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保護犬を迎えるという選択


この夏、保護犬を1匹迎えた。
ブラックアンドタンのダックスフントで女の子。

私にとって3匹目のダックスで
4匹目の犬。
2匹目の保護犬だ。

名前はMerci。
ありがとうの意味のフランス語で、
来てくれてありがとうの気持ちと、
名前を呼ぶたびに、素敵な気持ちになれると思い名付けた。

犬との出会いは幼稚園の頃。
かれこれ、40年以上昔のことになる。
父親が、行きつけの寿司屋に捨て犬がいると
飲みながら電話をかけてきて、
「飼うか?」と、私に言ったのが最初。
そのまま仔犬を連れ帰ってきた。

からだは真っ黒で、足とのどが茶色のちっちゃな子犬。
その仔の面影を求めているのか、飼う犬はいつもブラタンの女の子。
無条件に惹かれてしまう。

最初のダックスはブリーダーから、チャンピオン犬の仔を引き取り
次に迎えたのが、保護犬のまるめだった。
去年の春、虹の向こうへ見送った。
その後、またいつかは犬をと思ってはいたが、
なかなか飼う気にはなれなかった。

犬も歳を取ると人間と同じように病気も増える。
投薬や通院、食事の介助など、介護は正直たいへんだった。
一生懸命お世話したけれど、最後はやっぱり
「もっとやれることがあったはず」という気持ちが拭えなかった。
ずっと後悔が消えなくて、とても犬を飼う気にはなれなかった。

近所の犬たちを眺めては、まるめとの散歩を懐かしく思い出したけれど、
腕のなかで見送ったまるめを思い出しては涙が溢れ
あんな辛い別れはしたくないという思いと、
いつかは飼おうという気持ちをいったりきたりした。

背中を押してくれたのは、近所のダックスだった。

ある日の夕方、まっすぐ私の足元にやってきて、飛びついてきた。
久しぶりに触れた犬はふわふわで柔らかく、温かかった。
無垢な眼で私を見つめ、ぺろり、手を舐めた。

ああ、また犬を飼おう。

そう思えた。

犬を飼うなら保護犬と、決めていた。
ペットショップで犬を飼うのは、
パピーミルからレスキューされたまるめを、
裏切ることだと思ったから。

ところで、保護犬を迎えるには、厳しい条件がある。
まるめを迎えた時は結婚していて、夫がいた。
だけどいまはシングルで、小さな子どももいる。
応募条件に合う団体はなかなか見つからないのが現状だった。
(独身やシングル家庭、小学生がいる家庭はNGという団体も多い)
経済的な理由で犬や猫の飼育放棄をするケースも多いから、
保護団体がその条件を厳しくするのも、仕方ないとは思う。
けれど、一律で排除されるのは、多少言いたいこともある。
(実際私も1箇所断られた。余裕があるわけではないが、
犬1匹くらいはご飯を食べさせることはできる。)

保護犬がもっとたくさんの人の選択肢になるために
柔軟な対応をと願うばかり。
今回ご縁をいただいた保護団体は、ありがたいことに
なんの支障もなく、Merciを託してくれた。

Merciはもともと足が悪く、保護団体で手術をしてくれ
術後1ヶ月ほどで、家にやってきた。
引き取った後も引き続き、できることを先生と一緒にやっていくつもり。

ずっとずっと、歩けるように。

2023年8月1日
Merciとの、新しい物語が始まった。


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