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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問109-132【衛生】論点:化学物質の代謝と毒性

第109回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問132

一般問題(薬学理論問題)【衛生】


問109-132
Q. 
化合物A~Eの代謝と毒性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


選択肢|

1. 化合物Aは、生体内でホルムアルデヒド、次いでギ酸に酸化されて視覚障害を引き起こす。
2. 化合物Bは、シトクロムP450によって酸化され、生じたエポキシ体がメトヘモグロビン血症を引き起こす。
3. 化合物Cは、シトクロムP450によって水酸化され、次いでN-脱メチル化される過程で生成するメチルカチオンがDNAと付加体を形成する。
4. 化合物Dは、シトクロムP450によって速やかに水酸化され、TCA回路のアコニターゼを阻害する。
5. 化合物Eは、カルボキシルエステラーゼによる加水分解によって活性化され、アセチルコリンエステラーゼを不可逆的に阻害する。


第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問132

こんにちは!薬学生の皆さん。
Mats & BLNtです。

matsunoya_note から、薬剤師国家試験の論点解説をお届けします。
苦手意識がある人も、この機会に、薬学理論問題【衛生】を一緒に完全攻略しよう!
今回は、第109回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問132、化学物質の代謝と毒性を徹底解説します。

薬剤師国家試験対策ノート NOTE ver.
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問109-132【衛生】論点:化学物質の代謝と毒性

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滝沢 幸穂  Yukiho Takizawa, PhD

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設問へのアプローチ|


第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問132

第109回薬剤師国家試験の問132(問109-132)では、化学物質の代謝と毒性に関する知識を問われました。

化学物質の代謝と毒性についての理解を問う問題です。

化学構造式…ABCDアイウエオ構文…😱🤮🤢

でも、ここで焦ってはいけません。

Gemini 1.5 Proにお願いして、論点を整理してもらいました。

なお、今回、下記の論点に関して、後述のLectureで、Gemini 1.5 Proに、一つ一つわかりやすく徹底解説してもらっています。

一見、文字量が多いですが、ナラティブに覚えることができる構成になっているので、体感的には、意外と楽勝な仕上がりにできています。

ぜひ、最後までお読みいただければと思います。
完全攻略をめざせ!


総合的な論点


この問題は、以下の要素を含む複合的な問題です。


  • 有機化合物の構造式の認識:
    与えられた構造式から、各化合物が何であるかを特定する必要があります。

    • 基本的な官能基(アルコール、アミン、ニトロソなど)の認識が必要です。

    • 複雑な構造を持つ化合物 (PFOAなど) では、その特徴的な構造を把握することが重要です。

  • 代謝経路の理解:
    各化合物が生体内でどのように代謝されるかを理解する必要があります。

    • 特定の酵素(アルコールデヒドロゲナーゼ、シトクロムP450など)による代謝反応を把握する必要があります。

    • 代謝産物の生成と、その毒性への影響について理解する必要があります。

  • 毒性メカニズムの理解:
    各化合物の毒性メカニズムを理解する必要があります。

    • 特定の酵素や受容体への作用 (アセチルコリンエステラーゼ阻害など) を理解する必要があります。

    • 毒性発現における代謝産物の役割を理解する必要があります。

    • 標的臓器や毒性症状についても把握する必要があります。


各選択肢の論点とアプローチ方法


選択肢1


  • 論点: メタノールの代謝と毒性

  • アプローチ方法:

    1. 化合物Aがメタノールであることを構造式から特定する。

    2. メタノールの代謝経路(アルコールデヒドロゲナーゼによるホルムアルデヒド、ギ酸への酸化)を理解する。

    3. ホルムアルデヒドの視神経毒性について理解する。


選択肢2


  • 論点: アニリン類の代謝とメトヘモグロビン血症

  • アプローチ方法:

    1. 化合物Bが2,4,6-トリアミノ-1,3,5-トリアジンであることを構造式から特定する。

    2. シトクロムP450による芳香族アミンの酸化とエポキシ体生成について理解する。

    3. エポキシ体によるメトヘモグロビン血症発症のメカニズムについて理解する。

    4. 化合物Bの構造とアニリン類の構造を比較し、代謝経路や毒性発現の違いを考察する。


選択肢3


  • 論点: ニトロソアミンの代謝とDNA付加体形成

  • アプローチ方法:

    1. 化合物CがN,N-ジメチルニトロソアミンであることを構造式から特定する。

    2. シトクロムP450によるニトロソアミンの水酸化とN-脱メチル化について理解する。

    3. メチルカチオンの生成とDNAへの付加体形成について理解する。

    4. DNA付加体形成が発がんに繋がるメカニズムについて理解する。


選択肢4


  • 論点: フルオロ酢酸の代謝とTCA回路阻害

  • アプローチ方法:

    1. 化合物Dがパーフルオロオクタン酸(PFOA)であることを構造式から特定する。

    2. シトクロムP450によるフルオロ酢酸の水酸化とフルオロアセチルCoAの生成について理解する。

    3. フルオロアセチルCoAがTCA回路のアコニターゼを阻害するメカニズムについて理解する。

    4. PFOAの構造とフルオロ酢酸の構造を比較し、代謝経路や毒性発現の違いを考察する。


選択肢5


  • 論点: 有機リン系殺虫剤の代謝とアセチルコリンエステラーゼ阻害

  • アプローチ方法:

    1. 化合物Eがグリホサートであることを構造式から特定する。

    2. カルボキシルエステラーゼによる有機リン系殺虫剤の活性化について理解する。

    3. 活性化された有機リン系殺虫剤がアセチルコリンエステラーゼを不可逆的に阻害するメカニズムについて理解する。

    4. グリホサートの構造と有機リン系殺虫剤の構造を比較し、代謝経路や毒性発現の違いを考察する。


はじめましょう。


薬剤師国家試験の薬学理論問題【衛生】から化学物質の代謝と毒性を論点とした問題です。


なお、以下の解説は、著者(Yukiho Takizawa, PhD)がプロンプトを作成して、その対話に応答する形でGPT4o & Copilot 、Gemini 1.5 Pro、またはGrok 2 (beta) が出力した文章であって、著者がすべての出力を校閲しています。

生成AIの製造元がはっきりと宣言しているように、生成AIは、その自然言語能力および取得している情報の現在の限界やプラットフォーム上のインターフェースのレイト制限などに起因して、間違った文章を作成してしまう場合があります。
疑問点に関しては、必要に応じて、ご自身でご確認をするようにしてください。

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問109-132【衛生】論点:化学物質の代謝と毒性|matsunoya (note.com)

Here we go.


第109回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問132

一般問題(薬学理論問題)【衛生】


問109-132
Q. 
化合物A~Eの代謝と毒性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


選択肢|

1. 化合物Aは、生体内でホルムアルデヒド、次いでギ酸に酸化されて視覚障害を引き起こす。
2. 化合物Bは、シトクロムP450によって酸化され、生じたエポキシ体がメトヘモグロビン血症を引き起こす。
3. 化合物Cは、シトクロムP450によって水酸化され、次いでN-脱メチル化される過程で生成するメチルカチオンがDNAと付加体を形成する。
4. 化合物Dは、シトクロムP450によって速やかに水酸化され、TCA回路のアコニターゼを阻害する。
5. 化合物Eは、カルボキシルエステラーゼによる加水分解によって活性化され、アセチルコリンエステラーゼを不可逆的に阻害する。


第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問132

■■Gemini 1.5 Pro


衛生|問 109-132


■論点|化学物質の代謝と毒性

この問題の論点は、与えられた化合物の構造式から化合物を特定し、その代謝と毒性に関する記述が正しいかどうかを判断することです。


■解説1|


化合物Aは、生体内でホルムアルデヒド、次いでギ酸に酸化されて視覚障害を引き起こす。(選択肢1)[正しい]

第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問132
化合物A メタノール

化合物Aはメタノールです。
メタノールはアルコールデヒドロゲナーゼによりホルムアルデヒドに代謝され、さらにギ酸に代謝されます。
ホルムアルデヒドは視神経毒性を持ち、視覚障害を引き起こします。


化合物Cは、シトクロムP450によって水酸化され、次いでN-脱メチル化される過程で生成するメチルカチオンがDNAと付加体を形成する。(選択肢3)[正しい]

第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問132
化合物C N,N-ジメチルニトロソアミン

化合物CはN,N-ジメチルニトロソアミンです。
N,N-ジメチルニトロソアミンはシトクロムP450により水酸化され、N-脱メチル化を経てメチルカチオンを生成します。
メチルカチオンはDNAと反応し、付加体を形成することで発がん性を示します。


■解説2|


選択肢1について


メタノール中毒は、メタノールの代謝産物であるホルムアルデヒドとギ酸による毒性によって引き起こされます。
ホルムアルデヒドは視神経に特異的な毒性を示し、視力障害や失明の原因となります。
ギ酸は代謝性アシドーシスを引き起こし、様々な臓器に障害をもたらします。


選択肢3について


N,N-ジメチルニトロソアミンは、タバコの煙や食品中に含まれる発がん物質です。
DNA付加体の形成は、遺伝子変異を引き起こし、がん発生のリスクを高めるメカニズムの一つです。


■結論|

正しい選択肢は、1と3です。


■補足|


化合物Bは、シトクロムP450によって酸化され、生じたエポキシ体がメトヘモグロビン血症を引き起こす。(選択肢2)[誤り]

第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問132
化合物B 2,4,6-トリアミノ-1,3,5-トリアジン

この記述における代謝と毒性を示す化合物として推定される化合物は、アニリンです。
アニリンはシトクロムP450で代謝され、エポキシ体を生成し、メトヘモグロビン血症を引き起こします。


化合物Bは2,4,6-トリアミノ-1,3,5-トリアジン(メラミン)です。
2,4,6-トリアミノ-1,3,5-トリアジン(メラミン)は体内で代謝されず、蓄積されることもほとんどありません。経口摂取されたメラミンは、ほとんどが吸収されずに消化管を通過し、糞便中に排泄されます。吸収されたメラミンは、主に腎臓から尿中に排泄されます。


メラミン自体は、急性毒性は低いと考えられます。
しかし、メラミンを大量に摂取すると、腎臓に障害を引き起こします。
メラミンは腎臓内でシアヌル酸と結合し、不溶性の結晶を形成します。これらの結晶が腎臓の尿細管を閉塞することで、腎不全を引き起こす可能性があります。


特に、乳幼児はメラミンに対して感受性が高く、2008年に中国で発生したメラミン混入粉ミルク事件では、乳幼児が腎不全を発症しました。


化合物Dは、シトクロムP450によって速やかに水酸化され、TCA回路のアコニターゼを阻害する。(選択肢4)[誤り]

第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問132
化合物D 2,4,6-トリアミノ-1,3,5-トリアジン

この記述における代謝と毒性を示す化合物として推定される化合物は、フルオロ酢酸です。
フルオロ酢酸はTCA回路のアコニターゼを阻害します。


化合物Dはパーフルオロオクタン酸(PFOA)です。
PFOAは非常に安定な化合物であり、環境中や生物体内ではほとんど分解されません。主に肝臓に蓄積されます。
PFOAは、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約において、2009年に附属書B(制限)に掲載されました。これは、PFOAの製造、使用、輸出入を制限することを意味します。


PFOAは、肝臓から胆汁中に排泄され、一部は腸肝循環によって再吸収されます。PFOAは、尿中にも排泄されますが、その量はわずかです。
PFOAは、肝臓の肥大、肝酵素の上昇、肝細胞の壊死などを引き起こします。動物実験において肝臓がん、膵臓がん、精巣がん、乳がんのリスク増加と関連付けられています。
国際がん研究機関 (IARC) は、PFOAを「ヒトに対しておそらく発がん性がある (Group 2B)」に分類しています。


化合物Eは、カルボキシルエステラーゼによる加水分解によって活性化され、アセチルコリンエステラーゼを不可逆的に阻害する。(選択肢5)[誤り]

第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問132
化合物E 2,4,6-トリアミノ-1,3,5-トリアジン

この記述における代謝と毒性を示す化合物として推定される化合物は、有機リン系殺虫剤です。
有機リン系殺虫剤はカルボキシルエステラーゼで活性化され、アセチルコリンエステラーゼを阻害します。


化合物Eはグリホサートです。
グリホサートの急性毒性は低いと考えられています。
しかし、グリホサートの長期的な曝露による健康影響については、議論が続いており、国際がん研究機関 (IARC) は、グリホサートを「ヒトに対しておそらく発がん性がある (Group 2A)」に分類しています。
これは、グリホサートへの曝露と非ホジキンリンパ腫のリスク増加との関連を示唆する限定的な証拠に基づいています。
一方、欧州食品安全機関 (EFSA) や米国環境保護庁 (EPA) は、グリホサートはヒトに対して発がん性がないと結論付けています。


1970年にアメリカ企業のモンサントが開発した除草剤(農薬の一種)であるラウンドアップ (Roundup)の有効成分はグリホサートイソプロピルアミン塩です。
日本でも一般的に使用される除草剤で、ホームセンターやドラッグストアにも普通に一般の消費者が手に取ることができる場所に陳列されています。


ラウンドアップ(Roundup)は、除草剤として広く使用されている製品ですが、その主成分であるグリホサートの発がん性をめぐって多くの訴訟が起こされています。
特に注目されたのは、ドイツの化学大手バイエルが2018年に買収した米モンサントのラウンドアップに関する訴訟です。
2020年6月、バイエルはラウンドアップの影響でがんになったとする訴訟で、109億ドル(約1兆1600億円)を支払うことで和解しました。この訴訟は約12万5000件に上り、原告は約10万人に達しています。


■Lecture|


論点解説1 メタノール

第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問132
化合物A メタノール

メタノールの代謝:
メタノールは体内でアルコールデヒドロゲナーゼによってホルムアルデヒドに代謝されます。その後、ホルムアルデヒドはアルデヒドデヒドロゲナーゼによってギ酸に代謝されます。


ホルムアルデヒドとギ酸の毒性:
ホルムアルデヒドとギ酸は共に毒性の高い物質です。
特に、ホルムアルデヒドは視神経に強い毒性を示し、視力障害や失明を引き起こすことが知られています。
ギ酸は代謝性アシドーシスを引き起こし、様々な臓器に障害をもたらします。


メタノール中毒の症状:
メタノール中毒の初期症状は、酩酊感、頭痛、吐き気など、エタノール中毒と類似しています。その後、視力障害、腹痛、呼吸困難などの症状が現れ、重症化すると昏睡や死亡に至ることもあります。


メタノール中毒の治療:
エタノールやフォメピゾールの投与、血液透析などが行われます。
これらの治療は、メタノールの代謝を阻害し、ホルムアルデヒドの生成を抑制することを目的としています。


論点解説2 アニリン

Aniline
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Aniline.svg

アニリンの代謝:
アニリンは主に肝臓においてシトクロムP450 (CYP) 酵素、特にCYP2E1によって代謝されます。
この代謝過程で、アニリンはフェニルヒドロキシルアミンへと酸化されます。さらに、フェニルヒドロキシルアミンはCYPや他の酵素によってニトロソベンゼンなどの反応性の高い代謝物に変換されます。
これらの代謝物の一部は、ヘモグロビンの鉄原子を酸化してメトヘモグロビンを形成します。


メトヘモグロビン血症:
メトヘモグロビンは酸素を運搬できないため、メトヘモグロビン血症は組織への酸素供給を低下させ、チアノーゼ、頭痛、めまい、呼吸困難、意識障害などの症状を引き起こします。
重症の場合は死に至ることもあります。


アニリン中毒の症状:
アニリン中毒の主な症状は、メトヘモグロビン血症によるチアノーゼです。他に、頭痛、めまい、吐き気、倦怠感、呼吸困難、頻脈などの症状が現れることがあります。


アニリンは代謝過程で生成されるフェニルヒドロキシルアミンやニトロソベンゼンなどの代謝物がメトヘモグロビンを形成し、メトヘモグロビン血症を引き起こすことが知られています。


アニリン中毒の治療:
メチレンブルーの投与などが行われます。
メチレンブルーはメトヘモグロビンをヘモグロビンに還元する作用があります。


論点解説3 ジメチルニトロソアミン

第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問132
化合物C ジメチルニトロソアミン

ジメチルニトロソアミン (DMN) の代謝:
DMNは肝臓においてシトクロムP450 (CYP) 酵素、特にCYP2E1によって代謝されます。
まず、DMNはα位炭素で水酸化され、不安定な中間体であるα-ヒドロキシニトロソアミンが生成されます。次に、この中間体は自発的に分解し、アルキルジアゾヒドロキシドとアルデヒドを生成します。
アルキルジアゾヒドロキシドはさらに分解して、求電子性のメチルカチオンと窒素ガスを生成します。


メチルカチオンによるDNA付加体形成:
メチルカチオンは反応性の高い求電子剤であり、DNA中の求核性部位、特にグアニンのN7位やアデニンのN3位と反応してDNA付加体を形成します。
これらのDNA付加体は、DNA複製や転写の際にエラーを引き起こし、遺伝子変異やがん発生のリスクを高めます。


DMNの発がん性:
DMNは強力な発がん物質であり、げっ歯類において肝臓がん、腎臓がん、食道がんなどを引き起こすことが知られています。
ヒトにおいても、DMNへの曝露と肝臓がんのリスク増加との関連が示唆されています。


ジメチルニトロソアミン (DMN) はシトクロムP450による水酸化とN-脱メチル化を経てメチルカチオンを生成し、DNAと付加体を形成します。
DMNは代謝過程で生成されるメチルカチオンがDNA付加体を形成し、発がん性を示すことが知られています。


DMNはタバコの煙や加工肉などに含まれており、ヒトへの曝露源となっています。
DMNの曝露を減らすことは、がん予防の観点から重要です。


論点解説4 フルオロ酢酸

Fluoroacetic Acid
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Fluoroacetic_Acid_V.1.svg

フルオロ酢酸の代謝:
フルオロ酢酸は体内に入ると、シトクロムP450によって速やかにフルオロアセチルCoAに変換されます。


フルオロアセチルCoAとTCA回路:
フルオロアセチルCoAは、TCA回路においてアセチルCoAの代わりにクエン酸シンターゼと反応し、フルオロクエン酸を生成します。
フルオロクエン酸はTCA回路のアコニターゼと強く結合し、その活性を阻害します。


アコニターゼ阻害の影響:
アコニターゼはTCA回路においてクエン酸をイソクエン酸に変換する酵素です。
アコニターゼが阻害されるとTCA回路が遮断され、細胞のエネルギー産生が阻害されます。特に、神経系や心筋など、エネルギー需要の高い組織はアコニターゼ阻害の影響を受けやすく、深刻な機能障害を引き起こします。


フルオロ酢酸中毒の症状:
フルオロ酢酸中毒の症状は、初期には吐き気、嘔吐、腹痛、神経過敏などの非特異的な症状が現れます。
その後、心機能障害、痙攣、呼吸困難、意識障害などの重篤な症状が現れ、死に至ることもあります。


フルオロ酢酸はシトクロムP450によって速やかに代謝され、TCA回路のアコニターゼを阻害します。
フルオロ酢酸は代謝産物であるフルオロクエン酸がアコニターゼを阻害し、細胞のエネルギー産生を阻害することで毒性を発揮します。


フルオロ酢酸は、一部の植物や殺鼠剤などに含まれます。
フルオロ酢酸中毒の治療法は確立されていませんが、解毒剤としてモノアセチンが用いられることがあります。


論点解説5 有機リン系殺虫剤


有機リン系殺虫剤の活性化:
多くの有機リン系殺虫剤は、それ自体ではアセチルコリンエステラーゼ (AChE) を阻害する活性は弱いです。
しかし、体内に吸収されると、肝臓などの組織に存在するカルボキシルエステラーゼによってP=S結合がP=O結合に加水分解され、活性代謝物(オキソン体)に変換されます。このオキソン体がAChEを強く阻害します。


AChEの不可逆的阻害:
有機リン系殺虫剤のオキソン体は、AChEの活性部位にあるセリン残基と共有結合を形成し、AChEを不可逆的に阻害します。


AChE阻害の影響:
AChEは神経伝達物質であるアセチルコリンを分解する酵素です。AChEが阻害されると、アセチルコリンが神経終末に蓄積し、コリン作動性神経系が過剰に興奮します。


有機リン系殺虫剤中毒の症状:
有機リン系殺虫剤中毒の症状は、縮瞳、発汗、流涎、嘔吐、下痢、筋攣縮、呼吸困難、意識障害など、コリン作動性神経系の興奮症状が中心です。重症の場合は、呼吸麻痺や心停止により死に至ることもあります。


有機リン系殺虫剤はカルボキシルエステラーゼによる加水分解によって活性化され、AChEを不可逆的に阻害します。
有機リン系殺虫剤は代謝活性化によってAChEを不可逆的に阻害し、コリン作動性神経系の過剰興奮を引き起こすことで毒性を発揮します。


有機リン系殺虫剤中毒の治療には、アトロピンやプラリドキシムなどの解毒剤が用いられます。
有機リン系殺虫剤には、パラチオン、マラチオン、ダイアジノンなど、多くの種類があります。


代表的な有機リン系殺虫剤

Parathion
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Methyl%26Ethylparathion.png
Chlorpyrifos
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Chlorpyrifos.svg

アセチルコリンエステラーゼ(AChE)を不可逆的に阻害するメカニズムが確認されている代表的な有機リン系殺虫剤は以下の通りです。


高毒性


  • パラチオン:

    • 農薬として広く使用されていましたが、その高い毒性のため、多くの国で使用が禁止されています。

    • 体内で代謝されてパラオキソンとなり、AChEを不可逆的に阻害します。

  • メチルパラチオン:

    • パラチオンと同様に高毒性で、多くの国で使用が禁止されています。

    • 体内で代謝されてメチルパラオキソンとなり、AChEを不可逆的に阻害します。

  • ダイアジノン:

    • 以前は家庭用殺虫剤として広く使用されていましたが、神経毒性への懸念から、多くの国で使用が制限されています。

    • 体内で代謝されてダイアジノオキソンとなり、AChEを不可逆的に阻害します。

  • フェンチオン:

    • 農薬や動物用医薬品として使用されています。

    • 体内で代謝されてフェンチオノオキソンとなり、AChEを不可逆的に阻害します。

  • マラチオン:

    • 比較的毒性が低いため、現在でも農業や家庭用殺虫剤として使用されています。

    • 哺乳類では代謝されて毒性の低い物質になりますが、昆虫ではマラオキソンに変換され、AChEを強く阻害します。


中~低毒性


  • クロルピリホス:

    • 農業分野で広く使用されていますが、神経毒性への懸念から、使用が制限されつつあります。

    • AChEを阻害する作用は、他の高毒性有機リン系殺虫剤と比べて弱いです。

  • テトラクロルビンホス:

    • 穀物や綿花の害虫駆除に使用されます。

    • AChEを阻害する作用は、他の高毒性有機リン系殺虫剤と比べて弱いです。

  • ジクロルボス:

    • 家庭用殺虫剤や動物用医薬品として使用されています。

    • AChEを阻害する作用は、他の高毒性有機リン系殺虫剤と比べて弱いです。


有機リン系殺虫剤のAChE阻害メカニズム


有機リン系殺虫剤は、AChEの活性部位にあるセリン残基とリン酸エステル結合を形成することで、AChEを不可逆的に阻害します。
この反応は、「リン酸化」と呼ばれます。リン酸化されたAChEは、アセチルコリンを分解する能力を失い、神経伝達が阻害されます。


論点解説6 化合物B
2,4,6-トリアミノ-1,3,5-トリアジン
(メラミン)

第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問132
化合物B 2,4,6-トリアミノ-1,3,5-トリアジン(メラミン)

代謝と毒性


代謝


2,4,6-トリアミノ-1,3,5-トリアジン(メラミン)は、哺乳動物において代謝されにくい化合物です。
経口摂取されたメラミンは、ほとんどが吸収されずに消化管を通過し、糞便中に排泄されます。
吸収されたメラミンは、主に腎臓から尿中に排泄されます。メラミンは体内で代謝されず、蓄積されることもほとんどありません。


毒性


メラミン自体は、急性毒性は低いと考えられています。
しかし、メラミンを大量に摂取すると、腎臓に障害を引き起こすことが知られています。メラミンは腎臓内でシアヌル酸と結合し、不溶性の結晶を形成します。これらの結晶が腎臓の尿細管を閉塞することで、腎不全を引き起こす可能性があります。


特に、乳幼児はメラミンに対して感受性が高いことが知られています。
2008年に中国で発生したメラミン混入粉ミルク事件では、多くの乳幼児が腎不全を発症しました。これは、乳幼児の腎臓の機能が未発達であること、メラミンを含む粉ミルクを大量に摂取することが原因と考えられています。


その他の毒性


メラミンの発がん性については、十分な証拠がありません。
国際がん研究機関 (IARC) は、メラミンを「ヒトに対する発がん性について分類できない (Group 3)」に分類しています。


メラミンは生殖毒性や発生毒性について、ヒトへの影響は明らかになっていません。
動物実験では、高用量のメラミンを投与すると、精子形成異常や胎児への影響が認められたとの報告があります。


論点解説7 化合物D
パーフルオロオクタン酸(PFOA)

第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問132
化合物D パーフルオロオクタン酸(PFOA)

代謝と毒性


代謝


パーフルオロオクタン酸(PFOA)は、炭素鎖8個のペルフルオロアルキル化合物の一種です。
PFOAは非常に安定な化合物であり、環境中や生物体内ではほとんど分解されません。


PFOAは、主に肝臓に蓄積されます。
PFOAは、肝臓から胆汁中に排泄され、一部は腸肝循環によって再吸収されます。PFOAは、尿中にも排泄されますが、その量はわずかです。


毒性


PFOAは、動物実験において様々な毒性を示すことが報告されています。


  • 肝臓毒性:
    PFOAは、肝臓の肥大、肝酵素の上昇、肝細胞の壊死などを引き起こします。

  • 発がん性:
    PFOAは、動物実験において肝臓がん、膵臓がん、精巣がん、乳がんのリスク増加と関連付けられています。国際がん研究機関 (IARC) は、PFOAを「ヒトに対しておそらく発がん性がある (Group 2B)」に分類しています。

  • 発生毒性:
    PFOAは、動物実験において胎児の成長遅延、奇形、出生体重の減少などを引き起こします。

  • 免疫毒性:
    PFOAは、免疫系の機能を抑制することが報告されています。

  • 内分泌かく乱作用:
    PFOAは、甲状腺ホルモンや性ホルモンなどの内分泌系に影響を与える可能性が示唆されています。


ヒトへの影響


PFOAは、ヒトの血液や母乳から検出されます。
PFOAのヒトへの健康影響については、まだ十分に解明されていませんが、疫学研究において、PFOAの血中濃度と、高コレステロール血症、甲状腺機能低下症、腎臓がん、精巣がん、潰瘍性大腸炎などのリスク増加との関連が報告されています。


国際条約におけるパーフルオロオクタン酸(PFOA)の取り扱い


パーフルオロオクタン酸(PFOA)は、撥水性、撥油性、耐熱性などの特性を持つことから、様々な工業製品や消費財に広く使用されてきました。
しかし、PFOAは環境中で分解されにくく、生物蓄積性があり、動物実験で発がん性や発生毒性などの有害性が報告されていることから、国際的な規制の対象となっています。


ストックホルム条約


PFOAは、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約において、2009年に附属書B(制限)に掲載されました。これは、PFOAの製造、使用、輸出入を制限することを意味します。


ストックホルム条約では、PFOAの製造、使用、輸出入について以下の制限が設けられています。


  • PFOAとその塩の製造、使用、輸出入は原則として禁止されています。

  • ただし、以下の用途については、特定の条件下で例外的に認められています。

    • 消火剤

    • 写真フィルム、印刷版

    • 半導体製造

    • 医療機器

    • めっき

    • 繊維製品の撥水撥油加工

    • その他


その他の国際的な取り組み


  • 国連環境計画 (UNEP) は、PFOAを含むペルフルオロアルキル化合物 (PFCs) に関する国際的な取り組みを推進しています。

  • 経済協力開発機構 (OECD) は、PFOAの環境リスク評価や代替物質の開発に関する国際的な協力を推進しています。


PFOAの国際的な規制は、以下のような科学的根拠に基づいています。


  • 残留性:
    PFOAは環境中で分解されにくく、長期間にわたって残留します。

  • 生物蓄積性:
    PFOAは食物連鎖を通じて生物の体内に蓄積されます。

  • 毒性:
    PFOAは、動物実験において発がん性、発生毒性、免疫毒性、内分泌かく乱作用などの有害性が報告されています。

  • ヒトへの曝露:
    PFOAは、ヒトの血液や母乳からも検出されており、ヒトへの健康影響が懸念されています。


今後の課題


PFOAの規制は、ストックホルム条約をはじめとする国際的な取り組みによって強化されていますが、依然として課題は残されています。


  • PFOAの代替物質の開発と利用

  • PFOAを含む製品の廃棄物管理

  • PFOAによる環境汚染のモニタリングと対策


ストックホルム条約で規制されているPFOAと同じカテゴリーの化合物


パーフルオロオクタン酸(PFOA)と同じカテゴリー、すなわちペルフルオロアルキル化合物(PFAS)に分類される化合物の中で、ストックホルム条約で規制されている化合物は以下の通りです。


附属書A(廃絶)

Perfluorooctanesulfonic acid
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Perfluorooctanesulfonic_acid.svg

  • パーフルオロオクタンスルホン酸 (PFOS) [1763-23-1]

    • 2009年に附属書Aに掲載。

    • PFOSは、PFOAと同様に、撥水性、撥油性、耐熱性などの特性を持つことから、様々な工業製品や消費財に広く使用されてきました。

    • PFOSも環境中で分解されにくく、生物蓄積性があり、動物実験で発がん性や発生毒性などの有害性が報告されています。


附属書B(制限)


  • パーフルオロオクタン酸 (PFOA) [335-67-1]

    • 2009年に附属書Bに掲載。

    • 特定の用途については、例外的に認められています(詳細は前述の回答を参照)。

  • パーフルオロオクタンスルホン酸 (PFOS) [1763-23-1]

    • 2009年に附属書Bにも掲載。

    • 特定の用途については、例外的に認められています。

  • テトラデカフェンフルオロヘキサン-1-スルホン酸、その塩および関連物質 [757124-72-4]

    • 2022年に附属書Bに掲載。

  • ペルフルオロヘキサンスルホン酸 (PFHxS) [355-46-4]

    • 2022年に附属書Bに掲載。

    • PFHxSは、PFOSの代替物質として使用されていますが、PFOSと同様の環境リスクが懸念されています。

  • パーフルオロヘプタン酸 (PFHpA) [375-85-9]

    • 2022年に附属書Bに掲載。

    • PFHpAは、PFOAと同様に、撥水性、撥油性、耐熱性などの特性を持つことから、様々な工業製品や消費財に使用されています。


附属書C(意図しない生成物)


  • パーフルオロオクタンスルホン酸 (PFOS) [1763-23-1]

    • 2009年に附属書Cにも掲載。

    • 特定の化学物質の製造プロセスにおいて、意図せず生成されることがあります。


参考文献


  • Stockholm Convention on Persistent Organic Pollutants. (2023). The POPs listed in the Stockholm Convention.


論点解説9 化合物E
グリホサート

第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問132
化合物E グリホサート

代謝


グリホサートは、広葉植物やイネ科植物などの雑草を防除するために広く使用されている除草剤です。
グリホサートは、植物体内では、シキミ酸経路を阻害することにより、植物の生育を阻害します。


グリホサートは、動物体内ではほとんど代謝されずに、主に尿中に排泄されます。一部は、腸内細菌叢によって代謝されることが報告されています。


毒性


グリホサートの急性毒性は低いと考えられています。
しかし、グリホサートの長期的な曝露による健康影響については、議論が続いています。


  • 発がん性:
    国際がん研究機関 (IARC) は、グリホサートを「ヒトに対しておそらく発がん性がある (Group 2A)」に分類しています。これは、グリホサートへの曝露と非ホジキンリンパ腫のリスク増加との関連を示唆する限定的な証拠に基づいています。一方、欧州食品安全機関 (EFSA) や米国環境保護庁 (EPA) は、グリホサートはヒトに対して発がん性がないと結論付けています。

  • 生殖毒性:
    グリホサートの生殖毒性については、ヒトへの影響は明らかになっていません。動物実験では、高用量のグリホサートを投与すると、精子形成異常や胎児への影響が認められたとの報告があります。

  • 神経毒性:
    グリホサートの神経毒性についても、ヒトへの影響は明らかになっていません。動物実験では、高用量のグリホサートを投与すると、神経行動学的異常が認められたとの報告があります。

  • その他:
    グリホサートは、肝臓毒性、腎臓毒性、内分泌かく乱作用などの可能性も指摘されていますが、ヒトへの影響は明らかになっていません。


ヒトへの影響


グリホサートは、農薬として広く使用されているため、ヒトへの曝露の可能性があります。
グリホサートは、食品、水、大気中などから検出されています。
グリホサートのヒトへの健康影響については、まだ十分に解明されていませんが、疫学研究において、グリホサートへの曝露と、非ホジキンリンパ腫、パーキンソン病、自閉症スペクトラム障害などのリスク増加との関連が示唆されています。


ラウンドアップに関する訴訟


ラウンドアップは、モンサント社(現バイエル社)が開発したグリホサートを有効成分とする除草剤で、世界中で広く使用されています。
しかし、グリホサートの発がん性に関する懸念から、ラウンドアップの使用によってがんを発症したと主張する人々による訴訟が多数起こされています。


訴訟の概要


ラウンドアップに関する訴訟は、主に米国で起こされており、原告は非ホジキンリンパ腫などの血液がんを発症したと主張しています。
原告側は、モンサント社がグリホサートの発がん性リスクを認識していたにもかかわらず、その情報を隠蔽し、ラウンドアップを安全であると宣伝していたと主張しています。


判決


ラウンドアップ訴訟では、原告側が勝訴するケースが相次いでいます。
2018年には、カリフォルニア州の裁判所で、ラウンドアップの使用によって非ホジキンリンパ腫を発症したと主張する groundskeeper がモンサント社に2億8900万ドルの賠償金を支払うよう命じる判決が出されました。
その後も、同様の訴訟で原告側が勝訴する判決が複数出ています。


バイエル社による和解


ラウンドアップ訴訟の増加を受けて、モンサント社を買収したバイエル社は、2020年に109億ドルを投じて和解することで合意しました。
この和解により、約10万件の訴訟が解決されました。


グリホサートの発がん性に関する議論


ラウンドアップ訴訟の背景には、グリホサートの発がん性に関する議論があります。
国際がん研究機関 (IARC) は、2015年にグリホサートを「ヒトに対しておそらく発がん性がある (Group 2A)」に分類しました。
一方、欧州食品安全機関 (EFSA) や米国環境保護庁 (EPA) は、グリホサートはヒトに対して発がん性がないと結論付けています。


グリホサートの発がん性については、科学的なコンセンサスが得られていません。
IARCの分類は、グリホサートへの曝露と非ホジキンリンパ腫のリスク増加との関連を示唆する限定的な証拠に基づいています。一方、EFSAやEPAは、IARCの評価とは異なる方法で証拠を評価し、グリホサートはヒトに対して発がん性がないと結論付けています。


今後の展望


ラウンドアップ訴訟は、バイエル社による和解によって一応の決着を見ましたが、グリホサートの発がん性に関する議論は今後も続くものと思われます。
グリホサートの発がん性については、さらなる研究が必要であり、その結果によって、グリホサートの使用に関する規制が変わる可能性もあります。


情報源


  • Bayer to resolve Roundup litigation for up to $10.9 billion. Bayer. 2020.

  • International Agency for Research on Cancer. Glyphosate. IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans. Vol. 112. Lyon: IARC; 2015.

  • European Food Safety Authority. Conclusion on the peer review of the pesticide risk assessment of the active substance glyphosate. EFSA Journal. 2015;13(11):4302.

  • United States Environmental Protection Agency. Glyphosate: human health risk assessment for registration review. Washington, DC: EPA; 2017.


類題


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代謝物が、主としてメトヘモグロビン血症を引き起こすのはどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. パラコート
2. ベンゼン
3. 四塩化炭素
4. アニリン
5. n-ヘキサン


第107回薬剤師国家試験 問23

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■選択肢
1. エポキシ化
2. N-ヒドロキシ化
3. グルクロン酸抱合
4. 硫酸抱合
5. アセチル抱合


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薬剤師国家試験対策ノート|論点解説 必須問題 衛生 第106回-第109回 全40問 powered by GPT4, Copilot|matsunoya (note.com)


第107回薬剤師国家試験 問132

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農薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢
1. フェニトロチオンは、シトクロムP450による酸化的脱硫反応により代謝的活性化を受けてアセチルコリンエステラーゼを阻害する。
2. メソミルは、アセチルコリンエステラーゼの活性中心を可逆的にカルバモイル化する。
3. パラコートは、神経の電位依存性Na+チャネルに作用する。
4. アセタミプリドは、1電子還元されてラジカルを生成し、スーパーオキシドアニオンを生じる。
5. フェノトリンは、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合し、神経を興奮させる。


第108回薬剤師国家試験 問132

薬学理論問題【衛生】
衛生|問 108-132
化学物質の毒性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢
1. 硫化水素は、ミトコンドリアのシトクロムオキシダーゼの阻害により、細胞呼吸を抑制する。
2. DEHP[フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)]は、ヘム合成に関わる酵素を阻害することで、造血機能障害を生じる。
3. 四塩化炭素は、シトクロムP450によって還元的に脱ハロゲン化されて、肝障害を引き起こす。
4. 塩化ビニルモノマーは、アセチルコリンエステラーゼの阻害により、神経毒性を示す。
5. カルバリルは、アコニターゼの阻害により、呼吸器障害を生じる。


第106回薬剤師国家試験 問135

薬学理論問題【衛生】
衛生|問 106-135
発がん物質の代謝活性化に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢
1. o-トルイジンは、シトクロムP450によりヒドロキシルアミン体となり、さらにアセチル化反応により活性化される。
2. サイカシンは、ベンジルアルコール型代謝物のエステルに活性化される。
3. スチレンは、シトクロムP450によりスチレンオキシドに活性化される。
4. ビス(クロロメチル)エーテルは、グルタチオン抱合により活性化される。
5. ナイトロジェンマスタードは、酸化的代謝反応で生じるアルキルジアゾヒドロキシドに活性化される。


第106回薬剤師国家試験 問137

薬学理論問題【衛生】

衛生|問 106-137
化学物質の環境内動態に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
■選択肢
1. 生物濃縮の程度を示す指標である濃縮係数は、化学物質の環境中濃度と生体内濃度の差で表される。
2. 1-オクタノール/水分配係数が小さい化学物質ほど、生物濃縮されやすい。
3. 生物濃縮には、直接濃縮と間接濃縮があり、後者は食物連鎖によって引き起こされる。
4. 直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸は、分岐型のものに比べ環境中の微生物による分解を受けにくい。
5. DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)及びその代謝物は、動物の脂肪組織に残留しやすい。


解説はこちらからどうぞ。

薬剤師国家試験対策ノート|論点解説 薬学理論問題 衛生(1) 第106回-第109回 50問 powered by Gemini 1.5 Pro, Google AI Studio & GPT4o, C|matsunoya (note.com)


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第109回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問132

一般問題(薬学理論問題)【衛生】


問109-132
Q. 
化合物A~Eの代謝と毒性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


選択肢|

1. 化合物Aは、生体内でホルムアルデヒド、次いでギ酸に酸化されて視覚障害を引き起こす。
2. 化合物Bは、シトクロムP450によって酸化され、生じたエポキシ体がメトヘモグロビン血症を引き起こす。
3. 化合物Cは、シトクロムP450によって水酸化され、次いでN-脱メチル化される過程で生成するメチルカチオンがDNAと付加体を形成する。
4. 化合物Dは、シトクロムP450によって速やかに水酸化され、TCA回路のアコニターゼを阻害する。
5. 化合物Eは、カルボキシルエステラーゼによる加水分解によって活性化され、アセチルコリンエステラーゼを不可逆的に阻害する。


第109回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問132

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