なぜ小林製薬さんのCMで、冒頭に社名が呼ばれるとき「あっ」が付いているのか
「あっ」だ。
みなさんは、なぜ小林製薬さんのCMで、冒頭に社名が呼ばれるとき「あっ」が付いているがご存じだろうか。「あっ、小林製薬」。現在放送中のどのCMを見てみても、このナレーションは使用されてる。これらは意外に歴史が深く、2007年4月のCMから続いているそうだ。
理由は以下のものだ。
・『あったらいいなをカタチにする小林製薬です』の『あっ』
・驚きや感動、感嘆の『あっ』
これが実に効いていて、ある意味地味な「小林製薬」という社名がすごく印象的に、輝いて聞こえる。また、社名の発音にスピード感が出て、その後のCM内容もすごくドライブする感じになる。これは「あっ」の思わぬ効用なのだ。「あっ」がない、「小林製薬」だけでCMが始まるとしたら、これはなんとも「お堅い」印章だが、「あっ」が付くことで、医薬品なのに、実に親しみやすい印象になるのである。このCMにおける「あっ」は、実に素晴らしい発明だと思う。
一方で会話における「あっ」は、あまり良い印象を持たれない。
・消極的で気が弱い→「あっ」と言ってしまう人の性格の一つに消極的で気が弱い事があります。
・コミュニケーションを取るのが苦手→「あっ」と言ってしまう人は、コミュニケーションを取るのが苦手という心理の方も多いです。
・自分は何をしてもダメだと諦めている→「あっ」と言う事が口癖になっている人は、つい「あっ」と言ってしまう自分が嫌で自分は何をしてもダメだと諦めている心理の人もいます。
(※すべてイケジョ通信より)
なによりもまず、45歳で老衰の初期症状に悩むオジサン中のオジサンが、「イケジョ通信」を読んでいることがおぞましい事実である。しかし、それよりも、「あっ」一つで、こんなに壊滅的な診断しなくてもいいじゃないか!
結構いるよ、「あっ」って言う人。
「ご注文は決まりましたか?」
「あっ、担々麺で」
言うな。言う。これは言います。
「お支払いは現金でよろしいですか?」
「あっ、Suicaで」
言う。絶対言ってる。今日も言った。
「どこまで行きますか?」
「あっ、西巣鴨の交差点までお願いします」
言うに違いない。癖というか、もはやリズムだ。
ということで、実は私も生粋の「あっ」スピーカーだ。もうしょうがないと思っている。小林製薬さんよろしく、自分をキャッチ―に、スピーディに見せる方向に、「あっ」を活用していきたい。
だが。
こんなことがあった。
先日、ランチに近所のレストランを予約したときのこと。時間と人数、電話番号を伝え、最後にこう問われたのだ。
「お名前いただけますか?」
当然のようにこう答えたわけだ。
「あっ、松井です」
そしたらである。
「『アマツイ』さま、でよろしいしょうか」
アマツイ。
字が、わからない。
雨追。
こんな感じか。
演歌っぽくて嫌いじゃないが、フツー思うだろうか、「アマツイさんの予約かな」って。一方で、Amazonの新サービスっぽくもある。「アマゾン商品追跡サービス『アマツイ』」。買った商品が、今どこにあるかをリアルタイムで教えてくれるのだ。「アレクサー、昨日買った小林製薬の『オシリア』、アマツイしてみて!」「新宿の配送センターを出ました」違うのである。
「あっ」はいらないのだ。
「ま」つい、である。
あわてて強調しながら、否定した。
「ま! 松井です!」
「ま」を特に強調したのだ。そしたらこうきた。
「ママツイさまですね!」
ママ向けツイッターアプリか、私は。「ま」を強調した「松井」である可能性と、本当に「ママツイ」である可能性と、どうか両方を想像してほしいんのだ。日本に本当に「ママツイ」さんという人が存在していて、そのママツイさんから電話がくる可能性が、どのくらいあるというのだろうか。
「ママ! どうして今日もお酒飲んでるの! パパがいなくなってからヘンだよ!」
「そうね、ごめんなさい、でも止められなくて」
「ダメだよ、飲みすぎだよ! お金だってかかるんでしょ!」
「そ、そうね、いい加減やめないと、ね」
「もう絶対やめてよ! 僕、ママが作ってくれたハンバーグをまた食べたい!」
「そうだよね、ごめんね。どうしてもお酒、やめられなくてつい、、、ママ、、ツイ、、ね」
そういうことなのか!?
ねぇ!!!!!!
「ママツイさまですね!」
「はい、そうです、私がママツイです……」
うなだれ、肩を落とし、私は変なおじさん風に「ママツイ」であることを認めた。
「アマツイ」でも「ママツイ」でもいい。なぜなら、お店を訪問した際も、「ご予約ですか?」と問われれば「あっ、松井ですー」っていうに決まってるから。
・消極的で気が弱い
・コミュニケーションを取るのが苦手
・自分は何をしてもダメだと諦めている
あながち間違いではなさそうだ。鈴木さんなら「アスズキ」。山田さんなら「アヤマダ」。小林さんなら「アコバヤシ」。佐藤さんあら「アサトー」。「あっ」の使い手の皆さんは、同様の体験はあるのだろうか(書いてみて思ったのだが、「アマツイ」ほど「ハマり」が良くないな…!)。
ここまで読んだ方は、もう気がついていると思う。
「松井の野郎、書くことないな」
夏休みボケなのです。勘弁してください。
8月も下旬となり、暑さも少し和らいできた。一方でコロナの新規感染者は拡大が止まらない。どうかどうか、この玉稿ならぬ石稿を読んでいる皆様が、コロナなんてくだらないヤツに負けぬよう、心から祈りたい。
夜明けは、きっとくる!
みなさん、驚いちゃうくらいいい週末をお過ごしください。
あっ、松井でした!