![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/173655492/rectangle_large_type_2_6f4ffc44420f196442b1220bd29f0c24.png?width=1200)
通信の歴史を振り返る【人・動物を使った通信】
案内人の涼子です🔑
歴史の順序としては前後するかもしれませんが、人を含む動物に情報を乗せて送信し、受け手が受信する様な仕組みでも通信は行われていました。もっと昔から紙や骨、石碑などの文字を刻むものが存在しており、「物事の記録をとる」という文化がありました。そして記録をとったものを人間を始めとする動物を利用し、相手に直接送ることで通信をしてました。(人を使って口頭で情報伝達を行う通信もありました。)
この通信では「遠隔にいる特定の人に向けて情報を伝達したい!」という需要から生まれた通信で、現代のデジタル通信技術が登場する以前で、1対1通信を行うための重要な通信手段でした。
利点
ある意味で相手に見られない通信が可能になる。
(昔は)信頼性の高い通信の実現。
欠点
狼煙や太鼓などの通信手段よりも、伝達速度が遅い。
情報を運ぶ人や動物が途中で殺される可能性がある。
船上のような海上との通信は不可能。
このように、速度に関しては狼煙や音による通信よりも遅くなりますが、通信における新たな要望である「特定の相手のみに情報を伝える」という事を可能にする通信手段です。例を見ていきましょう!
伝書鳩
鳩の帰巣本能を利用し、空を経由する事で通信を行います。城Aと城Bがあって、それぞれが伝書鳩を飼っているとします。色でどの城の所有かを区別しています。また、巣は城の中にあるとします。
![](https://assets.st-note.com/img/1738990300-aCm048qj7SKPAFGiHe2DvVzR.png?width=1200)
使者を使って、城Aの鳩と城Bの鳩を交換します。
![](https://assets.st-note.com/img/1738990451-OzLfvFYajqytWwkbpGI8SK2x.png?width=1200)
ここで、城Bから城Aまで何か重要な情報を伝えたいとします。その際に、城Bは城Aの鳩に文書をくくりつけて、城B内のカゴから解き放ちます。
![](https://assets.st-note.com/img/1738990720-8BxWkiS5LPaHtAsR24TqmMgp.png?width=1200)
すると、鳩の帰巣本能により鳩は城Aにあった城に戻ることができます。
![](https://assets.st-note.com/img/1738990979-NgPSjIkzrhfAQZ2WHC96Kp73.png?width=1200)
城Aから城Bに情報を送る時も同様です!
現在、伝書鳩を飼うことはできますが、かなり難しい事と敵や電波の影響を受けることで、伝達成功率は60%ほどらしいです。(伝書鳩の値段はおいくら?飼育や訓練はどうするの? | ハト研究所)
また、伝書鳩の訓練もしっかりしなければならず、鳩の数が無くなると、また鳩を送るという行為を繰り返さなければ成りません。(鳩の寿命は10年ほどらしいので、しっかり訓練して伝書鳩として情報を送ることができる年数もそこまでおおくないですね…)
馬車
情報だけで無く荷物も遠隔地に送ることができます。馬車に情報をたくさん乗せて配達できるので、狼煙や鐘のような情報伝達手段よりも速度は遅いですが、伝える事のできる情報量は膨大に膨らみます。
これは、狼煙や鐘のようにすぐに伝達する必要のない情報を運ぶ上ではかなり重宝されていたと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1738993647-dvgXiKCcwom2B93ryNDshtMW.png?width=1200)
使者
使者とは、命令や依頼を受けて情報を伝達する人です。馬を使ったり自らの足で運んだりなど様々ですが、状況に応じて情報を運ぶ主体が行動を変えるので、より安全に運ぶことができます。
ここで、素人目線で「使者が裏切ることはないのか?」という疑問が湧きますが…
戦国時代の使者は、乱戦の中を駆け抜ける武勇と、状況の変化に即応出来る判断力が要求される、責任の重い役目でした。なので使者に抜擢されることは、武士にとって名誉なことだったそうです。
このように、使者が素晴らしい仕事であるという文化を作ったことで、信頼性を高めているようでした!
ここまでは、具体的な例を見てきましたが、この通信で新たに発生する問題もあります。
情報を隠したい欲求と同時に、情報を盗み見たいという欲求の発生
みなさま、噂話は好きですよね?情報を隠して通信ができる様になると、その情報が気になって仕方が無い人が出てきます。このように、多くの人々は情報を隠したいという欲求と、他人の情報を知りたいという欲求を抱えるようになりました。
この通信の誕生は、「遠くの人に情報伝達をしたい」という通信に対する要望に、「中身を見られたくない」という要望が加わったためです。そして、戦争中のこれからの動きを把握することで自陣の戦況を有利に運ぶことができるため、「どう情報を盗み見るか」がとても重要になってきます。
故に、情報を伝達する動物を途中で襲うことでその情報を盗み見ることや、使者を拷問して情報を吐かせるという事が盗聴者によって合理的な行動になっていました。
終わりに
ここまでの通信はおそらく同時的に使われてきましたが、通信する情報の中身によって使い分けが成されていたと思います。例えば、
狼煙や音:緊急時や有事の際に情報を素早く伝える。
動物による通信:第三者に見られたくない情報を伝える。
です。そこで、第三者に見られたくない情報は見られる可能性を限りなく0にしたいという要望が出てくることは自然ですよね?
昔から暗号の歴史はありますが、コンピュータなどの電気信号で計算を行う物が無い時代では、単純すぎて解読されてしまいます。ですので、「特定の人だけが理解できる通信」を遠隔で行う事で、1対1の通信をより秘匿にするようになりました!
次回は、腕木通信と旗振り通信です!