出会ってからが長いんだよ(私にはよくある話)
その漫画を知ったのはいつだっただろうか。
賞を取ったというニュースを見て、なんだかコレは面白そうだなと思った記憶がある。
数日後、本屋に行くと、その本が山積みになっていた。もちろんポップ付きである。
一話か二話、立ち読みが出来た。面白い。
ただ、タイトルの中にどうにも気になる字があって。
タイトルに罪はない。
でもこの字が自分の本棚に並ぶのは気が引けて、手を出すことができず、その場では買うことなく店をあとにした。
そのうち、その漫画はどんどん人気が出た。
原作と作画が別の人で、(コロナ禍の影響もあったのかもしれないが)一度も直接会わずに、電話やメールやオンラインだけでやり取りして作品を作り上げるというニュースを見て、すごくびっくりした。こういうことって出来るんだ!
そして2023年秋、ついにアニメ化。
そのタイミングで、20代の次男に「今度こういうアニメがあってさ、ちょっとだけ読んだんだけど、面白そうなのよね」と紹介した。
次男はさっそく原作を全部読んでみたらしい(私と違って良さそうと思ったらすぐ動く)。
彼は「母さん、これめっちゃおもろいわ」と言った。
「えっ、俺に勧めたくせにまだ読んでないの?」とまで言われた。
そうこうするうちにアニメ放送が始まった。
豊かな映像と音楽と声と動きがついたその作品はとても魅力的で。
たまたま就活の隙間で実家に滞在していた次男と毎回リアルタイム視聴した。見終わると二人で「むふー」とため息をつき、「次が楽しみ」と言うのがお約束になった。
放送期間が終わる前、次男は就職が決まって実家を出た。
そこからはそれぞれの場所でそれぞれ見て、終わったら感想を送り合うのが習わしになった。
その漫画をこの正月休みに読みはじめた。
タイトルはもちろん最初に見たときと変わっていない。なのにどうして?
今の私には、電子書籍という強い味方がいるのであった(むふー)。
おかげでこの本がリアルに本棚に並ぶことはない。
その漫画は『葬送のフリーレン』。
命について。
思い出について。
人と出会うことについて。
別れることについて。
深く、思いながら、感じながら、読み進めているところ。
余談:フリーレンとの出逢い後、完結後の『鬼滅の刃』とも出逢い、こちらも結構な字面にも関わらず「実物が手に入りにくい(店頭からすぐ消えていた時期だった)」「次男にも読ませたい」という理由で、全巻本棚に並んでいる次第。ちなみにこちらも一話を立ち読みして購入を決めた。一話って相当「キツイ=もしかすると全話の中で一番?」な展開なんだけど、これが読めたんなら全部読めそう、と思って。