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20240618 ゲリラ豪雨から線状降水帯へ

 皆様のお住いの地域では今日の雨はどうだったでしょうか? 神戸では大雨になるとの予報で夜中に結構強く降ったりしていましたが,警報は出ず注意報のままでそこまで強く雨は降らず,朝9時頃には雨がやんでその後は快晴になった気がします。
 昔の梅雨は「しとしと長期にわたって弱く長く降りつつける」イメージがありましたが,最近の梅雨は大雨が一挙に降りしきる感じになってきたなあと思います。
 そのような降り方について,昔は「ゲリラ豪雨」という言葉が使われていた気がしますが,最近はそれではなく「線状降雨帯」という言葉が増えてきた気がします。でも,これって昔はあまり聞かなかったなあ…と思って「線状降雨帯」でCiNii検索すると…たったの3件!

 え!たったの3件!ということは「線状降雨帯」という言葉はマスコミのニュースなどで使われるだけの言葉で専門用語ではないのか?これは結構な発見なのでは?と喜び勇んだのですが,「線状降雨帯」ではなく「線状降水帯」が専門用語のようで,こちらは370件ありました。
 では次に気になるのは「線状降水帯」がいつくらいから使われだすのかということで,CiNiiで確認できたのは以下の2003年のものが最初のようです。
 
【書誌情報】
東 邦昭・藤井 健 2003 2003年4月8日に京阪神地域で発生した線状降水帯の事例解析. 日本気象学会大会講演予講集, 86, 398.

京阪神地域では前線通過前後に,大阪湾から淀川流域に発達した積乱雲が線状に 配列し,非常 に狭い範囲のみで大雨が降ることがある 。このような事例のうちで,2003年4月8日に京阪神地域で発生した線状降水帯による局地的大雨について

 という記述からは,あまり線状降水帯という言葉は使われていなかったのだろうなあと思います。
 
 では,ゲリラ豪雨はどうかというと,CiNii検索では449件で,一番古い物は1969年,その次は1983年に2本と昔からありますが,その後は2008年なのでやはり最近の言葉だなあと。
 そこで,論文ではなくネット上での用語の使われる頻度を比較するGoogleトレンドで線状降水帯とゲリラ豪雨を比較してみたのが以下のグラフです。

 これをみると,2008年ころからゲリラ豪雨の使用がなされてきていて,2020年くらいから線状降水帯の使用が増えて現在では主役が入れ替わっているのが分かると思います。
 このあたり,なぜゲリラ豪雨というのが使われなくなったのかというと,おそらくゲリラでは「局所的にランダムに」という感じになるけど,「線状で一部にだけずっと降り続ける」ことによる災害とのつながりが重視されるから「線状降水帯」という言葉が重視されるようになったのだろうなあと。
 まあでも本当に今年は大雨関係では何事もない年であってほしいなあと。

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