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DTMで食っていく!ボカロP/DTMアーティストになるための完全ガイド2024
こんにちは、作曲家/DTM講師の松下です。
今回は音楽の仕事の中でも、特にインターネット時代に生まれた新しい形の音楽アーティスト、「ボカロP/DTMアーティスト」について詳しくご説明します。
皆さんはボカロPというと、一握りの天才だけがなれる職業だと思っていませんか?
確かに以前はそうだったかもしれません。しかし、メジャーシーンでもDTMから始まり大きな成功を収めている方が増えている今、むしろDTMアーティストは最も参入障壁の低い音楽の仕事の一つとなっています。
この記事では、作曲家の私からみた経験を元に、必要なステップと心構えをお伝えできればと思います。
ボカロP/DTMアーティストとは?
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ボカロP/DTMアーティストの目的は、自分の音楽を作って発信し、リスナーに届けることです。商業作曲家とは異なり、クライアントの要望に応える必要はありません。その分、完全に自分の表現したい音楽に集中できます。
ただし、これは「何を作っても良い」という訳ではありません。むしろ、自分で全ての判断をしなければならない分、より高い意識が求められます。自分の音楽性を確立しながら、同時にリスナーに響く音楽を作る必要があるのです。
どうやってお金を稼ぐの?
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ボカロP/DTMアーティストの収入源は、実は商業作曲家よりも多岐に渡ります。
音楽配信収入
最も基本となるのは音楽配信収入です。SpotifyやApple Music、LINE MUSICなどのサブスクリプションサービス、そしてiTunesやmoraなどのダウンロード販売から得られる収入です。特に近年は、サブスクリプションサービスの普及により、コンスタントな収入を得やすくなっています。
動画広告収入
次に大きいのが動画広告収入です。YouTubeやニコニコ動画での楽曲MVの再生による広告収入は、特に重要な収入源となっています。人気ボカロPの中には、この収入だけで生活できているケースも少なくありません。
タイアップ案件
さらに、知名度が上がってくるとタイアップ案件も増えてきます。アニメやゲームとのタイアップ、企業とのコラボレーションなど、活躍の場は広がっていきます。最近では、ボカロPから商業作曲家としても活動を広げる方も増えています。
その他
また、CDやグッズの販売、ライブ配信での投げ銭など、ファンとの直接的なやり取りによる収入も重要です。特にコアなファンがいる場合、この部分が安定した収入源となります。
必要な投資
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ボカロP/DTMアーティストとして活動を始めるには、ある程度の初期投資が必要です。
最低限必要な機材: パソコン(15-20万円)
CPU:[Windows - Intel i7以上推奨] [Mac - M1以上推奨]
メモリ:16GB以上
SSD:512GB以上推奨
オーディオインターフェース(2-3万円)
※音質面では7万円以降あたりの価格帯でないとそこまで差がない為、録音をしない人はとりあえずヘッドホンをPCに直刺しで始められます。
MIDIキーボード(1-3万円)
※キーボードを弾きたい人向け。無しでも作曲はできます。
モニターヘッドホン(1-2万円)
クオリティアップのための追加投資: モニタースピーカー (3万円以上)
音源プラグイン:
Native Instruments KOMPLETE
Serum
Splice (Subscription)
エフェクトプラグイン:
Plugin Alliance (Subscription) MEGA L Bundleなど
投資の優先順位:
DAW環境の構築(パソコン、DAW、オーディオインターフェース)
音を出すための機材(MIDIキーボード、ヘッドホン)
音源プラグイン
モニタリング環境の改善(スピーカー、オーディオインターフェース)
その他のプラグインや機材
MVの制作については、はじめは外注することをお勧めします。ココナラなどのクラウドソーシングサービスには、リーズナブルな価格でMVを制作してくれるクリエイターが多数存在します。楽曲制作に集中できる環境を整えることが、まずは重要です。
また、MVの質は楽曲の成功を大きく左右する要素となりますので、予算と相談しながら、できるだけ質の高いMVを制作することをお勧めします。人気のあるボカロPの方々も、多くは信頼できるイラストレーターや動画編集者とタッグを組んで作品を作り上げています。
今からできる具体的なステップ
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基礎技術の習得(0-2年目)
この期間は、とにかく音楽制作の基礎固めが重要です。DAWの基本操作はもちろん、ボーカロイドの扱い方もマスターしていく必要があります。
特に意識してほしいのが、リファレンス曲の模写です。好きなボカロ曲を徹底的に分析して、同じような曲を作れるようになるまで取り組んでください。音作りの方法、ミックスの仕方、アレンジの組み方など、プロの技術を実践的に学べます。
またこの過程で、自然と自分の得意なジャンルも見えてきます。無理に流行を追いかける必要はありません。自分が本当に作りたい、得意な音楽性を見つけることが重要です。
自分の作品作り(0-3年目)。
この時期に最低でも3曲は、自信を持って「これで勝負できる!」という曲を作っておく必要があります。
重要なのは、単なる「練習曲」ではなく、「商品として通用する楽曲」を作ることです。そのためには、現在のボカロシーンで求められている音質やアレンジを研究し、それに近づける努力が必要です。
作った曲は、YouTubeやニコニコ動画にアップしていきましょう。MVについては、最初は簡単なものでも構いません。むしろ楽曲のクオリティを上げることに注力し、ある程度反響が得られるようになってから、本格的なMV制作を検討するのがいいでしょう。
また、この時期から自分のSNSを成長させていくことも重要です。
Twitterなどで制作過程や音楽への想いを発信し、ファンとの関係性を築いていきましょう。
自分の楽曲にまだ自信がなくて発表できないという方も、できるだけアップロードして行った方が良いです。
なぜなら、自分の楽曲に自信がついた後に、1からSNSを成長させるのは大変だからです。自分の技術と同時に、SNSも成長させていきましょう。
実績作りや収益化
自分の楽曲ができたら、音楽配信サービスへの登録が重要です。TuneCore、DistroKidなどの配信サービスを利用して、各種音楽配信プラットフォームに楽曲を配信します。
同時に、ファングッズの制作や、ライブ配信など、収入の複線化も検討していきます。ただし、これらは必ずしも全てやる必要はありません。
自分の音楽性や、ファンの反応を見ながら、最適な方法を選んでいきましょう。
どういう人におすすめ?
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ボカロP/DTMアーティストという職業は、以下のような方に特におすすめです。
まずは音楽制作に没頭できる集中力のある方。楽曲制作には長時間の集中力が必要です。一つの曲に何日も向き合うことも珍しくありません。没頭できる性質は大きな武器となります。
また、自分の世界観を持っている方も向いています。商業作曲家と違い、クライアントの要望に応える必要はありません。その分、自分の表現したいものを追求できます。
一方で、以下のような方には向いていない可能性があります。
すぐに結果を求める方
SNSでの発信が極端に苦手な方
批判に弱い方
自己プロデュース力がない方
おわりに
ボカロP/DTMアーティストの道は、決して簡単ではありません。しかし、明確な目標を持ち、着実にステップを踏んでいけば、必ず道は開けます。
また、結局は「長く活動すること」が一番の強みとなります。
1つの楽曲の周りの反応に一喜一憂せず、コンスタントに楽曲を上げていくことで徐々に成果が出てくるでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。