まつもと たかひさ

2009年に"松ギター堂"を立ち上げ、weekend luthier(週末弦楽器製作家)としてアコースティックギターとウクレレを製作しています。材料として尾鷲ヒノキや黒柿、杉の油杢や欅の玉杢など様々な国産材を使っており、ちょっとだけ有名人です(笑)

まつもと たかひさ

2009年に"松ギター堂"を立ち上げ、weekend luthier(週末弦楽器製作家)としてアコースティックギターとウクレレを製作しています。材料として尾鷲ヒノキや黒柿、杉の油杢や欅の玉杢など様々な国産材を使っており、ちょっとだけ有名人です(笑)

最近の記事

どんな形のギターを作るのがいい?

「アコースティックギターを始めて作るなら、どの型がいいでしょうか?」そう問われたら、 「最終的には好みですけど、こだわりがないならドレッドノートをお勧めします」 と答えるようにしています。 理由その1 容量が大きい 容積が大きいので、音を作る上で(圧倒的に)有利です。基本的に小さいギター(パーラーサイズとか)を作っている私が言うのもなんですが、ドレッドノートの総単板キットをマニュアル通りに作れば、量産品レベルの楽器は簡単に作れます(暴論)。そりゃ、80万円だ200万円だと言

    • 改めて、はじめに

      前置き(ギター製作に至るまで)ばかり書いておいて、なかなか本題に入らないままなので、これではいけないと、心機一転、前置きはしばらく休止して、製作本編にはいっていきたいと思います。 ギター製作記については、何度か整理してupしていますが、2009年9月4日~2010年4月1日にかけ作成したblog「MAKING A PARLOR GUITAR」で一定の集大成となったので、それからはblogやSNSで断片的に発信するだけでした。 ただ、あれから10年以上が経ち、自分の製作方法

      • ギター製作に至るまで vol.14

        少し日付が戻って、1990年代後半のマイ・ブームの話です。 1995年だと思うのですが、本屋には個人輸入の本が並び、LL.Beanとか、あとshopの名前は忘れましたが、ファッション系のアメリカのショップから直接購入するのが、私の周りで流行りました。レートや送料等を考えると、決して安いわけではないのですが、それでも内外格差が大きかった時代、何人かで送料を割り勘して購入すれば、国内で買うよりまだまだ安く買える時代でした。 今はネットでボタンを押せば買えますが、当時はFAXで、ま

        • ギター製作に至るまで vol.13

          加齢によるものだと思いますが、年々、時系列の把握が曖昧になっていきます。すごくエポックメイキングなことがあった年(例えば震災とか)とかにあったことは、ニアリーな時期がわかるんですけどね。 さて、私にとってネット夜明け前の1998年の話、引き続き内田光広氏のお話です。「The Nylon Strings Now」と題された特集にまたまた内田光広氏が登場。この頃になるとアコースティック・ギター・マガジンも創刊され、アコギブームが起こっています。 「一体、どんな構造になっている

          ギター製作に至るまで vol.12

          少し更新が空いてしまいました。時系列の記憶が曖昧で、事実確認(というほどでもないけど)に時間が少しかかったので。前回は1991年のplayer誌の話でしたが、そこから1年後、1992年11月号のplayer誌の話です。特集のタイトルは「今ハンドメイド楽器を考える」、Part1で特集されてていたのは、内田光広氏でした。 当時、アコースティックギターの手工作家として本に出てくるのは、塩崎雅亮氏のSEAGULLぐらい、それも掲載されているのは楽器だけで、ご本人の顔も見たことがない

          ギター製作に至るまで vol.12

          ギター製作に至るまで vol.11

          PLAYER誌、1991年9月号の話が続きます。 そこにWAVERのマグネチック・ピックアップ(+ピエゾだった気がする)という未知のピックアップが取り付けられており、ピエゾのみの音に疲れていた(好みの問題でしょうけど)私は、「こんなに高いピックアップなんだから、信じられないほどナチュラルな音がするんだろうな」と夢想していました。 初めてギタークリニックで(心斎橋のイシバシにて)中川イサトさんの演奏を聞いたときに、ナチュラルな音っていう夢は破れる訳ですけど(笑) また、当時は、

          ギター製作に至るまで vol.11

          ギター製作に至るまで vol.10

          PLAYER誌、1991年9月号に「The Acoustic Guitar」という特集が掲載されます。「アコースティック・ギター・マガジン」の創刊が1997年7月らしい(リットーミュージックのHPによる)らしいので、遡ること6年程前の出来事でした。 80年代後半のエレアコブームも落ち着いて、雑誌等でアコースティックギターが取り上げられることがほぼなくなっていた時代、メジャー誌であるPLAYERに取り上げられたのは正に衝撃でした。それも取り上げられているのが中川イサトさんと、

          ギター製作に至るまで vol.10

          ギター製作に至るまで vol.9

          昔、アコースティックファンフェアというイベントが愛知県でありました。ネットで検索すると、1994年が第3回のようなので、第1回は1990年でしょうか(当時、2年に1回だった記憶があります)。もはや第1回に誰が出展したのかは不明(ネットで見つからない)ですが、最盛期には多くのアマチュア製作家第一世代ともいうべき方々が出展されいました。CRANEの鶴田さん、THIRD FIELDの三野さん等々、のみのみメーリングリストの皆さんです。 イベントには当然プロの方も出展されておられ、内

          ギター製作に至るまで vol.9

          ギター製作に至るまで vol.8

          1980年代後半にはいり、アコースティックギターは不遇の時代に入ります。1980年代を席巻したTHE ALFEEで坂崎幸之助さんが常にエレアコを弾き(「ROCKDOM -風に吹かれて-」は名曲だと思う)、1986年10月に長渕剛さんがアコースティックギター1本で録音した「STAY DREAM」がヒットしたりと、完全に火が消えたわけではないのですが、楽器店の楽譜コーナーからは弾き語り系の楽譜がどんどん消えていき、田舎のレコード店で売られていたアコースティックギターはいつの間にか

          ギター製作に至るまで vol.8

          ギター製作に至るまで vol.7

          少し話がしれましたので、ギター製作に話を戻します。80年代頃、YAMAHAのギターカタログの後ろの方に、カスタムオーダーのページがあって、自由自在とは言いませんが、既成のスタイルを組み合わせることができて、「この形にこの仕様で」などと、(無駄な)想像を膨らませておりました。 勿論、とても学生が買える値段ではなく、よくできてセミカスタムオーダーの指板ネームプレートあたりが限界点(それでも15,000円か20,000円かだった)でしたが。ちなみに、ネームプレートとか、クラシックギ

          ギター製作に至るまで vol.7

          ギター製作に至るまで vol.6

          ニューミュージックブームは1970年代後半~80年代前半ぐらいだったと思うのですが、MTV+ディスコブームの到来や、テクノポップ、更にはその後のバンドブーム等によって、「フォークギターはダサい、暗い」というイメージが広がっていった気がします。ニューミュージック自体、フォークギターを使わない楽曲が主流になってきていましたし。 ただ、完全に消え去ったわけではなく、エレアコは生き残っていて、TAKAMINEのPT106をブルース・スプリングスティーンが使っていたり、長渕剛の「STA

          ギター製作に至るまで vol.6

          ギター製作に至るまで vol.5

          さて、FG350Dです。このギターの仕様は「ギター教室」によると、スプルース単板トップ、ウォルナット合板サイド・バックとなっています。ネット上の評価は(良し悪し)様々なようですが、私的には、はじめてまともなギターを手に入れました。 ということで、いままでの弾きにくいギターから劇的に弾きやすく・・・っていうことは全くなく、なかなかうまく弾けないまま。「う~ん、ギターって難しすぎ」と思いつつ、観察してみると・・・MARUHA以上に、弦高が高くない!? 折角、35,000円も出して

          ギター製作に至るまで vol.5

          ギター製作に至るまで vol.4

          さて、もう少し私の昔話にお付き合いを。とっても弾きにくいMARUHAをっ一人で部屋で弾く日々が続いたのですが、やっぱりテレビでプロが弾いてるMartinとか、友達が持っているMartinレプリカのギターと比べると、私のMARUHAは「どう見てもフォークギターではないよなあ」と思い始めました。 もし当時、憂歌団に興味を持っていれば、私の中でのMARUHAの評価も変わっていたのでしょうが、大阪とか都会の子ならともかく、三重県でインターネットなどまだまだ無く(ようやくベーシックでプ

          ギター製作に至るまで vol.4

          ギター製作に至るまで vol.3

          一応、ギター製作のblogなので、横道にそれてMARUHAのアーチトップに少しふれておきます。同一機種がAmazonにありましたので、リンクを貼っておきますのでコピペしてください。 https://amzn.to/3Svg7Ga Maruha No. 612 Arch Top Guitar (1960s, Showa, Retro Pick Guitar, Blur Paint, Dynamic Guitar Same Age) まあ、こう書いてある通りなのですが、19

          ギター製作に至るまで vol.3

          ギター製作に至るまで vol.2

          なぜ、ギターを作るようになったのかは、マスコミのインタビュー等(物珍しさから、定期的に取り上げられている)でよく答えているのですが、「ギター弾き始めたものの、playerとして(早々に)限界を感じていた頃、テレビでギター製作教室を見て、訪問、学ぶことになりました」と。マスコミのインタビューは諸々、制限もある中で、blogは(読者の都合は気にせず)好きに自分のことを書けるスペースですので、もう少し詳しく書いてみたいと思います・・・まあ、殆どの人は興味ないでしょうが(笑)、 私が

          ギター製作に至るまで vol.2

          ギター製作に至るまで vol.1

          aboutにも書きましたが、2000年9月からギター製作を学び始め、2009年1月1日に松ギター堂として活動を開始しました。本稿執筆時点(2024.2.8)時点で、製作歴24年、工房設立15年と驚くほどの時間(だけ)が経ちました。多くの製作者と知り合い、プロアマ含め、多分知り合った製作者の半数以上が製作を止めていく中(加齢、本業多忙、生活出来ないetc.)、ここまで続けられたのは、本業の収入(大事!)と買っていただいたユーザーさん、拙作を使用いただいているプロミュージシャンの

          ギター製作に至るまで vol.1