脚本17「パラパラ漫画伯爵」
《小学生のころ教科書の端で
パラパラ漫画作ったな》
●登場人物
◯パラパラ漫画伯爵
◯玉城(たまき)
◯男鹿白(おがしろ)
玉城「なんだよ……あんた」
パラ漫「ぱらぱらぱらぱらぱらぁ」
少年玉城の目の前で、メモ帳をパラパラ漫画のようにめくるシルクハットおじさん。彼の名はパラパラ漫画伯爵。
玉城「……伯爵?」
パラ漫「ぱらぱらぱらぱらぱらぁ」
玉城「ぱ、パラパラ漫画伯爵だぁあぁ!!」
☆
玉城「という事が昨日あったんだよ」
男鹿白「おまえ何もないのか? どっか変なとことかないのか?」
玉城「それが不思議とパラパラメモ帳見せられてただけでさ」
男鹿白「なんだそれ、都市伝説も大したことないな」
玉城「恐怖はあったけどね」
男鹿白「不気味すぎるもんな」
玉城は話しながら、動き出す。
男鹿白「あ? おい、何してんだ?」
玉城は雑な動きで去っていく。彼の意思とは無関係に。
玉城「あ、いや、なんか、わかんね、勝手に動いて」
男鹿白「……パラパラ漫画伯爵」
☆
男鹿白「玉城ー、玉城どこいったー?」
パラ漫「ぱらぱらぱらぱらぱらぁ」
男鹿白「は?」
玉城を追ってきた男鹿白の目の前に現れたのは、パラパラ漫画伯爵。奴は手持ちのメモ帳をパラパラとめくる。
パラ漫「ぱらぱらぱらぱらぱらぁ」
男鹿白「パラパラ漫画、伯爵……? う、うわぁあああああ!!」
パラ漫「ぱらぱらぱらぱらぱらぁ」
男鹿白「寄るな、来るな来るなぁ!」
後ずさる男鹿白は、踵をひっかけて尻餅をついた。そこに覆い被さるように詰め寄るパラパラ漫画伯爵。
男鹿白「え……? 玉城、か?」
パラパラ漫画伯爵に「玉城か?」と尋ねて男鹿白の視点は終了。男鹿白という少年は消えて、パラパラ漫画伯爵という存在になる。
☆
ぱらぱらぱらぱらぱらぁ。紙を捲る音が聞こえたら用心しよう。君の目の前にパラパラ漫画伯爵が現れたら、君は奴の漫画のキャラクターにされるだろう。
パラパラ漫画伯爵は友達が欲しいわけじゃない。奴が欲しいのは、自分の漫画のキャラクターだけだ。
実は君はもうキャラクターかもしれない。
これは都市伝説である。
「ぱらぱらぱらぱらぱらぁ」
おわり
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