[2023/01/08] 大統領選挙を見るための5つのポイント(松井和久)
~『よりどりインドネシア』第133号(2023年1月8日発行)所収~
2023年を迎え、インドネシアはいよいよ政治の季節へ突入しました。
来年のバレンタインデーである2024年2月14日は、正副大統領選挙、国会(DPR)議員選挙、地方代議会(DPD)議員選挙、州議会(DPRD Provinsi)議員選挙、県議会(DPRD Kabupaten)議員選挙、市議会(DPRD Kota)議員選挙、以上すべての選挙の投票日となります。また、同年11月27日には、ここ数年で任期終了となり、現在は中央政府任命の代行者が執行している100以上の地方首長を選ぶ統一選挙も行われます。
現職のジョコ・ウィドド(通称:ジョコウィ)大統領は2期目で、憲法で任期が最長2期10年と定められているため、2024年10月で任期終了となります。このため、2024年10月以降は新しい大統領となるわけですが、正副大統領選挙に誰が立候補し、誰と誰が正副大統領候補として組むのか、誰が当選するのか、興味津々の状況です。
各種メディアは、各々、「今日、選挙が行われたら誰に投票するか」といった質問で、定期的に大統領候補の人気投票を行なってきています。現在のところ、人気上位はガンジャル(Ganjar Pranowo)中ジャワ州知事、プラボウォ(Prabowo Subianto)国防大臣・グリンドラ党党首、アニス(Anies Baswedan)前ジャカルタ首都特別州知事の3人となっています。
ただし、彼ら3人の支持率はほぼ同じ状態で、誰か一人が抜け出す状況にはなっていません。また、3人とも、大統領選挙への強い意欲は見せているものの、正式な立候補宣言をしたわけでもありません。日に日に変わる国内政治状況を見ながら、どう動くかを慎重に見極めているものと思われます。
はたして、彼ら3人のうちの誰かが次期大統領になるのか、現時点ではまだ分かりません。筆者が過去の本誌で述べてきたように、ジョコウィ周辺は現政権の政策を確実に遂行する人物を望んでおり、まだ明確に意中の候補を示していないということは、そうした人物が誰かの見極めをまだつけていない、ということの表われと解釈しています。今後、3人の中の誰かが意中の候補となるかもしれないし、全く別の人物が彗星のごとく現れるかもしれません。
次期大統領は誰になりそうなのか、不透明な状況ではありますが、筆者は本稿において、1998年5月のスハルト政権崩壊後、民主化時代のインドネシアにおける過去の正副大統領選挙やこれまでの政党・政治家の動き方などから判断して、大統領選挙を見るための5つのポイントを提示してみます。そして、そのポイントに基づいた場合、どのような人物が次期大統領となるのか、既存の人気投票で取り沙汰されている人物も含めて推理してみたいと思います
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