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オンラインでのことばの支援⑤_発音のレッスンの様子

「あたらしいかさ、かってもらった!みて!」が「あたあしいたた、たってもあった!みて!」のような発音になったり

「さんすうは、ちょっと、むずかしいかな・・・」が「しゃんしゅうは、ちょっと、むじゅかしいかな・・・」のような発音になったり

いろんなことが発達途上の子どもたちの中には、伝わりやすい発音の獲得に時間がかかっている子もいます。

成長とともに、伝わりやすい発音を獲得していくことが殆どなのですが、子どもたちは、思っていることや考えていることを、言葉を使って伝える力も発達途上です。

そのような時期に、発音によって伝わりにくいことが続くことで、発表したいのに手を挙げなかったり、やりたい役があるのに立候補しなかったり、お友達とのケンカで文句を言いたいのに言わずに我慢してしまったり、のような、コミュニケーションの機会が減ってしまっている場合があります。

これが、私が発音への支援を続けている大きな理由です。やってみたいことに取り組む機会、大好きなことへ取り組む機会、言いたいことを思いっきり相手にぶつける機会、などなど、どれも自分で減らさずに、飛び込んでほしいな、と思っています。

大学生の頃(30年以上前です)、発音記号から丁寧に教えてくださった山下夕香里先生が研修会などで話されている「たかが発音、されど発音」という言葉は奥が深いと改めて思います。

↓ 山下夕香里先生の著書 ↓

わかりやすい側音化構音と口蓋化構音の評価と指導法:舌運動訓練活用法

コロナ禍で対面による支援が減る中、発音への支援もオンラインへ移行しています。

通信環境の影響は大きく受けますが、お互いの口元を見ることができること、対面よりも回数を確保しやすいことは、利点だと感じています。

対面のときと同様、子どもたちへの発音の支援のときには、以下の3つの練習を、時期によって配分を変えながら進めています。

①1つ1つの音をよく聞き分ける練習

②発音に必要な部分を描いた通りに動かす練習

③特定の音を発音する練習、使う練習

発音の支援方法の中には、③の配分が増えたら①と②はやめる、というものもあります。結果が全てなので、その子の獲得したい発音に繋がればどちらでもよいのですが、私は、どれだけ配分が少なくなっても、ささやかでも、①と②は続けています。スポーツやダンスなどで、複雑な動きを身に付けたいとき、基礎トレーニングの継続は大切にされますが、その考え方と似ています。

では①~③の順に少しずつですが、ご紹介です。

①1つ1つの音をよく聞き分ける練習

下の3つは、「か行・が行」の音が「た行・だ行」に置き換わっている年中さん、年長さん、小学校低学年に使用しているものの例です。

私がドットに印をつけながら「かさ」と発音し、どっちの色が「か」の音だったか答えてもらっています。

かの音はどっち


(「か」の音を練習する子へ対して、選択肢に「あか」という「か」の音が入っている色のドットを使うことが好ましくない、という考えがあることは分かっていますが、何を優先するかで決めています。この画面の向こうにいる子の場合には、その子が確実に区別できる色、です)

PowerPointのアニメーション機能を使って提示することもあります。対面でもオンラインでも使っています。

アプリのようなものを作って、ホームワークの1つにしてもらうこともあります。下の動画はBoomCardsです。(雑音が多い動画になってしまっています。すみません。)

②発音に必要な部分を描いた通りに動かす練習

舌を上下左右に動かすような動きは、準備体操のような感覚で取り入れています。

下の写真は、オンラインレッスンの1コマです。か行・が行のもとになる音を作るための動きを練習しようとしているところです。

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