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「雪室コーヒー」が生まれるところ
毎年お楽しみいただいている「雪室コーヒー」。
今年は例年よりもご好評いただき、早々に完売いたしました!
ご賞味くださった皆さま、誠にありがとうございました!
そもそも「雪室ってなに?」というような基本情報は、昨年配信した下記記事に綴っているので、そちらもぜひご覧ください。
それでは、皆さまを雪室・上根来地区の世界へお連れしたいと思います!
今年取材させていただいた際の写真をたっぷり使いながら・・・。
標高300メートルに位置し、ここ小浜市の中でも豪雪地帯にあたる上根来地区。
初雪が降り終え少し経った2月にお伺いしました。
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「なんだここ・・・」
聞こえてくるのは、ポチャン・・・ポチャン・・・と、雪溶け水が地面に落ちる音。小鳥のさえずり。
ただ、それだけ。
静寂の中に響く自然の奏でる音。
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息を吸うと、冷たく澄んだ酸素が身体を駆け巡ります。
目の前には、3階建マンションほどの巨大な牛舎が、何棟にも連なり、その迫力は圧巻。
1991年に廃業したこの牛舎。かつては500頭ほどが、ここで飼育されていたそうです。
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鉄骨造りの無機質な牛舎を散策していると、人がここで暮らしていた面影が微かに残り、なにか異様な雰囲気。
自分の足音だけが自然の中に響きます。
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![](https://assets.st-note.com/img/1717924046577-GiVw57Ws5w.jpg?width=1200)
この牛舎の一角に、「雪室」があります。
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上根来の雪室はまず、ログハウスの要領で小屋を組み立てます。
そして、3メートルほど雪を積み上げ、畳で囲み、もみ殻等を覆い被せることで保冷。
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![](https://assets.st-note.com/img/1717924127069-Zn2BkOU1F9.jpg?width=1200)
「ここらはもう人が住んでない上、私たちも最小限しか確認に来ないようにしているから、雪室の中は空気の振動がほとんどない。それが熟成にはいいんや。」
そう説明してくれたのは、牛舎を経営していた一族の末裔である川端恭一さん。
経済的に自立した里山保全・再生活動に発展させることを目標に、
「上根来雪室プロジェクト」として、今もなお仲間たちとともに地域を守り続けています。
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「たまにあそこで火を囲って、雪室に入れておいたにんじんを焼くんや。大人だけが知る秘密の楽しみ方や(笑)」と、自慢げに笑う鳥居直也さん。
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おふたりは上根来の未来に期待しながら、まずはご自身が楽しんでいるように見えました。
「また雪かきの季節だ・・・」と、小浜で生まれ育った私は、毎年降る雪を正直やっかいものに思っていました。
しかし、ただただおいしい雪の季節の到来を心待ちにしている人々に出会い、雪室で熟成させたコーヒーのまろやかさを体感し、これまでの雪に対してネガティブな感情しかなかったことが、とっても勿体無いことだったと気づきました。
ぜひみなさまにも1度は味わっていただきたい。
ene COFFEE STANDの「雪室コーヒー」が、
雪解けの季節のみなさまの楽しみになり、上根来地区発展の当事者がまたひとり、増えることを願って・・・
text by 新田優奈