げていこうと思ったけど、何も書いていないので余計なことかと思って控えたのだ。そう伝えてあげたかったが、きっとロシア・ウクライナの戦争で気が滅入っているのだ、そっとしておこう。
とにかく早く戦争は終わらせてほしいものだ・・お蕎麦屋さんのためにも。

・ いよいよ開場

開場には間があったので、敷地内の「歌舞伎稲荷神社」を撮影(写真下)。大入り祈願、安全祈願のためにまつられた神社らしい。

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当初は劇場内部にあって歌舞伎座の観客でないと参拝できないということだったが、2013年に行われた第5期改築でここに遷座となり、誰でも参拝できるようになったとのこと。御朱印もいただけるらしい。
この先に「お土産処木挽町こびきちょう」(写真下)があり、歌舞伎関連商品が所狭しと陳列されていた。

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さらにその奥には「喫茶室 ひのき」があって、お茶はもちろん食事もできるようになっている。ここで食べても良かったね。

ちなみにここ歌舞伎座へのアクセスは東京メトロ日比谷線・都営浅草線「東銀座」3番出口が最も近い。建物に直結している(写真下)。東京メトロ銀座線・日比谷線の「銀座」駅からだと徒歩5分程度。

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さ~て、人が集まってきている。いよいよ開場かな(写真上)。

・ 歌舞伎を見る前に

歌舞伎の公演は一日3部行われていて、第一部は午前11時頃。第二部は午後2時過ぎ。第三部は6時過ぎ(詳しい時間はその月の公演で要確認)。それぞれ演目も違う。
「三月大歌舞伎」はこちら(写真下)。

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「第一部」は「新・三国志 関羽篇」。関羽には市川猿之助、張飛には市川中車(香川照之)と私でも知っている役者がいる。あれ?チラシの左中段に“石橋正次”って・・あの「飛び出せ!青春」に出ていた俳優だ。さすがに歳を取ったが凛々りりしい印象は変わらない。調べてみると「現在は舞台に主な活躍の場を移している」と書いてあった。歌舞伎役者だけじゃないんだ・・ここに出る役者は。それとも、石橋さんが歌舞伎役者になったとか・・?
本当はこの第一部の公演を観たかったのだが、ネット販売の1日目にして3階A席B席とも全席売り切れ。それより上の席はあるものの手が出せなかった。参考までに「三月大歌舞伎」の料金はこのようになっている。
 1等桟敷さじき席:17,000円
 1等席:16,000円
 2等席:12,000円
 3階A席:5,500円
 3階B席:3,500円
3階A席B席のチケットが購入できなかったのも、会員には優先権があって先行販売されているため人気の公演の3階席はすぐに売れてしまうからだ。
まず最初に「ゴールド会員」。その次に「特別会員」、そして「松竹歌舞伎会会員」。ようやく最後に一般販売となるので、庶民価格で観る3階席がすぐになくなってしまう。
言い方を変えれば、常連さんを大切にしているということでもある。(なお、現在営業されていない「一幕見席」というのがあるらしい。料金は2千円以下のようだ。)

「第二部」は「一. 河内山」(片岡仁左衛門)「二. 芝浜革財布」(尾上菊五郎)となっている。

「第一部」が取れなかったので、スケジュールを考えて「第三部」を選ぶことにした。演目は「一. 信州川中島合戦」と「二. 石川五右衛門」だったので、「第二部」よりは馴染みがありそうな内容だ。

開演40分前の5:50開場。外で待っていたお客が中に入っていく(写真下)。

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まずは1等席の1階を覗いてみる(写真上)。思った通りの景観だ。
下へ行く通路があったのでさっと行ってみると、そこにはお手洗いとロッカールームがあった(写真下)。

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1階に戻って、脇の方から一枚。おそらくここが桟敷席だろう(写真上)。舞台と客席両方がよく観える。ここは歴史を通じ“高級な観客席として設けられた席”とあった。しかしちょっと首が疲れそうな気もするが。
おっと、案内係の人がこっちを見ている・・あまりふらふらしていると不審人物に見られるかも。さっと撮って移動しよう。

軽快にエレベータで2階へ移動(写真上)。

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ここも景色がいいね(写真上)。でも、正面の方が鑑賞するバランスがいいように思う。移動してみよう。2階席の正面の位置はこんな感じ(写真)。

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結構高いな・・。
会場から出ると、1階ロビーを見下ろせる吹き抜けがあった(写真下)。

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会場側の壁面には2体のトルソーを発見。写真右が「九代目市川団十郎之像」、左が「五代目尾上菊五郎之像」。この像はどちらも朝倉文夫作と記されていた。そうだ。近々「朝倉彫塑館」にも訪れてみようと思っている。
では、3階へ上がってみよう(写真下)。

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まずは自分の席を確かめてみようか・・(写真下)。

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「3階6列24番」(3階A席5,500円)ここが私の席だ(写真上)。おお・・なかなかの傾斜。つまずいたら転げて簡単に下に落ちそうだ。
でも、思ったより見晴らしは悪くない。舞台左側の出っ張った廊下の部分が「花道」だと思うが・・あそこがここからだと観にくいことぐらいか・・役者の表情まで観ようと思ったら双眼鏡があるといいかも。
会場では案内係の人たちがプラカードを持って注意を呼びかけている(写真下)。

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コロナ感染対策だと思うが、かなり念入りだ。「会話をお控えくださいませ」とあり、反対側には「マスクの着用をお願いいたします」と「お食事はご遠慮ください」か・・きっと中で食べていた人がいたんだろうな。

・ 初体験の二つの演目

そろそろ始まりそうだ・・では、チラシに書いてある解説だけここに記しておこう。

「一. 信州川中島合戦[輝虎配膳]」
時は戦国時代。越後の大名長尾輝虎(後の上杉謙信)は、敵対する武田信玄の軍師山本勘助を味方につけようと画策します。家老の長江山城守の妻唐衣が勘助の妹であることを利用し、勘助の母越路と妻お勝を館に呼び寄せると・・。史上名高い上杉謙信と武田信玄の合戦。壮麗な戦国武将の館を舞台に、近松門左衛門がドラマチックに描いた場面は、自ら配膳を運ぶ輝虎をはじめ、多彩な登場人物が緊迫感あふれるやり取りを繰り広げます。
引用元:「三月大歌舞伎」チラシ裏面

長尾輝虎には中村芝翫しかん。「晴天を衝け」で岩崎弥太郎役の方だ。他にはお勝に中村雀右衛門、長江山城守に松本幸四郎、この後の「石川五右衛門」では主役だ。それから唐衣に片岡孝太郎、最後に越路に中村魁春、とあった。登場人物は少なめだが、きっと有名な歌舞伎役者で代表的な演目だろう・・しかし・・さっぱりわからなかった。会話がなかなか聞き取れないというか、言葉がわからない。これは手ごわいな。

休憩時間になっているので、少しぶらつこう。
ここにはお土産屋さんが連なっている(写真下)。

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では、次の演目へと参ろう。

「二. 石川五右衛門」
天下の大盗賊、石川五右衛門は、将軍の証であるご正印を盗むため、勅使に化けて足利邸に乗り込むと、饗応役として現われた此下久吉と遭遇します。
実は二人は、かつて同じ盗賊仲間であった幼馴染み。久しぶりの再会を懐かしむ二人ですが・・
豊臣秀吉の治世に天下を揺るがした実在の盗賊をモデルに様々な脚色がなされ、江戸庶民のヒーローとなった石川五右衛門。本作は先行作からの名場面や人気のセリフを再構成した、まさに集大成といえる作品です。
引用元:「三月大歌舞伎」チラシ裏面

コロナ前にはここぞという場面で出て来たであろう「大向おおむこう」。これは「待ってました!」「成田屋!」「二代目!」等のような掛け声のことで、「大向こう」と呼ばれる特定の席に座っている常連の人によるものだそうだ。残念ながら、今回それを聞くことはなかったが、そんな掛け声があってもいいような場面もあった。
それから、「つづら抜け」の宙乗りはさすがに目が覚めた。3階席の方まで上がって来たのでワクワクした。最後に石川五右衛門(松本幸四郎)が、チラッとこっちを見たような気がして、一層拍手に力が入った。

最初の回よりは動きが多かったせいか、物語の展開も多少わかったような気がしたが、それでもセリフがよくわからないので・・楽しむためにはある程度知識が必要だと思った。

これが私の歌舞伎初体験だ。
さあ、帰ろう。長い一日だった。

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歌舞伎座
住所:東京都中央区銀座4-12-15
電話:0570-000-489(10:00~17:00)*チケットホン松竹
   03-6745-0888
チケットWeb松竹(24時間受付/発売初日は10:00から)
歌舞伎公式サイト「歌舞伎美人(かぶきびと)」:https://www.kabuki-bito.jp/
松竹ホームページ:https://www.shochiku.co.jp/

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