#13 お笑い大好きな2人が、芸人支援事業「出囃子-DEBAYASHI-」を立ち上げるまで
あけましておめでとうございます(もう2週間経ったの!?)。
2025年もnote更新がんばっていきますのでよろしくお願いします。
最低でも7月の10周年までは、頑張って月に2本投稿続けますので、お付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
さて、今回触れていきたいのは当社の3つ目の事業「出囃子-DEBAYASHI-」(以下 出囃子)という事業について。
出囃子とは、一言で言うとブレイク前の若手芸人を応援する事業です。
お笑いライブの開催とそのアーカイブ動画配信を主な収入源として、出演料という形で芸人にお支払いをしています。
(ちなみにロゴやイラストは、大人気高校野球漫画『バトルスタディーズ』作者のなきぼくろさんに作成いただきました!)
アート事業、プロ野球チーム運営と来て、なぜ芸人なの?と聞かれることも多いのですが、シンプルに、お笑い芸人のを尊敬しているから。
他の事業と同じく「挑戦する人を応援したい」との思いが根底にあり、新規事業として立ち上げるきっかけになったのは、堺シュライクスの試合のライブ配信でした。
堺シュライクスの全試合をライブ配信していることは以前のnoteでお伝えしましたが、「どうせなら他の球団がやっていない配信がしたい」と、普通の実況解説ではなくお笑い芸人に実況してもらったら面白いのではと考えました。
そうして声をかけたのは、地元の八戸を拠点にしているスレンダーパンダというお笑いコンビ。
その縁がきっかけでいろいろ話をするなかで、芸人が芸人として生計を立てることがいかに難しいかという現実を知りました。
芸人さんの中には週7日でバイトをしている人がいて、ライブに出演するためにはエントリーフィーを払わなければいけないし、ギャラが出ない場合もある。
テレビで見聞きするそうしたエピソードが、まったく大げさではないことに逆に驚いたことを覚えています。
僕はもともと学生時代からアフィリエイトで売上を立てていた経験や、会社としてもアート通販サイト(WASABI)を立ち上げた経験もあるので、だったら新たなメディアを通じて収入面で芸人を支えられないだろうか、というのが出囃子の最初の構想でした。
2023年3月に出囃子を立ち上げてから約2年。
手探りでいろいろと試しながらようやくビジネスモデルが見えてきて、「これだ」というカタチが固まってきました。
現在メディアのリニューアルを進めていて、まもなく完成予定です。
僕がお笑い芸人のみなさんを尊敬している理由は、昔からめちゃくちゃお笑いが好きだから。リニューアルを控えたこのタイミングで、芸人さんを応援したい!と思った背景を振り返ってみようと思います。(自分の黒歴史を含む)
お笑い好きが高じて、中学校の同級生とM-1予選に出場
出囃子の事業を担当しているのは吉田朋哉というメンバーですが、そもそも吉田がいなければこの事業は続いていなかったように思います。
吉田はもともと、僕の小中学校の同級生。
地元も僕が2丁目で吉田が5丁目と同じエリアで育ちました。
とは言え、小学校は一緒だったけど特に話したことはなく、中学生になり、たまたま修学旅行の新幹線が隣の席で「こいつの顔めちゃくちゃおもしろいな!」と思って話しかけてみて、そこから仲良くなっていきました。
吉田も僕もとにかくおもしろいことが大好きで、もちろんお笑いも大好き。
中学校のテスト週間は(テスト勉強しなきゃいけないのに)一緒に『ごっつええ感じ』をレンタルしては吉田の家に入り浸り。毎週月曜日は内Pの話で盛り上がり、同じものを観て笑うことが多かったように思います。
なぜか、自分たちのお笑いスキルを試そうと、文化祭では僕たち主導でライオンキングのパロディ劇を上演しました。
台本は僕が作り、主役は吉田。
今思えば、かなり無茶苦茶な内容だったと思います。途中で先生が止めようとしてきたし。
でもその公演が予想以上に好評で、VHSに撮影された映像がいろんなところで回覧されるほどになったそうな。「あのライオンキングの人ですか」と、後輩から声をかけられることもありました。
「俺らってさ、めっちゃおもしろいよな」と本気で称え合い、そこから、吉田と僕の良くある勘違い人生のスタートです。
高校卒業後はたまたま2人とも東京の大学に進学。
大学に入ってからも、もちろん一緒に遊びまくりますが、特に合コンでは「今までの合コンで一番おもしろかった」と言われることを目標に、電車の中で自己紹介のくだりを打ち合わせしながら居酒屋に向かうような、ちょっとおかしな大学生でした。
女の子との出会いよりも、その場を笑いで支配することの方が重要でした。
大学3年生になった僕は、「俺らっておもしろい」を証明するために、当時流行り始めていたアフィリエイトブログを始めました。
吉田と2人でインターネットラジオを配信し、ブログにアクセスを集めて広告を踏んでもらう、まさに今のYoutuberみたいなものですね。
多いときでは月に10万円ほど収益が出るようになりました。2人で山分けしても、当時の僕たちにとっては大きな金額でした。
この成功体験が「俺ら、本当におもしろいんじゃないか」という自信につながり、最終的には大学4年生のときに、M-1グランプリに出場するという暴挙に出ることになります。
今思えば、本当に無謀な挑戦でした。
予選本番前は「もし決勝に行ったら就職やめてお笑い芸人になるわ」なんて冗談も言っていましたが、実際のステージでは、緊張しすぎて全然おもしろくない。
「どうもー」と登場したあとの一言目のセリフを吉田は飛ばして舞台上で黒目だけになってるし、笑いを取るどころか「ネタを間違えないでやり切る」ことに必死でした。
今でもM-1の予選会場でマイクの「キーン」という電子音だけが響いている様子を夢で見てはうなされて目覚める日もあるくらいトラウマになりました。
そうして僕たちのお笑い活動は終了。
心に残ったのは、ただただ芸人さんへのリスペクトだけでした。
その後、僕は株式会社マイナビに就職。
吉田は青森に戻り、ガソリンスタンドで働いたり、マサバとゴマサバの仕分けの仕事に就いたりしていました。
吉田が久しぶりに東京を訪れたのは、僕が30歳で結婚式を挙げたとき。
親友として、吉田に乾杯の挨拶をお願いしました。
そのときの参列者を見て、彼は青森と東京の差を痛感したようでした。
言葉を選ばず言えば、地元の30歳と東京の30歳では、東京のほうがイキイキとしている人が多い。
「このまま地元にいたら後悔するかも」と言う吉田に、僕は「いいじゃん、東京においで」と声をかけました。
当時、会社の事務所に空き部屋があったので、しばらくはそこ使っていいよ、と。
東京に来てとりあえずバイトでもするのかなと思ったら、全然動かず。
事務所でひたすらキングダムやHUNTER×HUNTERを読みふけっている。
「お前、何しに東京来たんだ」とツッコみつつ、暇なら手伝えということで、NOMALと堺シュライクスの雑用の仕事をさせているうちに、あれよあれよといろいろな仕事ができるようになりました。
出囃子の構想が立ち上がったときに「お笑いと言えば吉田だろう」という理由で彼をアサイン。
ブラインドタッチができなかった彼が今や、会場や配信の手配、メディアの運営まですべてを吉田が担当しています。
なので、出囃子は芸人さんたちの事業であることはもちろんなのですが、僕にとっては、吉田のための事業でもあります。
芸人さんたちを支援できることがとてもうれしい
出囃子のビジネスモデルをつくるにあたって、最初に決めたことがあります。
それは「芸人さんたちの収入を最優先する」ということです。
所属事務所や会場にもよりますが、お笑いライブのギャラって、本当に少ないんです。
例えば、先日もテレビにも出ているお笑い芸人さんに最近の出演料を聞く機会があったのですが、かなり名前が知られているにもかかわらず、まさかの1万円。2人で割ると5000円ずつ。あれだけおもしろいステージをつくり上げているのに、この金額はあまりにも少ない。
出演料の相場は、めちゃくちゃ衝撃的でした。
ちなみに、出囃子のライブ出演料は1回あたり2万円以上はあげられるように頑張りたいと思っています。
4回出演すれば10万円くらいは稼ぐことができます。
10万円あれば、少しはアルバイトの量を減らして、お笑い芸人としての夢を実現するための時間に充てられるのではないかと思っています。
他のライブと比べるとかなりの高待遇なので、中には「そんなにいらないです」と言ってくれる芸人さんもいますが、本来は、これくらいの金額が当たり前であるべきだと思っています。
今後は、芸人さんたちが「生活できる」というレベルを超えて、「充実した活動ができる」環境をつくっていきたいと考えています。
例えば、ある程度の収入が見込めるようになれば、毎日バイトをする必要はなくなるし、その時間を、もっとネタ作りや練習に使えるはず。
そんな好循環を生み出せたらと思っています。
M-1に出場してみて1番よかったのは、真剣な芸人さんたちの姿を間近で見られたことかもしれません。
そのころも今もとても彼らには叶わないけれど、こうして、支援する側として関われていることをとてもうれしく思っています。
また、エンターテインメント業界の構造って、お笑いに限らず似たような課題を抱えていることが多いと感じています。
例えば、ライブのエントリーフィーの問題は、インディーズバンドの世界でもよく聞く話です。
NOMALには「小さな挑戦を、当たり前にできる社会へ」というビジョンがあります。
このお笑い事業を通じて、新しいエンターテインメントのカタチを提示できたら、業界全体にとってもプラスになるんじゃないかと考えています。
まだまだ小さな試みですが、これからも、芸人さんたちの可能性の幅を広げるサポートを続けていきたいと思います。
お笑いが大好きな元少年たちとして。
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