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アイヌの森と湖_自然の中で感じる未来へのメッセージ

昨日は妻の知り合いの版画家の個展を見に苫小牧に行ってきた。札幌から電車を乗り継いで一時間。展示を見た後にせっかく苫小牧まで来たのだから近くのウトナイ湖に行こうという話をしていたのだけれど、バス停を間違えてバスに乗り遅れてしまった。目の前を走り去るバスを前に茫然とする私たち。モータリゼーション全盛の地方都市において、公共交通機関の移動手段は本当に限られており、一本バスを乗り遅れてしまえば一時間以上待たないともうそこ行くことはできなくなる。

別に次のバスまで待ってもよかったのだけれど、ついでの予定でどうしても行きたいというわけでもなかったので、予定を変更してちょうど15分後に発車する特急北斗函館行きに飛び乗り、走ること13分。隣の白老しらおい駅に到着。

白老にはウポポイがある。民族共生象徴空間。アイヌをテーマとしたナショナルセンターだ。数年前に仕事で関わっていたこともあり、年に1回は来ている。コロナ禍でのオープン直後は閑散としていたウポポイは、国内外からの観光客や修学旅行の学生でごった返していた。今回は予定外の訪問だったので、博物館や体験館などがある有料エリアに入らずにレンタサイクルを借りてウポポイに隣接するポロト湖を一周することにした。約6kmの自然歩道(サイクリング可能)を約一時間かけてゆっくりと走る。妻と歩道を一周回る途中、誰ともすれ違わなかった。

無料エリアから撮影したアイヌ博物館


飛行機雲と雲と影


イトトンボ
キビのような植物


野菊?








あちこちに倒木があり、苔むしている



歩道のあちこちに落ちている栗


赤とんぼ


アカゲラ


自然歩道の中はほとんど日の光も入らず鬱蒼としていた。
きっとアイヌの人々が集落を作っていたころから森の中は何も変わっていないのだろう。湖で魚を取り、川を上ってくるサケをとり、森の中でシカやウサギやクマを捕まえて数百年、数千年と命をつないでいた人々を想う。

民族象徴空間の説明パネルよりも、ずっと生き生きとそのことを雄弁に説明してくれる世界がそこには広がっていた。けれども修学旅行生も観光客も、説明されないものには見向きもしない。

自然の中に入り、言葉でわざわざ説明されないことを想像すること、感じること。

その行為の豊かさこそを、私たちは未来に受け継がなければいけないと、私は思う。

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