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#観光客と住民

大型連休で各地の混雑ぶりがメディアで報道された。フリーランスで仕事をしている身から見れば、何も混んでいる時に混んでいる場所へ行かなくても・・などと思ってしまうのだが、会社勤めの人にとっては貴重な家族サービスの機会なのだから仕方がない。私の暮らす奄美大島でも近年は観光客が増えていて、大型連休や夏休みなどには観光客が水着姿で集落内を歩いていたりして住民を困惑させている。
 
観光客と住民をめぐる問題は世界共通だ。スペインのバルセロナでは殺到する観光客に辟易した市民らにより観光客排斥運動が興った。最近の日本では富士山の撮影スポットに外国人観光客が押し寄せて地域住民の生活に影響が出ていると言う。その場所が観光地でも何でも無いコンビニ越しの風景なのだと言う。観光客の主な情報源が、大手メディアからSNSでの個人による情報発信へと変化した。誰か一人が面白いと思って発信した情報が瞬く間に広がる。五感を刺激するありとあらゆる場所が観光スポットになり得て、それはいつどのような形で表出するかがわからない。恣意的な誘客であれば誘客者にある程度の責任を被せる事も可能だが、ランダムネットワークがもたらす突発事象では責任の所在を求める事も出来ない。
 
非日常を楽しむ為に来る観光客が、地域住民が日常を営んでいる場所へやって来るのだから何らかの齟齬が生まれない訳がない。私の暮らす集落では週末にお年寄りたちが公園でグランドゴルフを楽しんでいたが、そこに都市部からやって来た人によってバーベキューセットが組まれてテントが張られるようになった。グランドゴルフの場所が狭まってしまいお年寄りたちの気持ちも良いものでは無い。幸いこの時は、グランドゴルフを平日に行うことにして折り合いがついた
 
直接観光業に携わっている人でなければ、観光客の増加によるメリットなど感じられるものでは無い。ビジネス的に言えば、メシの種が向こうから来てくれるのだから積極的に取りに行けよと言う話ではあるのだが、小さな集落のいち住民としては、穏やかな生活領域を騒々しさで荒らさないで欲しいとの思いの方が強い。
 
少しく地域づくりの事などにも関わっているため、島の資源を活かして観光にも繋げる事をしようよとの声も掛かる。今ちょうど片足をそこに突っ込んでいる最中なのであるが、住民としての自分との葛藤の中で話を進めている。

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