20240121 義両親を嫌う心理
現代女性の不満や怒りや「モヤモヤ」が表現され共有されやすい場所として,Twitter(現X)と「発言小町」があると思います。あとは,漫画で表現されたものを「ママスタセレクト」などで見かけることも多いなあと。
そこではいろいろなことへの不満や怒りが表出されていますが,その中で結構大きな比率を占める話題が「義両親との仲の悪さ」で,同居を迫られた,いらないプレゼントを贈られた,帰省を強要された,妻だけご飯が無かったなどまあいろいろな話題が尽きることは無いように思います。
これだけ女性の悩みの元になっている義両親との関係性なので,研究も結構されているのかな?と思ってCiNiiで検索してみると…
○義両親 2件のみ
【書誌情報】
丸山陽子・川﨑佳代子・竹尾惠子・金城壽子・弓削美鈴 2012 産褥期うつスクリーニングと背景要因の検討. 佐久大学看護研究雑誌, 4(1), 15 – 27.
CES-Dが一般的なうつの得点で,EPSDが産後うつに特化したものであるようで,義理の両親との同居の有無では一般的なうつでは差がないけれど,産後うつは同居の方が高いようです。
○義母など
義母 165件 義父 207件 義兄 136件 義姉 19件 義妹 22件 義弟 62件
正直なところを書くと「おそらく義母が一番多く出るのでは?」と思っていたのですが義父の方が数が多く,また義兄が義姉などより数が突出しているのが予想外でした。しかしこの数の多さは「関係性の悩み」とかではなく,「○○は~の義父にあたり」とか「義兄から聞いた△△の生い立ち」などの記載が多い気がしました。
○義理の親 19件
今川峰子・譲 西賢・齊藤善弘 2000 中年者及び高齢者の家族メンバーに対するパーソナル・スペースの検討. 発達心理学研究, 11(3), 212 – 222.
要約に書かれていた上の文章,最初読んだ時は意味があまり分からなかったのですが,論文の表をみてぞわっときました。
パーソナルスペースの数値は「どの程度まで近づかれてもいいか」を図でシミュレーションした結果で,数値が小さいほど「近づかれても良い」ことを示しています。
中年男性,中年女性それぞれに息子,娘,配偶者,実母,実父,義母,義父についてパーソナルスペースを測定し,同居形態で違いが出るかを検討すると,中年男性では同居形態では差がまったくなかったし,中年女性でもほぼないのですが「配偶者との距離」において「実父母と同居」している女性は,「義父母と同居」や「同居していない」女性よりも「配偶者とのパーソナルスペース」が広く「近づいてほしくないと思う度合いが高い」わけですね~。
そのような現象がみられた理由は以下のように考察されていました。
ということで,今日は紹介できる論文が2つも出てきてよかったのですが,それらは義両親との関係性などについて全体的にみたものが主で,本人のパーソナリティなどと絡めた検討をしているものはまだ見つかっておりません。タイトルの「義両親を嫌う」という現象を考える場合は,「嫌う人もいればそうでない人もいる」という個人差での検討が必要になるので,もう少し文献探しを継続してみたいと思います。