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【和酒の副産物】大吟醸 酒粕の甘酒
今週は全国的に大寒波襲来で本当に寒いですね。
こういう寒い時は、心も体もあったまる温かい食べ物が一番!
ということで、本日は、酒粕を使った甘酒をご紹介します。
(作り方は最後)
酒粕を使った甘酒は、酒粕を水で溶いて温めて砂糖と塩少々を入れ、すりおろしたショウガを添える、という簡単なものですが、今回はデザート風のものをご紹介します。作り方は簡単ですが、使う酒粕や作る時の温度によって、味も香りも違ってきます。
酒粕には、大吟醸酒の酒粕、純米大吟醸酒の酒粕、純米酒の酒粕等、特定名称酒の酒粕と、普通酒の酒粕があり、形状では、板粕、バラ粕、つわり粕(踏み込み粕・奈良漬用粕)等があります。
11月頃から店頭に並ぶ酒粕は、普通酒の板粕が殆どです。1月下旬頃からでてくる酒粕は、概ね、吟醸系のバラ粕ですが、板の場合もあります。
一般的には普通酒、純米酒の板粕は、甘酒・粕汁等に向いていますし、吟醸系のバラ粕は、香りが高いことが特長なので、その香りをいかし、ドレッシングやデザート系に使うことが多いです。ただ、これに縛られることはありません。
今回使う酒粕は、広島県竹原市「誠鏡」で知られる中尾醸造様の大吟醸「幻」の酒粕です。
http://www.maboroshi.co.jp/
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甘酒を作る前に、まずは、香りをチェック。確かに吟醸香のさわやかな香りが漂います。次に一口いただくと、何だこれは! 米粒の芯が口に残り、今まで食べてきた酒粕とはちょっと食感が違っていたので驚きました。
【説明書より】
「当酒粕は、まぼろしの、大吟醸・純米大吟醸を作る時に出来る酒粕です。
米を半分までけずり低温で発酵を行い、完全に発酵させずしぼられた酒粕です。一般の酒粕より香りが良く、又米粒の食感が特に舌ざわり良く楽しめまます・・・。」
そうですね、吟醸系の酒粕は、米が溶け切っていないので、米粒が多く残り、板にはならないのでバラ粕なのです。
酒粕を加熱することでお米が溶けて甘くなるのですが、こちらの酒粕はお米の量が多いうえに、吟醸酒特有のフルーティな香りがプラスされるので美味なのですね。
ただ、ここで注意していただきたいのは、同じバラ粕を使って作った甘酒でも、お米が多く残った部分を使うとドロドロになりますし、たまたま、米の少ない部分を使ってしまうとさらっとした甘酒になります。
甘酒一つ作るにしても、酒粕をよくみて作った方がいいですね。
また、酒粕の面白さは、同じ蔵元の、同じパッケージの酒粕を購入しても、微妙に酒粕の状態が違うところです。
ですので、自分なりの味のものさしを決めて、酒粕の状態を見極めながら
分量・作り方を調整していくといいでしょう。
これは、酒粕に限らず、料理全般にいえることで、これが料理研究家の醍醐味なのです。
昔から、料理本がたくさん世にでまわり、今はネットで検索すれば同じようなレシピが簡単に手に入ります。その通り作れば、大抵、美味しい味のものができ上がりますが、それぞれレシピを考案された方の味覚や、土地柄、使う材料、使う道具、火加減、気温、湿度等、全く違うわけですから、全く同じものはできません。作り方も、食材の鮮度の違いにより、栄養価を大切にするのか、味を大切にするのか、主菜なのか、酒の肴なのか、で、作る順番も分量も変わってくるわけです。
ですから、同じようなレシピでも、同じものはないのです。
特に発酵食品を使う場合は、火入れをし、ある程度発酵を止めたとしても、完全に発酵が止まっているわけではないので、発酵食品を扱うのはとても
難しいですし、楽しいです。
※ラベル、食品表示を読み解きましょう。
お粥甘酒
【材料】
中尾醸造「まぼろし」の大吟醸酒粕 60~80g
水 200ml
牛乳 100ml
砂糖 お好みで
黒蜜(自家製)
きな粉
作り方は、水に酒粕を漬けておき、柔らかくなったら火にかけ、弱火で沸騰しないよう混ぜていきます。酒粕がきれいに溶けたら牛乳を入れ、人肌程度になったら砂糖を入れ、お塩少々で味を調えます。
黒蜜ときな粉をかけてお召上がりください。
【注意】
酒粕は、約8%程度のアルコールを含んでいます。水で溶く、加熱する、という工程を辿っても、完全にアルコールは飛ばないので、お子様、妊婦の方、アルコールに弱い方、運転をされる方はご注意ください。
※酒税法上、アルコール1%未満のものは「酒類」ではありません。
【ポイント】
このアルコールが”苦味”の原因にもなります。
酒粕で甘酒を作る時は、まずは、酒粕を小さく切って蒸しましょう。
その蒸した酒粕を、前日から水につけて溶きましょう。
アルコールはかなり飛び、苦味が柔らかくなります。