小晦日(こつごもり)

約半世紀前の12月30日(こつごもり)に、この世に女子として誕生しました。何かしら読ん…

小晦日(こつごもり)

約半世紀前の12月30日(こつごもり)に、この世に女子として誕生しました。何かしら読んで、書いて、応募する……そういう日々を過ごしています。

最近の記事

どうしたことか…… 執筆する力が半減。イヤ、ほとんど無いに等しい。 どうすればいいのだろう…… 書く気になるまで読書に没頭する? イヤ、そんなことをしていると一生が終わってしまうだろう(-"-)

    • 短編小説 「 いっちゃん」

       生活排水で澱む佐古川の底に暗い塊を見つけたとき、西日の照り返しで見まちがいかも知れないと思ったから、橋を渡って反対側からも覗ってみた。 反対側は家屋が西日を遮るから水面が陰になるけれど集中して目を凝らした。あそこにおる、やっぱりおったわ。確信を得たことで、神谷(かみや)里美(さとみ)の心臓は激しく鼓動して満たされた。        *  里美はビニル袋とスコップを持って家の庭に出た。昨夜、雨が降ったせいで土は緩み、サンダルの底に土がべっとり着いた。路地に面した庭の一角に

      • 短編小説「望郷」

         この山は眉山。どっから見ても眉に見えるけんな、眉山というんよ。きれいな形だろ。こういう眉の人を阿波美人っちゅうんじょ。徳島は七割がたが山でな、四国山脈が続いとうだろ。あすこの山から吉野川が流れて来とんよ。日本三大暴れ川のひとつでな、暴れたら怖いでよ。飲み込まれるけんな。ほなけんど徳島は吉野川のお陰で水がようけあるだろ。水に困らん。ごっつい贅沢なことでよ。  ほて、ここは徳島平野。なぁんもないって地の人は言よるけどな、よう見つけんだけよ。徳島っちゅうたら、吉野川のお陰で食べも

        • モデルが身内

           先日、某地方文学賞に応募した。原稿用紙15枚程度の作品。 応募する前に妹に読んでもらったのだが。 「面白かった」 「読みやすかった」 「登場人物が想像できた」 「ひとりごちた、とは日本語か?」 「旦那は難しかったって。どうしてだろう?こんなに簡単なのにね」 というありがたい感想だった。  近頃、妹は、瀬戸内寂聴著の源氏物語を読み始めている。 瀬戸内寂聴が出家した日が妹の誕生日であること、妹の心にすーっと入りこむ文章や言葉に救われていることが、 彼女が瀬戸内寂聴にこだわる所以

        どうしたことか…… 執筆する力が半減。イヤ、ほとんど無いに等しい。 どうすればいいのだろう…… 書く気になるまで読書に没頭する? イヤ、そんなことをしていると一生が終わってしまうだろう(-"-)

          神サンの借り物

          人間の体をした物体は神サンが作り上げたものであるから、私の体は神さんの借り物なのだ。 その借り物にたくさんの傷をつけたり、幾度も修復したりしている。 何故って、人間の体は複雑すぎるから。 どうしてこんなに複雑にできているのだろうか。 昆虫類のように一週間、一か月、一年と 寿命が決まっていれば、そこに向かってやるべきことをやってしまえるのに…… しかし、私達は神サンから人間という体の構造をもらっている。 沢山の細胞が寄せ集まっていろんな臓器の名前があり、 臓器の役割が身体を

          短編小説「花緑青」

           旋律は、ヨシノが仏壇に線香をあげ、ロケットペンダントをひらけようとしたときに始まった。鳴れば焦るスマートフォンを、便利だからとアヤノの孫である聖がプレゼントしてくれたのである。小刻みに震える指先で受話器のマークをタッチして、はい、と電話に出る。  「お姉ちゃん、おはよう。雪は大丈夫?」  「おはよう。いける、いける。毎年のことよ」  「食べ物はある?」  「ようけある。心配いらん」  「そう、ならいいけど。なんかあったらすぐに電話して、すぐによ」  「はいわかった、ありが

          短編小説「花緑青」

          2022年のわたし

          去年まで生きてきてできなかったことがある。 それは前向きに考えられないこと。 人には『ポジティブ』なことを言えるし、「この人、今、ネガティブだから『ポジティブ』な言葉を贈ろう」とかできるのですが、いざ自分事となるとできていない。 仕事が終わるとため息ついて、家に帰るとため息ついて、お風呂入る前にため息ついて、お風呂上りもため息ついて……一日中、ため息ついて疲れたぁ、って口癖になってるんです。 そ・れ・を、やめる!やめます! だって「絶対に幸せになることはきまってるん

          わたし

           12月30日は私の生まれた日であり、母が私を産んでくれた日であります。 今日は母の出産記念日なんです。  プチな自慢だけれど、タイガー・ウッズと同じ誕生日。  タイガー・ウッズを初めて生で見たのは、コロナ流行の前年に開催された、ZOZOチャンピオンシップ(習志野)に招待されたときでした。 生ウッズ! 輝くウッズ! そりゃあ、もう、背中がぞわぞわしましたね。  私達たち夫婦は、最初のホールのドライバーショットを観たあとに最終ホールのギャラリー席に座って、錚々たるプロゴルファ

          超短編小説「勿怪の幸い」

                             放課後、有希は図書室で動物図鑑を手にいつもの窓際の席に座った。六人掛けの机には有希のほかは誰も座っていない。図書室にいる生徒はほんの十人程度であった。 西日が黄色と赤色を交ぜ合いながら図書室の机や椅子を追い越してすり抜けていく、昼間の終わりを実感する時刻である。中庭の銀杏の葉はほんのり黄色に色づいていて、陽が沈むまであっという間になった。  夕刻から夜に向かう空の様子は、幼いころに読んだ物の怪の民話を思い出した。妖怪たちは昼間どこかに隠れ

          超短編小説「勿怪の幸い」

          超短編小説 「薄暮の後に」

             僕の教室からゴルフ場のクラブハウスの白い三角屋根が見える。白色は山の中腹にポッと浮き出ている。ここから見ればおもちゃみたいでちっちゃいけれど、ゴルフ場は限りなく広い。  僕の名前は田淵慎之介。あだ名はぶっち。山に囲まれたニュータウンの夢ノ台小学校六年一組だ。同じ団地の幼なじみ、秋山拓也ことたっくんと、鈴木清志郎ことキヨと僕の三人は学校から帰るとまず宿題を済ませることにしている。まず宿題を済ませるのは三人の約束事だった。  梅雨明けを祝うように蝉が一斉に鳴き始めると、埋め

          超短編小説 「薄暮の後に」

          今のわたし

           数年前に突如として小説を書きたくなり現在も執筆しております。年間3~4作程度ですが書き、文学新人賞に応募しているのですが箸にも棒にも掛からぬ有り様。 書き上げた直後は嬉しくってたまらないのに、時間が経つと、面白くない、つまらない、くだらない、仕様もない、、、、と負の要素ばかりが頭の中でぐるぐる回ってしまいます。 なんとかここから一歩前進したいという思いがあって、それがこの初めての投稿になるわけです。 今後、わたしのnoteはどのように進んで行くのかわかりませんが、小説