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20230311 天神祭vs.山笠 ~講と流の違い
この祭心理学NOTEでは自分の中では一番知っている博多祇園山笠に関する知識をベースとして他の祭を理解するようにしています。しかし現在関西にいるので関西の祭に関する理解をもっと深めたい!と思っていたところで大阪の天神祭についての以下の論文を見つけました。天神祭は2022年に見に行こうと思っていたのですが例年にない酷暑で体調を崩していてみにいけなかったので2023年にむけてまずは論文で勉強です。
辨野真理・下村泰彦 2017 大阪天満宮を中心とした天神祭の領域と天満のコミュニティ. 日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集, 15, 5 – 8.
大阪の天神祭のコミュニティとその成員に関しての概要を以下に引用します。
大阪天満宮は氏地内の地域コミュニティからなる組織と大阪全体に広がりをもつ氏地外の組織との両方に支えられてきた。さらに、「講」および「講社」と呼ばれる組織が、天神祭において渡御行列に参加する等の奉仕活動を行ってきた。講には、氏地内の地域コミュニティ「地縁」で結束するものと、同業者や会社の結びつき「社縁」により結束するものとの2 タイプが存在する。その中でも、地縁により結束する講は旧町割における町会や、複数の町会が集まったコミュニティが基になっている。氏地では定住人口が増加傾向にあるが、地縁の講に所属する新規構成員は増加しておらず、講の総数も現在は減少傾向にある。さらに、現在の町割とは異なる旧町名の町会の参加者自体の減少もあり担い手不足となっている。
おそらく,天神祭での「講」は山笠での「流」に相当すると思います。山笠にも企業などの協賛は多くなされていますが,きほんてきにそのお金などはすべて地縁が主で形成されている各流」に集められると思うので,同業者や会社のみの結びつきで形成される「講」があるのが山笠との違いだなと思いました。
西天満小学校の児童が参加する講である天神講獅子がある。天神講獅子は女性も参加して、獅子舞や傘踊り等を披露するため、菅南地区の女性や子供は天神講獅子に所属する場合も多い。子供の場合、成長すると他の講に所属することもある。
また,子どもの参加形式についてみてみると,小学校単位で参加する講があるようでした。山笠の場合,博多小中,千代小中単位で子ども山笠をしていますが,それは子どもが独立して行っているものであり,大人の「流」の中に入っているとは言えません(千代流と千代小中のつながりは非常に強いと思いますが)。
氏地外から天神祭を支える参加者としては、鳳講の場合は神輿の担ぎ手があげられる。約2 トンの重さがある神輿は 1 回 70 人、交代人員を含めて 150 人の與丁が必要とされており、紹介制で参加を受け入れている。他に、ボランティアという参加形態がある。ダストバスターズは天神祭での清掃ボランティア集団であり、毎年500 名が氏地外から参加している。継続的に、祭事・神事の両面から天神祭に関わりたい場合は、講に所属することが必要である。同業者の縁・社縁を基に結束した講は、講員が氏地外在住者を含み大阪全体に広がっている場合も多く、同業種のつながりがあれば所属しやすい。鳳講の場合は、地縁の講ではあるが紹介者が監督し、連帯責任を負うという形で鳳講運営委員会の承認を経れば講員となることができる。
上にも書きましたが山笠の流の場合,地縁というか「住人」であることが流の構成員になる上で重要であり,地域外からの参加の場合流に所属している人の「預かり」としての関与になると思います。それに対し,天神祭の場合「同業者の縁・社縁を基に結束した講」が存在しているのであれば,その地域に企業があればそれを拠点にいろんな地域の人が参加しやすくなるため,山笠に比べて天神祭の方が地域外の人の参加がしやすいのではと思ったりしました。山笠の上川端商店街を中心とした八番山のあり方に近いのかなあと思ったりもしました。
しかし,そのような「同業者の縁・社縁を基に結束した講」があり,企業のお金などがそこに集中するのであれば,地縁を主にした「講」は予算的に困難が多く,また担い手確保も難しくなるのでは?などと思ったりもしました。
正直天神祭については花火しか知らなかったので,祭について準備段階から見学したいな~と思い始めました。