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クレーンゲームというエンタメ

2024年ももう少しで終わろうとしているが、今年自分の中で一大旋風を巻き起こしたものがある。
それは、クレーンゲームだ。

クレーンゲームとは、いわずもがなゲームセンターに設置されている娯楽機器であり、2本ないしは3本のつめで景品をつかんでゲットする、アレである。

なにを隠そうマツザワ、この歳になるまでほとんどクレーンゲームで遊んだことがなかった。

遊ぶ機会はたくさんあったのだが、とれるかもわからない景品のために小銭を出すなど、無駄遣いでしかないという気持ちと、景品を取れなかったときのショックを想像し、積極的に遊んでみようという気が起きなかった。
ノリでトライしたとしても、せいぜい1~2回やってあきらめていた。

ことの発端は、旦那氏に連れられてホビーショップを訪れたときである。
ふらふらと入った店内の1階がゲームセンターになっていた。

旦那氏は趣味のミニ四駆の部品をみたいと足早に店舗の2階へ駆けあがってしまい、特に何も用がなかった私はしばらくゲームセンターをぶらついていた。
特に遊ぶつもりもなかったが、あまりにも暇だったので暇つぶしになにかゲームをやってみようという気になった。
車の中に財布を置いてきてしまっていたので、わざわざ2階の旦那氏に2000円を借りに行き、1階へ戻った。

さぁ何をやろうか。

当時(今も)おぱんちゅうさぎとんぽちゃむにはまっていた私は、手始めに1回100円のおぱんちゅないし、んぽちゃむのクレーンゲームに手当たり次第に小銭をつっこんだ。
今までほとんどクレーンゲームをやったこともないので、コツや極意などを知る由もなく、適当にアームを動かした結果、あれよあれよと10分もたたないうちに1000円をすってしまった。
もちろん獲得品ゼロである。

クレーンゲーム容赦ねぇ。

この調子だと、時間を持たせる間もなく有り金をすべてすってしまうと悟った私は、作戦変更し、1回10円でお菓子を獲得することができるエリアに移動した。
1回10円なら、失敗してもダメージが少ない。

そうして始めた10円クレーンで私はあろうことか好成績を収める。

めっちゃお菓子とれるやん!!

何度かやるうちに、獲得口付近につみあがったお菓子に適当にアームをポトンと落とすだけで、アームでつかまなくても山が崩れてお菓子が落ちることを学んだ。(学び方が猿)
とれるお菓子はあめとかグミとかカルパスとか、正直しょうもないお菓子であった。
それでもとれると嬉しい。
旦那氏が2階から降りてくる間、200円程を費やし、小さい紙コップ1杯くらいのお菓子をゲットした。

200円相応のお菓子かといわれると正直微妙である。
しかしこの成功体験を機にマツザワのクレーンゲーム熱が爆発する。

家に帰るとYoutubeでクレーンゲームのコツや裏技の動画を見漁った。
なるほど、プロはそうやってとるのか。
動画をみて、外出先で近くにゲームセンターがあればコツコツ通って実践した。

根が真面目なのである。

今までだったら絶対トライしなかったであろう大物にも挑戦した。
日に日に家におぱんちゅのぬいぐるみが増えていった。

見方が変わると、考え方も変わる。
今までクレーンゲームに対して、無駄遣いだし、景品が欲しいのであれば普通に買えばよいと思っていた。

正しい。
これは誰も覆すことのできない定説であり、真理である。
そもそもゲームセンターが得する場所であったら、とっくに世の中のゲームセンターは潰れている。

しかし、そうではない。
クレーンゲームはあくまでエンタメなのである。
景品の獲得はあくまでゲームをしたあとについてくるおまけであって、
クレーンゲームは景品獲得までの過程を含めてクレーンゲームなのである。

お金を入れる前からゲームは始まっている。
まずは品定めだ。
取れない設定の景品はいくらつぎ込んでもとれない。
角度はいけそうか、景品の形はどうか。
いけそうだと思ってお金をいれたら、アームの強さを確認し、何回で獲得するかの見立てをたてる。

初心者が陥りやすい勘違いだが、クレーンゲームは1回で獲得できることはほぼない。
あり得なくはないが、あったとしたらそれはウルトララッキーである。

ほとんどが数回かけて獲得口にひきずって落とさなくては獲得できないが、このゴールまでの道筋の算出が異常に楽しい。
そして自分の算段通りに獲得できたときの喜びは一潮である。
ドーパミンドパドパである。
己の戦術が正しかったと高まる自己肯定感、そして景品を獲得できたことの喜びにしばらく浸ることができる。
このようにして得られる快楽は一種のナルティシズムと揶揄されるかもしれないが、それでも構わない。

そして、惜しくも景品を獲得できなかったとしても、それはそれで一興なのである。
何も景品を得られなかったということは、つぎ込んだ金はどぶに捨てたようなものである。
そのお金があれば普通になにか買えたね。。とも思える。
しかし、そのしょうもない後悔も含めてエンタメのワンセットである。

次はもう少し早めに見切りをつけよう。
この形の景品は取るのが難しいんだな。
どうやればとれたのかな。
いや~惜しかったね。

スポーツも勝つことがすべてではないように、
クレーンゲームも負けたことでしか得られない感情と学びがある。

負け戦の次の回はやや予算が減るが、そうやって己の懐事情と相談して遊ぶのも楽しい。
自分で働いて稼いだ金を、しょうもないことに使うことが楽しいと思えるようになったのは、成長か、幼児返りか、はたまた判断力の老化か。

エンタメとしてのクレーンゲーム、最高である。
ただ、総じてしょうもない無駄遣いであることは否定するまい。

追記:飲み会のあとほろ酔いでやるクレーンゲーム、とっても楽しいです。

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