20240122 generativityの難易度
某先輩とgenerativityについて話していて,意見や解釈が違うな~と思ったのが,「何を持ってgenerativityが獲得されたというか?」という点でした。
もう半年近く前に話したことのメモも何もない記憶に頼って書くので全然違うかもしれませんが,某先輩は「例えば地域の祭に参加していて,自分が子どもの頃にしていたことを,自分の子どもが同じようにしているのをみるとgenerativityを感じられて,それで獲得できるのでは?」とおっしゃっていたような記憶があります。
私もその意見に賛成ではあるのですが「それだけでは弱いのでは?」「もっとすごいことが実現しないと獲得したとは言えないのでは?」と考えることがあります。
このあたりの「generativityの難易度」と呼べそうな問題については,generativityの獲得の状況を測定するのにつかわれる尺度でも結構設定がバラバラなような気がします。
generativityの測定には,おそらく世界で一番良く使われているのはMcAdams(1993)によるロヨラ世代継承性尺度(LGS)の20項目だと思います。以下に,岡本ら(2018)の中にあった日本語訳の項目を引用します。
【書誌情報】岡本祐子・上手由香・高野恵代 2018 世代継承性研究の展望 : アイデンティティから世代継承性へ. ナカニシヤ出版.
これらの項目をみると「かなりハードル高い」と思われるのではないでしょうか? 他の人にインパクトを与え,長い間人々の記憶に残るようなものを残せているか…というと全然だめだなあと自分は思います。
対して,高齢者を対象に作成された(時間が無いので細かいことはまた別記します)村山ら(2022)による尺度を以下にあげます。
【書誌情報】
村山幸子・小林江里香・倉岡正高・野中久美子・安永正史・田中元基・根本裕太・松永博子・村山陽・村山洋史・藤原佳典 2022 改訂版世代継承性尺度(JGS-R)の作成と信頼性・妥当性の検討. パーソナリティ研究, 30(3), 151 – 160.
こちらだと,「結構できている」と答える人が増えるのではと思っています。
今回上げた2つの尺度が難易度で言う両極端にあるとしたら,現在日本で使われることが多い既存の尺度はその中間位にあるように思えて,「尺度で難易度がかなり異なる」状態だなあと思っています。このあたりをどう処理していけばよいのかを考えるのが今後の課題だなあと。
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