団地猫、あなたとはもう会わない。
書こうか書くまいか悩んだが、日本全国で同じようなことが日常起きていて、さりとて問題にもされず見捨てられる命があるのだろうと思い、書くことにした。あまり愉快な話ではないのですがどうかご容赦ください。
可愛がる。けれど見捨てる人々
保護した時は完全にカラスの餌になっていただろう団地猫だが、オレが知っているだけで複数の餌をやる住人を目撃している。その中でもほぼ毎日餌を与えに現れる住人が3人ほどいる。その人たちから言わせれば「お世話している」「かわいそうだから餌をやってる」という言い分だろうが、団地に住む野良猫は自転車やバイクに飛び乗ってシートを傷付けつつ昼寝をしたり、テリトリーを見廻りながらマーキングする猫もいる。きれいに掃除されたところに好んでフンをするなど、他の団地住人にしたら迷惑な話だ。動物好きの人だって夕方甘え声で歩く人に餌をねだられたらかなりこたえるだろう。
自分もそう思っている一人で、いつも近所をきれいに掃除してくれるお隣の棟のご婦人と「餌はやっちゃダメだよねぇ」なんて話はしていた。ご婦人はきれい好きなので、自室周りの草取りやゴミ拾いを欠かさずやっている。それが猫のトイレにされてしまうわけだ。それでも何人かは毎日隠れるようにして現れ、コソコソと餌をあげている。そんな餌をもらっていた一匹が衰弱していなくなってしまったわけだ(オレんちにいるけど)。
餌やりを続ける人にいろいろ言いたいことはあるけれど、今まで餌をあげていた団地猫がいなくなって心配はしているだろうと思い、猫がねぐらにしていた周辺に、写真入りで保護した時の経緯を書いたビラを掲示した。
内容はやせ細った猫の写真、保護に至ったわけ、現在の予断を許さない状況。そしてもし元気になっても団地内にリリースはしない、保護した自分の責任で里親を探すことも付け加え、掲示の期限と部屋番号と氏名を記入した。もし猫が野良猫ではなく誰かの所有する猫だったりした場合にも備えてのことだ。
だが、ずっと団地に住み着いていた猫なのは周辺の住人の話で間違いないし、最近その猫が弱っていることや痩せてきていること、前脚に怪我をしていることは、餌をあげる人ならば知っていたはずだ。けれど住人たちは保護しなかった。
無責任な勝手な言い分
夜、食事中にチャイムの音。玄関に出ると同じ団地に住む初老の方だった。張り紙を見てやってきたらしい。お礼を言いにきたわけでなく、様子を伺いにきたようだ。いわく、
・一貫して猫好きを主張している
・猫は以前は別エリアに住んでいたが数年前に自分の棟周辺に移り住んでる
・その人が、保護した猫をはじめ数匹面倒見てる、自分が一番世話をしてる
・冬は自分の家のベランダで保護している、自分が一番世話をしてる
・餌をあげたあとは後片付けしているので不潔ではない
・他の住人は餌をやりっぱなしなので不潔で非常識だ
・最近やせ細って具合が悪いのは知っていたけど
・前脚に怪我をしているのは知っていたけど
・去勢手術をしてあげたのは自分だ
・保護された当日病院に連れて行こうと思ったが休みだった
・猫の様子が見たい、また保護先を知りたい
かいつまんでいうとこんな感じだった。まさに身勝手の極みで怒り心頭に発し、いいたいこともあったが話を一通り聞いたあと「もしそちら様の飼い猫でしたら勝手にしたことはお詫びしますが、危険な状況でしたので緊急で保護しました。── 中略(病気と怪我の状況を教えつつ今の容態を説明した)──、お連れするのであれば、恐縮ですが病院にかかった費用のご負担を考えていただけますか」といったところ「自分の猫ではないが、助けてくれたお礼を言いにきただけ」と態度が変わりつつお引き取りになられた。話すことは身勝手な上に、作り話と思われる事項も多く残念だった。
自分の満足のために餌を与えるだけだったのかな。猫が苦手だったオレでさえ野良猫の生活は過酷なのがたやすく想像できるけどなぁ。台風もあれば雪もある、灼熱の太陽が照らす日もある。周辺には国道が走り轢かれる危険だって大きい。そこまで猫好きを主張するならなぜ家猫にしてあげないの?下の写真は偶然4/25に撮ったもの。まだ前脚の指は怪我をしていないし、まだふっくらしていた。この時すでにぐったりしている。せめてこの時保護してくれたらと思うよ。こういった『都合の良い時だけ可愛がる』人たちが今の野良猫を増やしてしまっているのだなぁと心が痛む。せめて「元気になるまで私が家で面倒見ます」と言って欲しかった。もう猫はあなたと会いませんよ。
気を取り直して、5月19日の団地猫
病院の診察では
・相変わらず「生きていることが不思議な」程の状態に違いない
・前足の傷は猫砂を使っていると良く無いので脱脂綿して弾性包帯で保護
・生命力が感じられるので諦めず
・下痢は繰り返してくるだろうから下痢止めはこのまま継続
・食べてもあまり吸収してないようだ。腎肝臓もそうだけど飢餓による腸の機能低下も大きい
・目やにがひどいのは結膜炎が悪化してる
しかし、次から次と直してあげなきゃいけないところが繰り返すなぁ。今までは、まずは命を助ける治療を優先してもらっってたけど、合わせていろんなネガティブな要素を消していかないといけないのなー。猫ヘモプラズマ感染症をまず治して、腎肝機能が少しでも向上してくれたら、黄疸と脱水・貧血は徐々に良くなっていくだろうけど、これがダメなら「いつ死んでもおかしくない」状態が続くわけだし。 合わせて疥癬の駆虫、前脚の消毒治療、眼ヤニの除去と結膜炎の処置……。あとなんだっけw
額回りのガビガビはダニの死骸で何重にも毛が固くなっていて、柔らかいブラシでなでてあげるとごっそり毛が抜ける。強くやったらやばいから優しくゆっくりと、気持ちいいみたいでそれだけは怒らないでやらしてくれる。目と額がなおってくれば猫らしい顔になるよ。がんばろう!(一度隠れるとしばらくは出てきてくれない。最近はちゅーるでもダメ)
さくら耳は左
持ち主のいない猫を去勢・避妊した場合は、それを見分けるためにオスは右耳、メスは左耳にハサミを入れてカットするらしい。けれど団地猫はオス、カットされているのは左側(メスの印)なんでだろう。こんなもんですか?
宜しければサポートの程よろしくお願い申し上げます。いただいたサポートは全て団地猫の病院代・餌代、里親探しの費用に使用させていただきます。