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最初の一振りの当時と今

拙宅の最初の一振りである脇差、号・白雨(しらさめ)を買った時のお話は以前の記事にも書きましたが、今日はその時と今を考えてみようというお話です。↓以前の記事

話題のきっかけはこちら↓です


理想の姿は突然に

 上記の記事でも書きましたが、偶々三日間滞在出来た東京の最終日に、偶々フォロワーさんから「大刀剣市行かないんですか?」の一言に乗せられて←「え~~? 行けるかなぁ」と言いながら行き着いた会場で出会ってしまったから、が理由といえば理由ですね。
 本当に出会いは突然でした。
 あまり見ない角度というか、棟がこちらに向けて置かれていて、その棟の背筋←が気になって目に留まったというのが最初で、そこから手に取らせて頂いてよく見てみたら「あら……? この子はもしかして……」と思ってしまったんですね。
 最初の一振りは脇差がいいなと思っていた→脇差だった
 好みと言えばスッキリした直刃が好み→スッとした直刃だった
 出来れば反りは腰がいいなぁ→立てて見たら反りはやや下め?

 あらやだ、あなた何でこんな所に唐突に?
 他全部拵で並べられてる中に一振りだけ白鞘だし、いやそれで逆に目立つんだけど、あんまり主張してこない刀ですね? 気配静かですね。
 ……しかも買おうと思えば買えちゃうお値段付けられて……何で?

 そこで一週間分くらい悩んで内金入れて買う事になったのが馴れ初めですね。選んだというか、偶々目の前にあったというのが正しいのかもですが、理由があったとすれば上のような感じで条件が当て嵌まってしまったという感じです。

買ってそれから

 残りのお金を払って暫くして送られてきた刀を改めて見る段階になるんですが、その時すぐ新しく気づいたのは肌でした。
 会場で見た時は刃文にグっと視線が持っていかれたんですが、家の照明で見てみたら先に飛び込んできたのが肌の様子だったんです。
 詰む、立つ、などと表現される地鉄の肌ですが、詰むと立つの間くらいの印象というか、かと言って地沸があるとかではないんですが、物凄く整った端正な雰囲気の肌が浮かび上がって見えました。
 そしてそれは裏の方がより整っている事に次に気づきました。
 刃文も勿論いいんだけど、水平にして平らな明かりで見たら肌模様の整い方がとてもいい。

 それから鑑賞の度に肌の様子を表裏で確かめて見るようになった時、刀身を拭っていて二重刃のような筋が刃文の横にあるのに気づきました。所々切れ気味ですが、細いスッとした線が刃文に沿って入っているんですね。本当に二重刃なのかは分からないのですが、チャームポイントのような感じで見ています。

そして今

 勿論今も手元にありますし、保管場所で月イチの恒例行事のようになりつつあるお手入れ鑑賞の時をのほほんと待ってくれています。

 一度だけ、来てすぐの頃に異様に不安めいた雰囲気を出していた事があって、胸騒ぎのようなものが止まらなかったので急いで出して確認してみたのですが、本体には何の異常もありませんでした。それ以降は平穏な雰囲気のままです。とても落ち着いている感じを出しています。

 無銘ですが三原に極められており、作風から察するに末の……室町時代に入ってからの三原の誰かの作の一振りなので、もうそこそこの時間を生きてきた刀ですし、「慌てない、慌てない」みたいな感じなのかもしれません。(一○さんか)
 なので我が家では専らのんびり系室町の脇差として通っています。やや小柄ですが片手持ちがしやすく、大変手頃です。……サイズの話ですよ?
 気に入ったポイントの多い刀で出会いも印象的でしたし、まぁまず手放す事はないんじゃないかなぁと思っています。ずっとウチに居座るつもりでどっしりした気配を出している気がします。

 君はずっとウチに居て、家族の様子を見守りながらのほほんとしているんだろうねぇ。刃文に寄せられて「白雨(しらさめ)」という号をつけたけど、そういう何かシュッとしたというよりはほのぼのな雰囲気の脇差なんだねぇ。


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