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野菜マシ、ニンニク、アブラで。

先日初めて二郎系インスパイアラーメンを食べに行った。

大のジャンク好きとして以前から二郎に興味はあったが、うず高く野菜が積み上げられた山盛りのビジュアルに、自分には到底食べきれない代物であると決め込んでいた。
また「コール」や「ロット」という独特のルールがあることを聞き、なんだか素人が興味本位で訪れてはいけないラーメン屋であるような気がして躊躇していた。

しかしあるとき友人が「二郎系インスパイア」にいってきて、とてもよかったことを教えてくれた。
二郎系インスパイア(以下インスパイア)とは、その名の通り二郎にインスパイアされたラーメン店のことであり、二郎の骨格をレペゼンしつつも、店ごとにメニューやルールにアレンジを加えている店である。
インスパイアは直系の二郎よりもルールが優しい店もあり、初心者は行きやすいとのことであった。

そこで先日、満を持して旦那氏と、インスパイアを教えてくれた友人夫婦の4人で、インスパイアラーメンを食べに行った。
訪れたのはインスパイアの中でも有名な「鷹の目」である。
13時前に店に着くと既に店外に4~5人が並んでいた。
鷹の目は季節メニューやまぜそばも人気とのことだが、やはり初インスパイアとなれば、ここはノーマルのラーメンを頼みたい。
ラーメンはミニ、小、大のサイズから選ぶことができた。
それぞれ麺の量は200、300、400グラムである。

ミニで200ってすごない?w
麺料理って普通1人前100グラムでちょっと多いかなって感じるくらいだよね?
ちなみに私は30代女性で、食い意地は張っているが、食事量はいたって平均的だ。
つまり大食いでもなければ小食でもない。
麺だけで200グラムは、本来であればちょっとビビってしまう量だ。

しかし私はここでビビらなかった。
なぜなら麺の量は調節できることを事前に予習していたからである。

ミニの食券を買って列に並んでいると、店員さんが食券を回収しにきてくれた。
食券を渡すとき、すかさず「麺少な目でっ」と早口で伝えると、
「50gずつ調整できますがどうしますか?」と優しく聞いてくれた。
初心者なら100gが妥当かと思いつつも、せっかくきたのだから、少しは苦しい思いをしたいと思い、150gにしてもらった。
50g減ったぐらいでそんなに変わらないような気もしたが、まぁ気持ちは大事だ。

食券が回収されてから、10分も待たずに店内にはいることができた。
4人で訪れたため、まず私達夫婦の2人が先にカウンター席に通されたが、後に友人夫婦がその隣に通され、4人で並ぶように店員さんが席を配慮してくれたと思われる。店員さんありがとう。

着席してカウンター越しに厨房をのぞくと、すでに注文を受けていたラーメンがならんでおり、あとはトッピングを待つのみの状態となっていた。
さすが、オペレーションがしっかり考えられている。

「1番のお客様トッピングどうしますか?」

厨房のお兄さんが私に問いかけてきた。

来た。コールだ。

これが二郎特有のコールと呼ばれるものであり、インスパイアにも当然継承されている。
このコールがなかなか初心者には難解なシステムで、咄嗟にこたえることができず、もごもごしてしまうことが多い。

しかし私は恐れなかった。
なぜなら事前にコールの予習をしていたからである。

このコールも店によって異なるのだが、
鷹の目ではラーメンには「ニンニク、野菜、アブラ、辛揚(ピリ辛の天かすみたいなもの)」が「マシ」まで無料トッピングできる。
ちなみに、野菜はデフォで入っているが、ニンニク、アブラ、辛揚は、入れてといわないと入れてくれない。

この4種類のトッピングの量をどうしますか?
というのが店員さんからのコールなのだ。

これにレスポンスするには、量について以下の選択肢がある。
「抜き、少な目、アリ(※)、マシ、マシマシ(マシマシは+50円)」
つまり、4種類のトッピングを5段階で調整できるのだ。
(※)アリというコールはなく、入れて欲しい場合は「ニンニク」「アブラ」といえば普通の量入れてくださいという意味になる。
抜きにしてほしい場合は「ニンニク抜き」でも伝わるが、何も言わなければ抜きになる。
ただし野菜を抜きにしたい場合は「野菜抜き」という必要がある。

私は前日夜から何度も繰り返し、列に並んでいるときでさえもつぶやいていたコールを涼しい顔でさらりと答えた。
「野菜マシ、ニンニク、アブラで。」

辛揚のトッピングがあるのはリサーチ不足で当日知ったため、もう応用が効かず、辛揚抜きのトッピングになった。
あのうず高くもやしが積み上げられたビジュアルをこの目で拝みたい、という欲望もあり野菜だけはマシにした。

そして、着丼。
ひぇ~、こりゃすげぇや。。

大盛り野菜にツヤツヤのアブラ、極厚チャーシューだ!

マシはいわゆる最大盛りではないが、それでもこのビジュアルである。
生唾をゴクっとのみこんだ。

いただきます。
まずはスープから。
うまい。想像していたよりも割とシンプルな塩味だ。
続いてもやし。シャキシャキでおいしい。
味が足りなければ卓上の調味料で味をつけることができる。
そして麺。特有の極太わしわし麺。
鷹の目の麺の形状はストレートに近く、小麦の香りがしっかりする。
チャーシューは極厚でほろほろ柔らかい。

う、うますぎる。。
これはジャンク天国だ。。

憧れの天地返しも経験し、すべてが初めてのキラキラした瞬間を楽しんだ。
麺の量を少なくし、マシにしたのも野菜だけだったので、量的には問題なかった。
目の前のカロリーと欲望の塊に無我夢中で喰らいついた。
ドーパミン、アドレナリン、どばどばである。

しかし、年齢には抗えないのか、途中から脂の猛追を受け、飲み込むスピードが遅くなり始めた。
ただでさえ食べるスピードはもともと速くないが、4人中ほとんど1番に食べ始めたにもかかわらず、結果的に私が1番最後まで麺をすすっていた。

確実にロット乱しだ。

本家二郎であれば怒られていたかもしれない。

焦りながらも、ヤるかヤられるかの死闘をなんとか制し、ご馳走様でしたと器をカウンター上の台にあげると、「ありがとうございましたー」とお兄さんが笑顔で返してくれた。
ちんたら食べていた罪悪感と胃にたまった脂が、お兄さんの笑顔ですっと溶けていくのを感じた。

先に食べ終わっていた3人と店の外で合流し、お互いの健闘を称えあった。
4人で飯を食べにきているのに、バラバラに食べ始め、バラバラに店外で合流するというのもなんだか不思議で面白い感覚だった。
そして食べたあと、満腹で苦しいのになぜか爽快感がある。

某You tuberが「二郎はスポーツ」といっていたが、まさにその感覚に近い。
苦しいけど、食べきった達成感、おいしかった満足感、ほどよい疲労感。

ろくすっぽスポーツを経験したことのないもやしっこが何いってんだという感じだが、この感覚をまた味わいたいと思えた。
そして修行を積み、いつの日か本家二郎の門戸を叩きたい。

願わくば、全マシマシで。

おすすめの二郎系、インスパイア系、あれば教えてください。
マツザワの二郎への挑戦は続く。。

追記:二郎系というのは二郎直系ののれん分け店で、二郎系インスパイアというのは、直接二郎に関係はないけど、二郎をレペゼンしてオリジナルラーメンを出しているお店のことだそうです。

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