新宿まで歩く、新宿から歩く。#1
この自主連載企画は、イベントで知り合ったイラストレーターの立川恭太郎さんに僕の詩で絵を描いて頂けないかというところから始まった連載企画です。
更新は、毎週更新の全10回を予定。
この連載では、毎回お題を恭太郎さんから頂きそのお題に対して5つほど詩を書いています。
詩に書いたもの、書いてないもの。
イラストに描いたもの、描いてないもの。
を楽しんでいただけると嬉しかったりしますが、どうぞお好きに読んでください。
#1「吸い殻」
吸い殻
店前に捨てられた吸い殻を捨てない。
私はその吸い殻を隠すようにお品書きを載せた台を置く。
私にとってその吸い殻は開店準備の目印だから。
今日も懐石料理屋 凪 開店します。
吸い殻
吸い殻はものによってはまだ吸えるんやで。
これなんか見てみい、ワシからしたらまだ吸ってないのと同じや。
そうなんですね。では、お体にお気をつけて。
神様お願いです。あの人のいるところだけずっと雨を降らせてください。
小雨とかじゃなくザーザー降りの雨、息が出来ないくらい。
風情じゃなく恐怖の雨を。
吸い殻
卵の殻をお吸い物に浮かべてみる。
なんでって?
んーさっき、卵を割ったときにキレイに半分に割れたからだよ。
吸い殻
吸い終わったタバコは、吸い殻になる。
一体何がその殻から出て行ったんだろうか。
ニコチンやタール、煙ではない。
もっと違うなにか。
今あなたが捨てる吸い殻から何が出て行きましたか。
吸い殻
キミからもらったタバコが全部吸い殻になった。
吸わずに取っておこうかとも思ってたんだけど、
キミからもらったタバコってこと忘れた時に吸った。
ラスト二本になった時にキミからもらったことを思い出し、
二本同時に火をつけた。
一本は俺の。
吸い殻
小学生がタバコの吸い殻を踏む。
のを見てるウチのおじいちゃん。
愛犬の散歩から帰ると家の前の日陰で立ち涼むのが日課みたい。
二階の私の部屋からちょうど見える。
おじいちゃんはタバコを吸わない。