26 知ってトクする枠組み学・・その1
将棋や囲碁には手筋というものがあり、手筋とは簡単に言えば勝つための道理であり枠組みである。藤井聡太の将棋は旧来の手筋を超えたスーパー将棋とも言えるが、それにしても手筋を知らずに盤に向かうのは赤ん坊が高速道路の真ん中に這い出て行くようなもので、自滅行為以外の何物でもない。生活や仕事の上でも同じ事が言える。基本的な手筋を知らなければ自滅に追い込まれてしまう事がある。
ひと頃、テレビでは霊能者がゲストの前世を言い当てたり死者の言葉を家族に伝えたりする番組が流行っていたことがある。そのような現象を信じる人、信じない科学者が声を張り上げて言い合う番組もあった。あるか無いかわからないものを信じるか信じないかは、実は損得の問題である。これも人生と言う将棋盤上のひとつの手筋なのだ。この場合、信じた方が得である。
「人間は考える葦である」と言ったパスカルは数学者であり、確率の研究でも知られている。『パンセ』は彼のメモや走り書きを整理したものだが、その中の「宗教を受け入れるかどうか」と言う問題の中で、彼は死後の生命を「賭け」の理論で説明している。
パスカルの「賭け」の理論------------------
もし人が「死後の生命がある」ほうに賭けて生き、死んだときに実は死後の生命はなかったとしても、その人は何も損をしない。しかし「死後の生命はない」ほうに賭けて生き、死んだときに実は死後の生命があった場合、もう取り返しがつかない。「生きている間にもっと良い事をして、死後に備えておけば良かった」と思っても、もう遅い。「死後の生命がある」ほうに賭けていた場合、賭けに勝てば幸福だが負けても何も失わない。「死後の生命はない」ほうに賭けていた場合、賭けに勝っても何も得られないばかりか、負ければ取り返しがつかない。
見通しのつかない物事を判断しなければならない場合、「ある」方に掛けておいて損はない。
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