嫌夢〈1〉外から見られない家への固執
大邸宅ならまだしも
一般的な家に高い塀はなかなか造れないから、何とか外から中が見られにくくてしかもある程度の広さがあって…そんな家を探していました
実家にいた頃、改築すれば良かったのでは?そう思ったのは、近くで引っ越された場所にそんな家が建ったからでした
(あぁ、先にやられた…)そう思いました
その家にはもちろん窓があります
カーテンを閉める事もできる様ですが、そうしなくても中で過ごす人の様子が見えにくい造りになっています
部屋の奥の方に生活基準のものを下げて造られているから見えにくいのです
(これよ、これ…)そう思いながら、帰り道の様子伺いみたいによくその家を見にいきました
(悔しいな…)と思いながら
実はその家より前に、近くの海辺に建てられたマンションの第二期工事があり、そこに限定一戸、理想の家が建てられました
お金はなかったけれど…無理して購入しました
(あぁ、素敵…)
カーテンを閉めなくても、その生活は外から見られる事はなく、穏やかに過ごせる…そう思うと嬉しさで鼻が高くなる気分でした
ところが、引越しが落ち着いた頃から、どうしてかご近所の方や昔の友達、親戚等が頻繁に、しかも重なって家に来る様になったのです
手が離せないと断ろうが何をしようが、兎に角勝手に「お邪魔しまーす」と入ってきます
手土産などない、勝手知ったる顔をして、ただまじまじと家の中を見て回るのです
恐怖でした
せっかく理想の家で暮らせる事になったのに、これではいつ誰かしらに同じ様な家を建てられるかわかりません
(それは絶対嫌だ!)
でもわかりません、いつかはその日が来る可能性があります
そうして過ごしていると、家の欠陥が見えてきました
角部屋なのに隣り合った方は盲点の様に
人の行き来が多く、何かしら見られている気がします
偶に鍵をかけ忘れたのか壊されたのか、そこから入ってくる人が居たりして、その時は恐怖のどん底に貶められます
一分一秒、いや、もっと細かい単位でも目が離せません
頭が、目が常に動いて眠れません
理想の家を手に入れたのに
どうしてそんなにみんな私の穏やかな暮らしを阻害するのですか?
私はどうしたら良いのかわからず、また、朝を迎えてしまいました