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合気道に何かを捧げてしまった人達の共通点と特徴と技の言語化を試みる
ある先生が言っていた言葉で、ほとんどの合気道修行者はまず合気道ができていないという。
確かに合気道開祖も「合気道は三教までは準備運動」と言っている。
一教二教三教といった技を誰にでもちゃんとかけられる人はなかなかいない。
そういう意味では、ほとんどの修行者は準備運動中である。
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まぁ、それはつまり、おれも準備運動中ってことなんだけどね。
合気道できてる人
これまでに数名、おれが実際に触ってみて合気道を感じられた人がいる。
中には何度も触れた人もいるし、数回しか触らなかった人もいるけれど、どうやら普通はそんなに出会えないらしい。
それもひとつの共通点だ。
ただ、これはおれが単なる勘違い野郎である可能性も否めない。
一応補足すると、その中に超有名な人みたいなのはいないのでミーハー心で選んだわけではない。
大抵の人はどこにでもいるようなおじさんだったりおじいさんだったりする。
それはなぜなのか?
合気道ができてるという事の特徴のひとつは、細かいことは言語化できないというところだ。
実はおれがひたすらnoteを書き続ける理由は、それをどうにか言語化してみたいからだったりする。
そういう人の技はシンプルにちゃんと効く。
痛いとか、抵抗できない力とかではなく、ただちゃんとそうなるようになるのだ。
それも一つとか四つとかじゃなく、ほとんどの合気道の技がかかるし、その原理はぜんぶ同じだからこそかかる。
それはつまり、千を超える数がある合気道の技にひとつの共通点を見出したということだ。
だけど少し想像してみて欲しい、そんなことを言う人が本当にいたらどうなるかを。
見た目からはまったく違うように見える技を、全部おなじ理屈でやっていると説明する人がいたら、果たして多くの人はそれを理解できるだろうか?
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合気道ができるようになったら普通は評価されると思うじゃん?
でも実際はなかなかそうならない、むしろ理解が追いつかなくなる。
デカい人や強い人が動かしていても、単なる剛力でやっていると評価されてしまう。
そんなわけで、たくさんの人に評価されてる人ができる人とは限らないってワケ。
実際に何が起こるか?
とりあえず技がかかるときに何が起こっているのか? わかっていることをおれなりに説明してみよう。
①捕りは安定し、受けは不安定になる
だいたい捕りの何らかの動作によって、受け側はすでに接触する前とか、接触した瞬間からバランスを崩す。
技をかける側は安定していき、受ける側は不安定になっていく。
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それも明白にそうなるというよりは、わからないくらいわずかにそうなったりする。
そして安定しているということは堂々としているということでもあり、安定しているからこそ不安定になった相手についていくことも可能になるのだ。
②捕りは重く、受けは軽い
物理的に当たり前なのは、重い方が軽い方を動かすということ。
技をかける捕り側は相手を「持つ」ことで相手の重さを貰って重くなったりする。それはもしかするとほんのチョッピリかも知れない。
これは「重そう」でも成立する。
例えば伸ばしている手の上に絶対に持てない重さがかかることが予測できたら、触れる前にその重さを持とうとして動いてしまう。
物理的に起こること、起こるであろうことを予測させる、そういうのもある。
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③合成重心の偏り
これは仮設だけど、物体と物体がつながっている時というのは合成重心といって物体Aと物体Bがひとつに固まった重心が生まれる。
これも結局、重さの問題とも近いのだけれど、ひとつの物体になったときに重心がより近いのは技をかける側になるだろう。
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④目の付け所
捕りは受けの表情の変化で調節していたりするし、あるいは見せることで技をかけたりもする。
目の悪い受けにはかかりにくかったり、目の良い相手には接触前にかかったり、相手の目も重要だ。
そして、基本的に全体で見てどうなっているかを感じながら技をかけていく。
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⑤早さの問題
これは表現が難しいけど、とりあえず「速く」はない。
早いことはあっても速くはないのだ。
限界を超えた速度を出せば失敗する。
相手の反応に合わせていくわけだから、ある速度よりも早くはならない。
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⑥腕に仕事をさせない
これも人によってやり方は違うのだけど、とりあえず腕力的な使い方はしない。
腰とか肚とかそういうところで操作をする。
腕そのものではなく、腕という物体、腕という棒状のものにその力をどのように伝えるか?というのが重要なのだ。
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武器を稽古してきて、ほとんど触れるか触れないかのところでかけてくる人もいたし、ガッツリ掴んでからやる人もいたので、外見状はかなり違う。
でも内容的にはそんなに変わらないと思ってて、相手と自分の位置関係だけが重要だ。
要は相手と自分の間で繋がった棒を落とさないようにすることが力の結びであり、それを変えずに相手が動く方へと力を伝える。
言うだけなら簡単なんだけどなぁ……。
⑦開祖の言葉への理解
これは一応ちゃんと話をできた人に限られるけど、そういう人は開祖の残した武産合気や合気神髄といった本で語られている内容について「術理」的なものだと解釈してる。
冒頭にこの現象を言語化するのはめっちゃムズイと書いたけど、すでに合気道開祖は言語化してるのだ。
ただ、それが理解できるかと言えばやっぱりほとんどの人には理解できない。
開祖が稽古の最中に皆んなを座らせて、実演してみせながら語った内容らしいけれど、多くの弟子は「早く稽古してぇ〜」としか思わなかったといわれてる。
開祖なりの言語化は合気道がちゃんとわかってない人にはただただスピリチュアルな、宗教的な感じになってしまった。
ただおれの知る限り、できる人は開祖の言葉にも理解を示してる。
とりあえず思いつくままに書いたけど、合気道ができてる人はそういうことをやっている、と思う。
違っても知らん。
どうやってやるか?
最後にどうやって準備運動から脱して合気道をやるかについて説明していく。
とりあえずおれが出会った合気道できてる人達の話を総合するとひとつの結論が浮かび上がる。
これはおそらくこれまでに合気道ができるようになった人達全員に共通する話だ。
「稽古してたらできるようになった」
したの。みんな。稽古を。
とりあえずおれが触ったことのある人はみんなしてた。
それもだいたい並みじゃないくらいしてる。
だからしよう。稽古を。暇さえあれば。
頭使って工夫してやっていこう。
連絡をくれ。稽古を合気道化しよう。
とりあえず、今わかってることのだいたい全てがこんな感じ。
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