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マーケティング観察 #007 ビジュアルコラボレーションツール「Cacoo」(前編)

こんにちは。matsumotoo(@matsumotoo988)です。

今回はビジュアルコラボレーションツール「Cacoo」について、観察していきたいと思います。

まずは「Cacoo」を開発している企業について見ていきましょう。

株式会社ヌーラボとは?

基本情報は以下のような感じです。元々は創業者がプログラマ出身なこともありエンジニア比率が高い企業になります。

創業:2004年3月
拠点:福岡、東京、京都、ニューヨーク、アムステルダム、シンガポール
社員数:97名
職種:バックオフィス:26.7%、マーケティング6.7%、エンジニア60.0%、エンジニアサポート6.7%
※職種についてはwantedlyより引用(2017年)

またこちらに記載のように、オープンソースのソフトウェアをリリースしたことがきっかけで会社ができていることから、ものづくりの文化がとても強そうな印象を受けます(社名にも反映していそうです)

◾️社名の由来について
「ヌーラボ」という社名は、 Null(ヌル=無)と Lab (研究所) を合わせた造語です。私たちは、無の状態から有を創り出す「研究所」のような会社でありたいと考えています。
(出典:https://nulab-inc.com/ja/about/)

ヌーラボの提供しているサービスについて

Backlog」「Cacoo」「Typetalk」のヌーラボの提供しているメインのサービスになります。複数のサービスを開発しており、今回観察するCacooは2つ目のサービスになります。

現在300万人以上のユーザーがおり、そのうちの86%以上(=258万人以上)が海外で利用されているサービスになります。(参考記事はこちら

ビジネスモデルについて

基本的にはユーザーからの月額課金される仕組みで、ヌーラボが売り上げを元に運用を行なっている枠組みとなっています。

またこのサービスはダイアグラム作成ツールという特性上、チームなどで複数のユーザーが使う場合が多いと思われます。そのため、slackのようにユーザー体験がよければ、広まっていきやすい性質を持っていると考えられます。

3C分析→4P分析でCacooの戦略を考える

所感としては、個人向けの場合にサービスの機能開放度合いが高く、slack/Googleドライブ/Dropboxなど他サービスとの連携が強いことがアドバンテージとなっている可能性を感じました。仮に競合サービスにチームで加入すればプロジェクト/図の共有がCacooと同じく無制限となりますが、ユーザーがコスト面で劣位と感じる可能性が高いと思われます。

Cacooが300万人ものユーザーを獲得し、海外ユーザー率が高い理由を考える

(1)自らがユーザーであり、他自社プロダクトの知見を生かした
株式会社ヌーラボは、現在日本⇄アメリカ⇄シンガポール⇄オランダの拠点に会社があり、以下スライドのp7に記載のように元々は福岡と東京間でやりとりするために作られたツールだそうです。そのため、言葉や習慣が違うメンバーでサービスを使用(=まさに自らがユーザー)→改善していくのフローが発生していると思われます。ヌーラボ ではBacklogで10年以上サービス運用をしており、ノウハウやサービスを育てていく文化があるのも強みになっているのではないでしょうか?

(2)多言語対応しており、ユーザーに愛されているプロダクトである
こちらのpodcastで創設者&CEOの橋本さんが話されているのですが、多言語対応していたり、ユーザーのミートアップ会(CacooUp)を全世界合計17都市でされていることが海外ユーザー獲得に貢献しているのでは?と推測しました。また以下のようなイベントや記事もあり、海外で一定の支持は得ていそうです。(海外拠点や英語ドキュメントもあるので、あわせて信頼感の醸成に繋がっていそうです)

・WordCamp NY 2009の展示参加(参考記事
・ユーザーによる非公式イベントの開催
・ツール評価記事で上位に掲載

※2016年のデータだと以下のようなユーザー割合になり、国内ユーザーの方が海外全体より少ないことが明確にわかります(出典はこちら


(3)海外でもユーザーニーズがあるが、決定的なサービスがなかった。
こちらは調べていく中でうまれた仮説になりますが、先ほど競合としてあげたcreately以外にもダイアグラム作成ツールで調べると結構な選択肢がでてきます。そんな状況の中でも、2002年以降からMicrosoft Visioがサービスを提供していますが、その中でもたくさんの類似サービスが存在しており、決定的なサービスが生まれていなかった可能性があります。そのため、Cacooが入り込めたという仮説です。

Microsoft Visio ※別会社のサービスをMSが買収
Lucidchart
・Draw.io
Gliffy

※Cacooがサービスリリースしたのが2009年。その後順調にユーザー数を増やしているが、上記記事のように類似サービスがかなり存在しているため(ちなみに市場シェアのデータは見つけられませんでした)

まとめ:観察して感じたこと

今回は『日本発のサービス「Cacoo」が海外利用率が86%以上と非常に高いのはなぜか?』と気になって調べてみましたが、個人的には株式会社ヌーラボの文化・環境などに強く紐づいているのではと思いました。

(出典:あのサービスはどうやって生まれたのか? -ヌーラボ編-

そしてプロダクトをリリースした年(2009年)に「WordCamp NY」に出展しており、もしかしたらこの時点でCacooが海外でも通用する検証をしていたかもしれません(通常サービスと異なり、ダイアグラム作成ツールだと言語の利用ハードルが低いため)

また2017年にCacooは大きなFlash→HTML5への技術基盤変更をしています。2020年にはAdobeがFlashのサポートを終了するため仕方ないと思うのですが、サービスの状況によってはどの技術を採用するか?というところを慎重にならさざるおえないと再認識しました。

他にも書きたいことがいくつもありましたが、今回はここまでとさせてくださいませ。自分なりに解説して見ましたが、もし何かの参考になりましたら、幸いです!

後編はこちらです。

お読みいただき、ありがとうございました。
今後もマーケティングなどを観察していきますので、よかったらフォローください!

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