ITIL4よもやま話 従うべき原則④ ~協働し、可視性を高める〜
ITIL4従うべき原則、折り返しの第4回は「協働し、可視性を高める」です。
「協働する」とは文字通り「協力して働く」ことです。この「協働」の対象にはいわゆるステークホルダー(利害関係者)。そこには、サービスの提供主体であるサービスプロバイダー、その一部を担う協力先だけでなく、顧客も含まれます。前回の記事でお伝えした通り、サービスのフィードバックを顧客が返すことも大事な価値共創の一環ということですね。
「協働ってのは要するに一緒に働くことでしょう。社会で働く以上、1人では生きられないのだから、協働するなんて当たり前じゃないか」
そう思われるかもしれませんが、「従うべき原則」で述べられていることは単に「一緒に働く」こととイコールではありません。
たとえば、
・色々なバックボーンを持った関係者が前向きにプロジェクトに参画することで、思いもよらない視点で解決策が見つかった
と言うようなケースです。
こういった協働の仕組みや組織を作るために重要となるのが、「可視性を高める」、すなわち情報を「見える化」したり、透明性を担保すると言うことです。
人は情報を与えられることで自身が「尊重されている」と感じ、組織に対する貢献意欲が高まります。組織や部門間の情報共有だけでなく、時には顧客に対しても必要な情報を開示することで、組織に対する貢献を促し、協働のシステムを作り上げることができます。(もちろん、単に情報共有するだけではダメですが・・・)
また、サービスの改善を行うにあたっては、業務プロセスや作業フロー、リードタイムなどを見える形にすることが第一歩です。そうでないと、誤った情報に基づいた間違った判断が下されるリスクがあります。
私はこの従うべき原則において「協働すること」と「可視性を高めること」の2つが並べられたことが大変興味深いと感じています。
個人情報をはじめとして、悪用された時のリスクを嫌って、どうしても情報を「保護する」「秘匿する」方向に目が行きがちです。
しかし適切な範囲での開示や共有・活用して、より良い世界を目指す視点が今後は求められていくのだと思います。
以上、ITIL4従うべき原則その④、「協働し、可視性を高める」でした。
※当記事は個人の見解であり、所属する組織含めいかなる団体とも一切関係ありません。
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