従業員の困りごと⑤
私が勤める大手会社の特例子会社は、本社のビル内の清掃、郵便物の集配、宣伝物の封入・発送等のいろいろなオフィス業務を行っており、多くの障害者が働いています。
そこで働いている彼は知的障害がありますが、郵便取扱の表示や看板などみんなが喜びそうな案内を作ってくれる手先が器用な社員です。
ただ、彼は話しかけられても相手に伝わるような挨拶や返事ができないという課題がありました。
声が小さくはっきり話さないため相手に伝わりづらく、何度も聞き直さなければならなかったので、社会人として挨拶や返事の重要性を指導してきましたが、なかなか自覚してもらえず改善されませんでした。
そこで私は、身近に相談できる人が近くにいたので、その人から障害特性、会社での支援や配慮の仕方についてアドバイスをもらい、一緒に支援してもらうことにしました。
まず、彼の課題と指導方法を明確に記した支援計画書を作成して、毎回、支援内容の記録を残し、支援方法とその結果を振り返って、どのくらい達成できたか、今後の必要な支援は何かを一緒に考えていきました。
そうすると、彼の現状を客観的な目線で見ることができるようになり、今まで気づかなかった彼のわずかな変化にも気が付くようになってきました。
また、少しでも大きな声を出すことに慣れてもらうように駐車場の誘導係をやってもらうことにしました。
少しずつですが、自分の声の大きさを認識できるようになり、大きな声で話せるようになってきました。彼が大きな声で挨拶や返事ができたときは、その場で積極的に褒めることにしたので、相手に伝えることの重要性を自覚するようになってきているようです。
まだまだ相手に意思を伝えることが苦手のようなので、継続的に会社内でのサポートが必要ですが、行き詰まったり悩んだりしたときは家族だけではなく、身近な支援機関を頼って、支援者全員で情報共有することにより見守っていくことがとても大切だと思います。
YORISOU社会保険労務士法人の大内です。わたしたちは、企業が抱える従業員のお困りごとに対して、積極的にサポートしていきます。また、育児・介護・病気と仕事の両立支援についても、企業を支えていけるよう職員全員でがんばっています!