待望の“みんなのミュージアム”開園から2ヶ月。 松本社長にインタビュー
~インターン大学生通信~
今年1月9日に“みんなのミュージアム”をオープンしてから、早2ヶ月が経とうとしています。
そこで、この節にミュージアム設立の発起人である松本社長にインタビューしました!
まず私が一番気になったことは“みんなのミュージアム”設立の意図。一民間企業が、そのまちのミュージアムをなぜ作ろうと思ったのでしょうか?
―そもそもこのみんなのミュージアムを作る目的はなんだったんですか?
「僕はこれからを担っていく若者が、この場を通してもっと地元小浜に誇りを持ってほしいと思っています。伝統ある小浜の背景を伝え、少しでも好きになるきっかけとなれるような場づくり。これが結構難しいんです。
場を作る際に、若者向けにしすぎると、ただ消費されるだけの場になってしまうし。逆に、昔の歴史ばかりに執着してしまっては、彼らに見向きもされず理解してもらえない。つまり、新旧のカルチャーをどううまく融合するか。その塩梅を大切にしながら、展示デザインも工夫しました。
実際この2ヶ月で、ご年配の方だけでなく多くの若いお客様も、カフェ利用のついでにこのミュージアムで小浜の歴史に触れ、楽しんでくださっていました。初めてその姿を拝見した時は、苦労した分どこかグッとくるものがありましたね」
ここみんなのミュージアムでは、松本社長の言うとおり、小浜の発展に欠かせない存在であった北前船商人の古河屋と若狭塗の歴史を、大学生の私にも楽しくわかりやすく展示されています。
入るとすぐに聞き覚えのある心地よい音が。実はこれ、実際に小浜の海で録音した波の音だそうです。そして、もっとよく耳を澄ませると箸職人がハケで箸に塗料を塗る音、箸をカンカンと机に叩いてまとめる音も聴こえてきました!
「海は小浜にとって切っても切れない存在。ひと昔前、大陸から新たな文化を受け入れる窓口としての役割を果たした海。日本海唯一のリアス式海岸に面した小浜の海は、豊富な食材にも恵まれ、古来から朝廷の食を支えた御食国としての役割も果たしました。
つまり、海は小浜の歴史文化を築き上げたといっても過言ではないのです。小浜の伝統工芸『若狭塗』も、実は海が生んだもの。今から約400年前に“若狭湾の海底の煌めき”を図案化し始まったと言われているんですよ」
と楽しげに教えてくださる松本社長。
「あ!実は、個人的にみんなのミュージアムを作ってよかったと思える出来事がありました。オープンに向け歴史を紐解くため、塗模様帳の柄と先代の残してくれた漆器の柄を照らし合わせる作業をしようとした時、漆器に模様の名前を記したフセンが貼ってありました。全く同じ作業を先代もしていた痕跡を発見したんです!先代も次の時代に歴史を残そうという思いがあったんだと知り、驚きとともに言葉では表せない感謝の気持ちが溢れてきました」
先代の思いをバトンで受け取り、次の時代をになう若者へ繋げる。そういう場をつくった松本社長は、知れば知るほど面白いことが発掘できる小浜の可能性に一番胸ときめかせているようでした。
まずは、今の私たちが小浜についてもう少し知ってみる。小さいようで、これが大きな一歩になるんだと感じるインタビューになり、みんなのミュージアムが一層好きになりました。
このみんなのミュージアムが、たくさんの地元の人にとってのまちの誇りを取り戻す一歩になることを願わずにはいられません。