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フランスの病院食(産後食)はこんな感じでした

2022年10月に南フランスの病院にて出産しました。

体調が優れない時に、皆様が食べたい食事はどのようなものですか?
私にとっては「和食」を選択するのが当たり前のような気がしていまして、フランスでも体調不良のときはアジアンショップで買ったうどんや白米を食べることが多いです。
というか、"消化に良さそうな洋食" を作るアイディアが浮かばないのです。
私は欧米では病院食としてどのようなものが提供されるのだろう?と大変興味がありました。

日本で病院薬剤師をしていた時、深夜当直の日は夕食と次の日の朝食に患者さんと同じ病院食(特に食事制限の無い通常食)が提供されていました。
日本の病院食(夕食)は基本的に和食の定食スタイルで、メインに肉や魚を含むもの、副菜に野菜の小鉢、味噌汁に白ごはん、小さなデザート(果物やゼリー)が定番でした。
当直の仕事自体はあまり好きではありませんでしたが、提供される病院食は結構好きでした。(笑)
もちろんレストランの食事とは違い、「美味しい!」というものではありませんが、栄養バランスの取れた食事が頂けるだけでも嬉しかったのを覚えています。

ちなみに私が働いていた病院の産後食は「お祝い膳」と言って鯛の尾頭付きが出たり、食器もレストランのように豪華でした。(一般患者の病院食とは次元が違う感じ…。)

今回はフランスの病院に産後6日間(普通は3日間)も入院していたので、1日3回の病院食を十分に堪能させていただきました。
では、写真と共にレポートしていきます。

Day 0

まず、出産当日の夕食から。
容器はプラスチック製でビニールの蓋をペリっと剥がします。第一印象は飛行機の機内食みたいだと思いました。
他の関連記事をお読み頂いた方はご存知かと思いますが、産後に全身麻酔をして処置を行ったため、夕食時は麻酔の影響で少し吐き気がありました。
しかし前日の夕食以降食事を摂れておらず、少しでも食べないと体力回復できない…と思い必死で半分食べました。(笑)

初日は完全ベジタリアンメニュー。マッシュポテトと温野菜(無味)、人参味のペースト内にシュークリームのシューのようなものが入っている料理。あまり進みませんでした。(笑)りんごピューレとアプリコットのヨーグルトは美味しく完食しました。ちなみに紙コップ+水のサービスはこの日だけでした。(笑)

Day 1

朝食は毎日同じで、設置場所に自分で取りに行くスタイルです。
パートナーが夜間一緒に泊まってベビーの世話を手伝ってくれていたため、朝食はほぼ毎回パートナーに取りに行ってもらいました。
ベビーを部屋に一人置いて朝食を取りに行くのも不安だったので、居てくれて有り難かったです。
他にも朝食を取りに来ている男性を数名見かけたとのことでした。病院のサービスが最低限な分、パートナーの参加ありき…な印象を受けました。

朝食は左に見えるBiscottesというクラッカー的なもの(パンを切らした時の非常食にもなるので我が家も常備)とパン。ハチミツ、バター、コンフィチュールを付けて食べます。紅茶のティーバッグとお湯を毎回取ってきてもらいました。オレンジジュースは早く行かないとすぐに無くなります。(笑)

ちなみにコーヒーの提供もあります。日本では授乳中のカフェイン摂取に厳しめですが、フランスでは飲みすぎなければ良いという感じです。

朝食、日本と比べると味気ないですよね?(笑)
でもフランスの朝食のリアルはどこの家庭もこんな感じだと思います。基本甘いものしか食べません。
たまに奮発して出来立てのクロワッサンやパン・オ・ショコラをパン屋に買いに行く程度だと思います。(もちろん病院では出ません。笑)

昼食のメインは魚料理でした。白身魚とマッシュルームのクリームソース、ほうれん草を茹でたもの、ライス、インゲン豆のサラダ。パンのお供にミモレットチーズが付いてきたのが嬉しかったです。デザートのFromage fraisはヨーグルトとクリームチーズの中間のような食べ物で、甘くないのでスティックシュガーを混ぜて食べます。初めて食べて美味しかったので退院後スーパーで買いました。(笑)

キウイ🥝がそのまま出てくるところが海外っぽいなぁと思いました。(笑)

夕食からついに肉が登場。ラタトゥイユのようなトマト煮込みとペンネはほぼ無味ですが、ハムの塩分で美味しくいただきました。デザートは梨のコンポートとチョコレートクリーム。(夕食にはデザートが二つ)そして毎回チーズを付けてくれるあたりが、さすがフランス。

この辺りで気づいたことが、「この塩気のない食事、塩分制限食と同じものを提供されているんだろうな…」ということ。
塩分制限食とは腎臓病や高血圧、心疾患を持つ患者に適した塩分を極力控えた食事。
「病院食は味がなくてめちゃくちゃまずかったー!😭」という人はだいたい塩分制限食を出されていると思います。
私は妊娠高血圧等は無かったので塩分制限はありませんでしたが、「塩分を控えた食事」に「塩と胡椒」(機内食に付いてくるようなやつ)が付属されていました。
まぁ、それで味を調節させてくれるならいいですよね。すごく合理的だと思いました。

Day2

朝食は毎日同じなので省略します。

昼食はソーセージ、人参とグリーンピースのスープ(たしかビーフブイヨンっぽい味)、ビーツのサラダ。ミモレットチーズとFromage fraisはお馴染みながら嬉しい。オレンジはナイフでカットして、手をベタベタにしながら食べました。(笑)
夕食はトマトのファルシ、インゲン豆とニョッキ。デザートはリンゴ&イチゴのコンポートとイチゴ味のfromage frais(これは甘いのでスティックシュガー要らず)。チーズはブルサンのようなガーリック&ハーブ味のクリームチーズ。トマトファルシは食べ応えもあり普通に美味しかったです。

Day3

昼食は鶏もも肉のトマトソース、温野菜とペンネ(塩胡椒必須)、レタス+ドレッシング、ミモレットチーズにヨーグルト。一番嬉しかったのは、デザートのパリブレストでした。
夕食は…おや?ベジタリアン食に戻った!そう、本来ならDay3の昼食後には退院しているはずだったのです。メニューは3日サイクルになっているようです。オムレツ(ベシャメルっぽいソースはなかなか美味)とズッキーニ、マッシュポテトだけだとちょっと物足りない感じでしたが、ラッキーなことにパートナーがバーガーキングのチキンナゲットを買ってきてくれていました。デザートのFranはクリーム状のプリンという感じで美味しかったです。

Day4

昼食は魚かな?と勝手に思っていましたが、メインはDinde(七面鳥)のマッシュルームソースがけでした。ちょっとパサついていましたが、ソースは美味しかったです。デザートはバニラクリーム。Franとの違いがわかりませんが、両方美味しいです。
夕食はおや…?既視感ある…これはまたDindeではないか?(笑)はい、夕食も同じメインが出ました。きっと別のメニューが足りなかったんでしょうね。もしかすると、昼分の魚メニューが足りずに夕食分のDindeを昼にも出されたのかな?と考察しました。(笑)豆たっぷりのトマトスープは好きな味でした。バナナは熟れていなかったので時を待ってから食べることに。

Day5

昼食はミートボール、キノコのソテーとライス、グリーンピースと人参のマヨネーズ和えでした。チーズは初のCantalチーズ。チーズのバラエティが嬉しいです。このキノコ、ジロール茸みたいな歯応えで好きでした。本物のジロール茸は高価なのできっと違うものだと思いますが。(笑)この日のバナナもまた熟れていなかったので時を待つことに。(笑)
夕食のメインは白身魚のフライでした。ラタトゥイユのようなトマト煮込みとクスクスもなかなか美味しかったです。魚料理は毎回ベジタリアンメニューの次に来る訳ではなく、順不同なのかもしれません。

Day6

退院当日
小児科医の診察は午後になりそうとのことで昼食も出ました。

最後の昼食はミートボール(たぶん鶏肉)、インゲン豆とマッシュポテト、ビーツサラダ。チーズはTomme des Pyrénéesというこの辺りの地域のもの。そしてまた熟れていないバナナ。(笑)

こうして振り返ってみると、野菜たっぷりですよね。普段あまり野菜を摂取しないフランス人にとって完食するのはキツいんじゃないかなぁと思いました。
私は産後妙にお腹が空き(おそらくホルモンの変化と授乳による基礎代謝アップによる)、初日の夕食以外はほぼ完食していました。
味は前述した通り塩気が控えられており、全体的にあっさりしていました。
一つ学んだことは体調が悪い時、白米やうどんの代わりにマッシュポテトを食べれば良いということ。マッシュする元気があればですが。(笑)

これだけ栄養バランスの取れた食事を退院後に自分達で用意するのは大変なので、6日間も入院させてもらえて正直有り難かったです。

フランスの産後食は全て国の公費で賄われているため、日本のお祝い膳のような特別感はありませんが十分満足感のある内容だと思いました。
毎回チーズやデザートで楽しませてくれるあたりも好感度高かったです。

いかがでしたでしょうか?
なかなかの長文になってしまいました。
この記事の感想や、日本や他の国での病院食や産後食がどうだったというエピソードがあればコメント欄に教えていただけると嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました😊

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