従業員の困りごと③
彼は、パン工場で働く入社10年目のベテランの社員で、毎日、パンの製造と焼き終えた商品を仕分けする業務を行っている。知的障害があって、複雑な業務はできないが、長年の経験を活かして、ミスなく、任された仕事をこなしている。
とても一生懸命に、そして丁寧に作業工程を行っているが、周囲への挨拶と時間管理ができないという課題があった。
出退勤時に特定の人としか挨拶ができず、それ以外の人とは全くコミュニケーションが取れなかった。また、お昼休みの時間が終わっても、なかなか自分の持ち場に戻ってこないことが多く、同僚を困らせていた。
上司は、これからもベテラン社員として、新しく入社する部下のお手本になってほしいと思っていたため、なんとかしてあげたいと思い、身近に相談に乗ってくれる人がいたので、どうしたらよいか尋ねてみた。
相談した人から改めて障害特性や職場での配慮の方法を教えてもらい、社員みんなで彼を見守っていくことの大切さを知った。
上司はアドバイスを受けて、職場の全員が意識して挨拶を行うことで、彼に見本としてみせ、挨拶の大切さを学んでもらった。
彼が分け隔てなく、挨拶ができるようになったら、「元気が良くて、いい挨拶だね。今日もいつもどおりがんばろう!」と伝えることをみんなで決めて継続して行った。
お昼時間も休憩する前に周囲の社員同士で声がけを行い、戻ってくる時間を明確に指示することにした。
社員みんなで見守っていくことで、彼も出来るようになると褒められるという嬉しさを感じて、段々と仕事に対するモチベーションが向上していった。
また、みんなから話しかけられるようになったことで、「どうしよう」「困った」など不安そうにしている些細な変化も気づいてもらうようになって、悩むことが少なくなり、周りとのコミュニケーションも増えていった。
上司は、今まで以上に業務がスムーズに進んでいることを実感して、これなら新入社員が入っても大丈夫、頼りになりそうだと思った。
YORISOU社会保険労務士法人の大内です。わたしたちは、企業が抱える従業員のお困りごとに対して、積極的にサポートしていきます。また、育児・介護・病気と仕事の両立支援についても、企業を支えていけるよう職員全員でがんばっています!