[2024/12/08] 速報・地方首長選挙 ~37州知事選挙の結果から見えるもの~(松井和久)
~『よりどりインドネシア』第179号(2024年12月8日発行)所収~
インドネシアの2024年は選挙イヤーであった。日本ではバレンタインデーの2月14日、大統領選挙、国会(DPR)議員選挙、地方代議会(DPD)議員選挙、州議会(DPRD Provinsi)議員選挙、県議会(DPRD Kabupaten)・市議会(DPRD Kota)議員選挙の投票が行われ、すべての新大統領・議員が任命されて活動を開始している。
この選挙イヤーを締めくくったのが、11月27日に投票が行われた地方首長選挙である。
選挙は費用が掛かるとの理由で、インドネシアでは、2月14日の投票のように、これらの選挙をできるだけ同じ日に統一して実施するように変更してきた。地方首長の任期は5年だが、これまで各州、県・市ごとに任用期間はバラバラで、全国各地でバラバラに地方首長選挙が行われていた。
今回は、投票日前に地方首長の任期が終了した地方へは、大統領から任命された地方首長代行を配置し、地方行政機能を継続させて支障がない状態とし、ほぼすべての地方首長選挙を統一的に実施することとなった。
ほぼすべてとしたのは、法律上、ジョグジャカルタ特別州のみはスルタンが州知事を務める規定となっているため、これを除いた州、県・市という意味である。ちなみに、地方首長選挙に直接選挙制を導入する際、民主化を求める学生や市民などが、ジョグジャカルタにもこれを適用すべきと運動し、大きな議論が起こったことがある。
というわけで、37州知事、415県知事、93市長の地方首長545ポストが改選となり、その投票が11月27日、全国一斉に行われたのである。
本稿では、37州知事選挙について、民間調査会社のクイックカウント結果による勝敗を紹介し、その結果をいくつかの角度から分析してみる。インドネシアの州は、中央政府の代理機能と地方自治機能の二つの機能を持つ行政体であるが、徐々に前者の機能が強まっている。その点も踏まえて、大統領や中央政界と州との関係も考慮したうえで、37州知事選挙の結果から今後のインドネシア政治を見ていくうえでどんなことが言えそうかについても、可能な限り、考えてみたいと思う。
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