使う人、買う人、すべての人に寄り添いたい大人用オムツ
人生の分岐点は誰にでも訪れ、これまでと同じ暮らしを続けられなくなることもあります。
今回ご紹介する大人用おむつは、そんな分岐点のタイミングで、これまでの暮らしと変わらない環境づくりをサポートする商品。
今までの大人用おむつのイメージを覆す、おむつを使う方・買う方に寄り添ったやさしさ×デザイン性を両立した商品になりました。
今回は、そんな商品に込めた思いを開発担当に語ってもらいました。
大人用おむつへのニーズが高まっている今
国内の高齢化が進み、大人用おむつのニーズが高まっています。
大人用おむつは、使う方と購入する方が違うため、それぞれが感じているストレスをしっかり理解し、そこを解消することが重要と考えました。
買いやすく使いやすい、介護する側とされる側、両者の「快適さ」を兼ね備えた新しい大人用おむつの開発がはじまりました。
開発者インタビュー
ここからは開発担当の榮川智美さんに今回発売した大人用おむつについて、詳しくお話を伺っていきます。
まずは前章の「購入する方と使用する方それぞれのストレス」とは何だったんでしょうか?
榮川:はい。お客様にヒアリングを行ったところ、購入する方は、自分が使うと思われているかもという恥ずかしさから、大人用おむつが陳列されている棚の前にいる時間をストレスに感じていました。
そして、使用する方は、おむつを他人に見られると恥ずかしいのでなるべく隠したい、でも毎日使うものだから出しっぱなしにしておきたいというストレスを抱えていることが分かりました。
確かに買うのが恥ずかしいものは、頼まれものですよーという雰囲気を出しながら買っているかも。
榮川:そうですよね。実際に店舗に伺ったときに、 おむつ売り場の前でスマホを片手に「頼まれたのですが…」と言いながら店員さんに話しかけている方が何人もいらっしゃいました。 なので、まずは、製品特性を一目でわかるようにまとめることで、短時間で商品を選べるように工夫をすることが必要だと強く感じました。
アイコンが右側に揃っているので使用目的がわかりやすいですね。商品名も読みやすいと思いました。
榮川:吸収回数を水滴で表現したり、寝て過ごす方用などイラストやアイコンにすることで、シンプルさとわかりやすさの両立を図りました。
パッと見て分かる、もっと言ったら読まなくても分かるくらいを目指しました。
シンプルだけど機能やスペックはすぐ分かる。これで購入時のストレスは軽減できそうですね。
榮川:次は、使用する方のストレスになっている“隠したくなる恥ずかしいパッケージデザイン”を変化させる必要があると思いました。
「使用する方」のストレスと言いましたが、実はそれ以外にもストレスを感じている方がいたのです。誰だと思いますか?
誰でしょう、来客の方でしょうか?
榮川:正解は「大人用おむつを使用している方の子ども」です。
気を遣う来客があるときは隠しているけど、普段は利便性を取り、出しっぱなしにしている、なので、帰省した子どもはおむつを目にしてしまうのですね。
実際に、「親が年を取った現実を実感して少しさびしくなる」というお声があったのです。
目にする人すべてがネガティブな気持ちになってしまう、大人用おむつはそういう商品でした。
“おむつは恥ずかしくて隠しておきたいもの”という思いをできるだけ払拭したいと考えました。
なるほど。想像すると確かにさみしい気持ちになります。それで、今まで目にすることのなかったキルティング柄が採用されているんですね。 商品情報がシンプルな分、色分けされている点もわかりやすいですし。このあたりの表記やデザインで工夫されたポイントはありますか?
榮川: 天面と側面は、ご自宅での収納や置き場所によってお好きな面を向けて置けるように、情報表記をまとめた面と、あえて文字や訴求表記のない面を作りました。
買うときは情報が分かりやすく、ご自宅では好きな面を向けることで暮らしに馴染ませることができるというわけですね。これであれば、ベッドの近くなど使いやすい場所に置いておくことができそうですね。
榮川:様々なデザイン案の協議を重ねていく中で、無理に元気づけたり、ハッピー感を押し付けるようなデザインでは逆に失礼になるのではないかという結論に至りました。 そこで、スマホケースを選んだり、服を選ぶときのように“ファッション感覚で良いのではないか”というように方向性を決め、表面のデザインは、おむつは下着の延長という発想で、 おしゃれな下着を選ぶように、生地感のあるキルティング柄を採用しました。
パッケージについてのこだわりを伺いましたが、基本スペックとも言える機能面でこだわった部分はどこですか?
榮川:おむつについては、股ぐりの部分など以前より脱ぎ履きしやすい設計にし、薄型でもしっかり吸収を求めるお客様にも満足いただけるようこだわりました。
パッドは、紙おむつの節約の観点から使用されるシーンが増えてきていますから、一人で対応できる方から介助シーンまで、介護度合いに合わせて使えるように紙パンツ用パッドも揃えました。また、継続してご利用いただける価格設定も重要視しました。
コスパはどの商品でも、使用者にとっては大事なポイントになりますもんね。そして、何より使用する方の介護度合いというのも重要になると思うので、それぞれの介護シーンに合わせた選択肢があるのは心強いと思います。
榮川:介護用おむつを使う方には、主役として隠さずそのまま置けるデザインに。購入する方には購入時の心理的負担を軽減させ、スムーズに商品をセレクトできるようなデザインに仕上がったのではないかと思っています。
今後はどのような商品を作っていきたいですか?
榮川:今回のおむつデザインがお客様に受け入れていただければ、それに続く商品やリニューアルも検討していきたいです。
さらに介護する方、介護される方の双方にとって快適で使いやすい商品など、より良い介護のサポートができる商品を提案していきたいと考えています。
“介護”という、する側もされる側もデリケートな心理状態が続く環境から、少しでも気持ちの負担が減らせるような、生活に寄り添えるデザインを目指して開発を進めた、matsukiyo大人用おむつシリーズ。
マツキヨココカラが商品に込めた思いが、少しでも多くの皆様に伝わると嬉しいです。
この記事でご紹介しました商品は、全国のマツモトキヨシグループ店舗・ココカラファイングループ店舗(※一部店舗を除く)とオンラインストアで好評発売中です。
開発担当のインタビュー動画はこちら