両親を呼ばず結婚式を挙げた話。全部此処に置いてく。
1年前のちょうど今日、健在の両親を呼ばず結婚式を挙げた。「逃げ切った」と思うので、親を呼ばなかった背景や、開催にあたって気を付けたことなどをまとめてみた。意外にweb上に親不在開催のリアルな声が少ないように思うので、もし親の件で二の足を踏んでいる人がいたら、読んでみてほしい。
また、周りのサポートによって実現した部分が多大にあったので、パートナーや義子が「親を呼びたくない」と言っているようであれば、余所はどんな感じか掴んでもらえれば幸いだ。
要望があれば今後もどんどん情報を追加したり、追加で別記事も立てるつもりである。気になることがあれば、ぜひ筆者に寄せてほしい。
前提の話
新婦(筆者)家族構成
父、母、筆者、妹の4人家族。父方母方ともに親戚付き合いは一切なし。両親ともにいわゆる毒親。妹と筆者の関係は非常に良好。
新郎家族構成
父、母、新郎の3人家族。親戚付き合いは盆正月、法事等で年3回以上。新婦カルチャーショック。家族の模範解答かよってくらい仲良い。みんないいひと。
の状態で、新婦側は妹のみ招待。新郎側は両親の他、親戚11名を招待。要するに新郎親族はフル参戦の一方、新婦親族はたった一人で挙式披露宴を執り行った。
両親を呼ばずに開催に至った背景
いかに両親が”毒”であるかは別の機会にまとめさせもらうとして、平たくこの決断の最大の理由だけお伝えすると、お察しの通り「両親の結婚に対する反対」である。
もちろん、筆者や夫に何か落ち度があるのであれば改善したり説明の場を設けたりできたかもしれない。しかしながら、筆者も夫も一社会人として今日も労働に勤しんでいるし、法も犯していないし、まわりにも素敵な友人がたくさんいる。義両親も同様に公務員として務め、人望も厚く、正直なにも恥ずべきことがないのだ。
だが、さすがの毒親クォリティーというか、残念なことに両親共に、そんなことはどうでもよかったらしい。憎い娘の決断はすべて否定事案。夫に対するヒアリングは一切なしで聞く耳は持ってもらえなかった。
踏ん張ればよかったのかもしれない。段取りのヘマをしたかもしれない。
ただ、同じ家にいながら10年以上娘を意図的に無視する形を貫いていた父。娘としてもどのように振る舞えばいいかなんて分かりやしない。
「結婚することになった。来月から一緒に住む予定です。ご挨拶の機会を設けたい。」
最後のけじめとして10数年ぶりに決死の思いでかけた声に対し、向こうの口をついて出た言葉が
「どんな人間か調査する時間も設けられないのに挨拶とはなんだ。俺の仕事に影響したらどうするんだ。勝手にしてくれ。」
であるならば、歩みよろうにも自分が幸せになることをただ遠ざけてしまいそうで諦めた。
恥ずかしい話だが、これまでの扱いをすっかり忘れて最後の最後は娘の結婚を喜ぶ親をどこか期待してしまった自分がいた。当然ながら祝福などしてくれるはずもなく、そればかりか夫一家がまるで犯罪者であるかのような口振り。ほとほと愛想がつきた。
そして、両家の挨拶も執り行わず我々はひとまず入籍の運びとなった。
結婚式の開催自体を諦めなかった理由
毒親サバイバーの中には、結婚はしても結婚式は挙げないという方も少なくないように思う。筆者も当初は友人達だけを呼んだパーティーなどを開催することを考えていた。
そんな中、時を同じくして普通の幸せに満ちた素敵な家庭で育っている夫からすると極々当たり前な「親戚付き合い」というものに、筆者はひどく動揺しはじめていた。
入籍直後に夫の叔父叔母から早速のご祝儀とたくさんのワインの贈り物。義両親との定期的なお食事会。そして、従兄弟家族に挨拶に回ると言われた段階で「あ、これちょっと無理っぽい」となった。
筆者の家庭は、両親と親戚の反りが合わず幼い頃に付き合いの一切を絶っていた。親戚と揉めていた母親の姿をよく覚えている。幼心に親戚は「怖いもの」「意地悪なもの」が染み付いていた様にも思う。
そんな中、クラスターと化していく親戚の輪に心が追いつかず、求められているパフォーマンスに応えられないと訴える筆者と、何も求めていないという夫とで多くの衝突があった。今になって考えれば「こんないい人軍団に怯えてた私、笑っちゃうわ」たが、当時はどうにも折り合いがつかなかった。
そこで、やはり嫁いだという気持ちを自身に明確に植え付けるために「儀式」という形を取りたいと思った。その点においては、やはり最強コンテンツ結婚式のパワーたるや凄まじいと考えていたし、振り返ってみても強烈に自覚が芽生えたきっかけである。
開催にあたり意識したこと
そうと決まれば結婚式開催に向けて段取るわけだが、健在の両親を呼ばない式に対する情報はほとんどなかった。その中、我流でやってみてよかったのは次の通りである。
義両親には誠心誠意の謝罪と意図の説明
大切な一人息子の嫁は両親の顔も見せない無礼オブ無礼にも関わらず、何やら結婚式までやると言い出していて無礼のオンパレード状態。流石に、この点においては何度もお話させてもらった。
その度に、私たちのことは気にしなくて良いけれど、筆者が後悔しないのかを問うてくれた。そして、その度に呼ぶことこそが一生の後悔になる、大好きな人にだけ囲まれた式にしたいという旨を語り続けた。
仕事柄色々な家庭を見てきた義両親だったため、通常の家庭に比べれば理解してもらうまでに時間が掛からなかったようにも思う。本当に感謝しても仕切れない。
式場見学前の段階から親を呼ばない意図を説明
何がネックになるかがわからず不安で、見学申し込みの段階から備考欄に両親が来ないが問題ないかを確認していた。見学した2件共に問題はなかったし、プランナーさんからも他社はNGなども聞かなかったので、そこまで気にしなくても良いかもしれない。
利点としては見学や営業の段階から両親が来ないことが折り込み済みだったので、親を前提とした案内は一切なかった。また、うち1件はこのような事情からかゴリゴリのプロプランナーさんが見学の段階からついてくれて大変気持ちに寄り添ってくれた。結果として、こちらとは契約できなかったものの未だに感謝している。
また、契約した方についても実際に担当にアサインいただいたプランナーさんは、最もエリートの方のような印象だった。まさしく敏腕プランナー。シゴデキ。彼女でなかったら、色々なことでつまづいていた様にも思う。
プランナーさんには嘘偽りなく本当のことを全て連携
そんな敏腕プラナーさんからは、初回打ち合わせ時に「親を呼ばない」という決断に対しての詳細なヒアリングがあった。話したくないことは話さなくていいと言われたが、どれだけ決意が固いかを示したくすべて包み隠さず説明した。
この影響によるものかどうかはわからないが、以降筆者の両親に対する言及は担当プランナーさんをはじめ、他スタッフさんからも一切なく心地よかった。
本来は心臓に毛が生えた最強ポジティブレイディーの筆者なのだが、当時は非常にセンシティブになっていたため、予期せぬポイントで親がフラッシュバックして色々と支障が出る事案が重なっていた。「触れられない」がどれほど有難かったか。
ただ、1点補足するとプランナーさんはカウンセラーではないので、気持ちに寄り添ってほしい!と強く願うタイプの方からすると拍子抜けするかもしれない。向こうもビジネスなので、この点は双方の両親がいないと援助に期待できず、単価が上がらなくてごめんねごめんねぇ。とは思っていた笑
唯一の親族のケア
親族を一切呼ばないのであれば気にする必要はないが、筆者の場合は妹だけ参加してもらう形をとったため、この点は結構神経を使った様に思う。
披露宴の座席などは思いつくだろうが、挙式前の両家顔合わせなども彼女一人に色々なことを背負わせることになるため出来うる限りの配慮はしたかった。
我々の場合は、妹の親友を親族と同様のお部屋に通したりして妹が一人きりになることを避けた。妹の親友マジサンキューな。そして、披露宴の座席については、夫の親族席が2つ分埋まっていたため、新郎新婦友人席に入ってもらう形をとった。
周囲のサポートや助かったこと
式場も決まり、あとは粛々と進める段となったわけだが、やはり周囲の支えなくして、このイレギュラーは乗り越えられなかった様に思う。親を呼びたくないと言っているパートナーや義子の気持ちを汲んでくれた周囲には本当に感謝している。
義両親の理解
はじめこそ、両親不在に対する意思確認はあったものの、すんなり理解いただいたのは大変心強かった。この義両親と家族になれたことを、ただただ誇りに思う。
式までも相当張り切っていて我々を通さず直接式場の下見に行かれていたのは笑ってしまったが、お二人あっての式だった。当日においても、不要とお伝えしていた筆者の友人への挨拶周りまでしてくれていた。本当にありがたい限りである。
実妹の協力
一人で新婦側親族としてすべての対応を担ってくれた。20代中頃の彼女一人に背負わせるにはあまりにも負担が大きかった様にも思う。それでも、最大限のバックアップをしてくれた。
ドレスの試着から、諸々の愚痴聞き。そして式当時はメイクまでしてくれたのである。彼女のおかげで筆者は美しい姿と心で花嫁になることができた。もう一度言おう美しい姿と心の花嫁である。
夫のあっけらかん
とんでもないほど衝突があって、そもそもちょっと結婚失敗か?なんて冗談めいた感情も生まれたり生まれなかったりしたが、毒親サバイバーにとって穏やかな夫は心の拠り所でもあるかもしれない。いや、ちょっと言い過ぎか。
でも、自身が幸せなな家庭で育っていて、自分の意志を強く押し通すタイプの人であれば、価値観を押し付けてしまうことがあるだろう。夫については、そのようなことは一切なく日々助けられている。
困ったこと、辛かったこと
結婚式を挙げる多くの方は、準備の段階からウキウキをSNSなどで発信したり、誰かに話したりするであろうと思う。しかしながら、筆者は式完遂まで一定の情報統制は図っていた。
両親がどのような形で情報をキャッチするのか、娘を無下に扱ったことによる妥当な仕打ちにも関わらず、勝手に反故にされたという思考を持ち報復される可能性もあるとも思った。
そのため、SNSへは極力の書き込みを避け、式開催後までは式場が特定される行動も控えた。親と繋がれてしまいそうな友人にも、口を噤んでもらう様に頼んだ。妹にもかなり辛い思いをさせてしまった。
しかし、これまで人生で数々親の影響を逃れられなかったが、ここぞとばかりは邪魔されずに終えたかった。「挙式会場の扉が開いて両親がいたらどうしよう」なんて2chまとめのようなことを本気で悩み苦しんでいたのだ。実際問題、挙式と披露宴の間でようやく気持ちが穏やかになれたほどだった。
泣くも笑うも己次第
ここまで読んでくれてありがとう。最後になるが、結婚式を挙げたいが毒親の影響を少なからず受けてしまっている、すべての人におすすめしたい曲がある。
Creepy Nuts - 板の上の魔物
正直なところ、Creepy Nutsの2人は自分達自身やエンタメを司る者に贈った曲かもしれない。ただ、筆者としては毒親を乗り越え、己の力で幸せを掴み取る数多の人間の応援歌でもあるとも思っている。
楽しいはずの結婚式の一連の準備で、親を思い出し辛くなるたび、奮い立たたせてくれる曲だった。そんなもんで、歌詞的に絶対に結婚式に相応しくないのだけれど、披露宴の入場曲にさせてもらった。友人にだいぶイジられたけど、とても気に入っていて、今でも結構動画とか見ちゃうのだ。
リリックすべて刺さるが、個人的には以下をみんなに送りたい。
自分で決めた離れたくない相手とこれから幸せになろうとしいるんだと思う。振り絞ってこそ得られる実感があるはずだ。どうか、生まれ落ちた所に囚われず、自分の生きたいように生きる一つの決断として結婚式を利用することも考えてみてほしい。筆者は結婚式をして本当に良かった。