海外でスーツケースの鍵がぶっ壊れて開かなくなって半泣きになって解決した話
日本国内で購入し初めて使用した新品スーツケースの鍵が旅先の海外(イタリア)で突如として開かなくなってしまった。いくら検索しても、同様の体験記が見当たらなかったのでここに記しておこうと思う。
なお、今この瞬間スーツケースが開かずに超お困りの方、どんな手段でもいいからとにかく開けたい方は宿泊ホテルのフロントに助けを求めよう。なんとかなる可能性が高い。
それ以外の一旦試行錯誤したい方や筆者の珍道中に興味のある方は、読み進めてみてほしい。
スーツケース等のスペックについて
スーツケース
アルミ製のフレームタイプ(ジッパーではなくカッチとはめるやつ)70L容量。日本国内で運営されているECサイトにて23,100円で購入。Amazonでも同様の商品が販売されていたが、公式サイトの方がベース額が安く、かつ期間限定で10%OFFだったので飛びついてしまった。愚かだった。
本旅行のために新調したものだが、現地到着2日目の夜に2つある鍵のうち1つが開かなくなる。
イタリア ローマ
今回の事件現場となってしまった都市。食べ物がうまい。
本事件においては1mmも悪くないが、昼間に悪徳タクシー運転手がゴリぼったくってきた。腹立つ。アイツ以外はみんないい人。
筆者
本事件の熱量冷めぬうちにと、現在イタリアより執筆中。29歳既婚。タイミングを逃しすぎていたハネムーンを結婚生活3年目突入に際し慌てて実施。
今回が人生初の海外旅行。中1英語で挫折という異色の経歴を持つ。appleの綴りも怪しい想像を絶する英語力は、コミュ力一本勝負でカバー。イタリアの悪徳タクシーが大嫌い。
スーツケースを開けるために試みた方法
web上を彷徨ったところ、海外旅行先のホテルで直ちに解決できる方法は大別して次の4種類しかないようだった。ダメージが少ない順に試していこうと思う。
1.番号リセットの模索
スーツケースによっては、ピンを差し込んだり、ロック部分をスライドしたりすることで番号がリセットされるらしい。ので、手当たり次第ピアスの先でつついたり、触ったりしてみたが、びくともせず。筆者のスーツケースは対象外の手法だった。
2.裏技解除
こちらの動画を見つけ実践したが、敗北!撤退!隙間はあるっぽいし、英語に比べ算数は公文に通っていたので大得意。だから計算も間違えていないはず、だって公文に通っていたから。英語も通っていたことは、今は言わなくていいこと、話の軸がぶれるから。
ただ、動画のスーツケースは横並びの番号なのに対し、筆者のスーツケースは縦並び。勝手が違ったのかもしれない。
3.番号総当たり
もうここまでくると、これしかない。000~999の全1,000番号の総当たり戦である。番号を飛ばすことのないよう、000から1つずつ順番に慎重にチェック。100まではあっさり到達したが、これを後9回やるのかと思うと絶望。しかし、そんなことも言っていられないので粛々と進める。
200番台、、400番台、、600番台、、780あたりで一抹の不安が頭をよぎる「これ、もしかして開かないんじゃ…」。850、900、950、疑念が確信に変わるとき、そうそれは999。終わった。
4.破壊
番号総当たりでダメということは、鍵が壊れていると判断する方が妥当だろう。冷静に考えてみれば朝は開けられたんだ。勝手に番号が変わる可能性なんて万に一つもないのだ。
ただ、巷に蔓延る「泥臭い行動が最後に勝利を導く」というビジネス思想に取り憑かれいた。最もフィジカルで最もプリミティブで最もフェティッシュな解決方法は泥臭さちゃう。パワーや。
しかし、ホテルの部屋にあるものや海外旅行に持参できる範囲のものでは開かないのだ。夫が隣で諦めて明日の朝、鍵屋に行こうなんて言い出した。うっせ、おめーは何をしてくれた、70から140までダイヤル回して即寝てたろ。いそいそ起きて口だけ出すな!
もちろん、冷静な判断をすれば夫の言う通りではあるのだが、鍵屋ともなるとローマ市内を巡るのも一苦労だし幾らかかるかも不明。空港に持って行ってTASロックを解除してもらうにも鍵が壊れている可能性もあるため破壊の結果は変わらなさそう。そして、なにより明日は予定がギチギチ。先を急いでいる。
夫と結婚した時に決意したこと。彼に頼らずに何事も自分で解決する。しかし、今回は若干性質が違う。そうか、行くしかないのかフロントへ。
フロントの女神とイケメンポーター
スマホで↑の通り翻訳してフロントへ向かった。昼間のノリ一辺倒のコミュニケーションじゃ絶対に解決しない。そう判断したからだ。今世は夫に頼らない人生を選択したわけだが、だからって「バールのようなもの」をリアルガチで使う場面に遭遇するとは思いもしなかった。
余談だが、この英語力でも海外旅行を可能にしているのは、間違いなくこのAIツール(Gemini)のおかげだ。翻訳機より感覚的に使えて便利。AIの件は後日まとめることにする。
さてさて、テキストを見たフロントの女性スタッフの反応だが「あーーー」といった表情。素敵な方だなと見惚れていると、なにやら私に問うている。
しまった!向こうからボールが飛んでくることを想定していなかった。コミュニケーションは一歩通行じゃあかんやろ。ヤバいヤバいと半べそこき太郎の筆者を見かねたフロントの女神はすかさずPCをカタカタ。そして、美しすぎるフロントに鳴り響く日本語の自動音声。
「アルミ製ですか?」
ohhhh...yes!壊滅的なくせして、わかる単語だけいっちょまえに言いやがる筆者に女神は「まじかーーー」の顔。だよね。わかる。
ジッパーの場合は布の部分に尖ったものを刺してこじ開けられるのよね。ただ、それが怖くて筆者はフレームタイプにしてしまったのよ。すまない、女神。
それから女神は電話をとり、なにやら通話をはじめる。結構フランクに話している。イタリア語だし内容はわからない。英語でもわからない。
通話を終えた女神が再びPCをカタカタ。そして、流れる自動音声。
「ポーターがペンチを持ってきます。私たちが開けましょう。」
あの瞬間、間違いなく、世界で最も頼もしい自動音声だった。否、未来永劫あれ以上に頼もしい自動音声は現れない。文明の力マジで感謝、フロントの女神の最強ホスピタリティに感動。
そして即効部屋に戻り、ポンコツスーツケースをピックアップしイケメンポーターに差し出す。ゴツめのペンチでゴリゴリすること数回。
ガチャン。
あああああ、開いたあああああ。
良かった。良かった。本当に良かった。最上級のお礼を言うとイケメンパワー系ポーターはすぐにどこかに行ってしまった。ああ、待って。
別のお客の対応をする女神のお手すきを待ち、チップを渡した。女神は超拒んでいた。ただ、ここはどうしてもとして、ほぼ強引にお渡しした。
『チップは感動したときに渡すもの』
これが感動ではなく、なにが感動か。私の人生初チップはとても美しい思い出となった。
最後に
ここまで読んでくれてありがとう。ホテルや地域や国が違えば対応も変わるかもしれない。あくまでも一例としての紹介だ。
なお筆者の場合は、破壊に際して特段何か提示を求められることはなかった。1つの鍵は開けられていたことも影響しているかもしれない。また、自分の持ち物であることを証明できるものがスーツケース内に入っていたので最悪それを提示することも考えていた。
もちろんないと思うが悪用は厳禁。異国の地で心細い思いをしている人のための手段であるということを強く強調したい。
最後にあろうことか、一連の対応を担ってくれた女神とイケメンのお名前を聞きそびれてしまった。すまないが、一旦ここで。
2024/11/13の22時頃にフロントスタッフ&ポーターをしていたお二人へ。最高のサービスを本当にありがとうございました。間違いなく今回のハネムーンで最も印象深い思い出です。またローマに戻ってきます。その際は絶対にウナホテルズ トラステヴェレ ローマに泊まりますね。お二人の人生が最高のものとなることを遠く日本より祈っています。