【銭湯】これからの水風呂は「シングル」よりも「オーバー30」だ【サウナ】
お久しぶりです。仕事や私用が忙しく2か月あまり更新しておりませんでしたが、それでもスキやフォローをいただき本当にありがとうございます。来年はもうちょい投稿頻度を上げていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、2020年最後は最近の銭湯に思うところを記事にしました。
書いてから思ったんだけど、これって筆者のオッサン化により強い刺激を受容できなくなったからでは…?
…来年も頑張ろう。
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■ サウナブームと冷温ギャップ信仰
ブームを迎えて久しい銭湯やサウナに欠かせない脇役、水風呂。汗をたっぷりかいた直後に飛び込む水風呂に匹敵する気持ちよさのものを挙げるのは難しい。
※念の為補足すると、上の「飛び込む」というのは心の持ちようの話です。水風呂をプール代わりに飛び込むのは絶対にやめましょう。水風呂に入る前には、シャワーやかけ湯で体の汗をしっかり流してから。顔や頭を水に浸けるのはやめましょう。おい、やめてくれ。やめろ!やめろって!!
…取り乱してすみません。
人によっては、サウナなんて水風呂の気持ちよさのための前フリにすぎないとも言い切るほど。筆者もその一人で、水風呂→外気浴のコンボで「ととのう」ために、サウナやあつ湯で熱さに耐えるのだと考えてきました。
そんな水風呂ラバーは、あつあつのお湯やサウナと、冷たい水風呂の温度のギャップを求めてしまいがち。サウナーの間では、「アンダー15」「シングル」の水風呂が注目を集めていることがその証左でしょう。
※「アンダー15」:15℃以下の水風呂のこと。15℃を下回ると、サウナで体を芯から温めておかないと快適に入れない。余談だが最近千代田区のスーパー銭湯「RAKU SPA1010 神田」の水風呂が14℃台後半を記録し、「アンダー15」の仲間入りを果たした。邪推だけど水風呂に人が多く密になりやすいことから、温度を下げて滞留時間を短くする店側の作戦なのかも。
※「シングル」:10℃以下の水風呂のこと。一桁ゆえにシングル。ほぼサウナ施設でしか見かけない。シングルはもう異次元の感覚。サウナ内で高温の蒸気を浴びていても、入った瞬間足の末端が痛くなるので、慣れないととても落ち着いて入れない。筆者は福岡のサウナ施設「ウェルビー」で入ったきりだが、あれに慣れるということは人類に可能なのだろうか…?
■ ぬるい水風呂「オーバー30」のススメ
そんな冷温ギャップを楽しむために、水風呂は冷たくあるべしとの考えが現在支配的になっているが、筆者としてはあえて異論を唱えたい。全く逆のアプローチ、すなわちぬるい水風呂こそ、これからのトレンドだと。
温度としては概ね30度以上、屋内プールくらいのぬるい水風呂を、「アンダー15」や「シングル」と対比する意味で、筆者は「オーバー30」と勝手に呼んでいる。
手前味噌ながら、この概念を打ち出したのは筆者が初めてだと思う。というのも、国内のサウナ情報を幅広く取り扱う口コミサイト「SAUNA TIME」では、水風呂のこだわり条件として「21℃~」しか設定されておらず、オーバー30を検索することはできないので、恐らく意識されていないのではと思う。
また、「不感温」という、人肌程度に設定することで温度を感じさせないお湯もあるが、これは人肌との温度差を限りなくゼロに縮めるというコンセプトで、ほどほどの温度差でじんわりと爽快感を楽しむというオーバー30の思想とは微妙に異なる。
さて、オーバー30の良さとして、
①少ないサイクルでととのいやすい
②初心者に易しい、
という点が指摘できる。
①少ないサイクルでととのいやすい、について。
入り際のヒヤッとする感覚がない一方、丁度よく清涼感もあって体も冷え切らないのでずっと入っていられる。冷たすぎる水風呂だと長く入っていられず、サウナ→水風呂→外気浴のサイクルを何度も回さないといけないこともあるし、混み具合によっては自分のペースで入れないこともある。その点、オーバー30だと1サイクルは長くなりがちだが1回転でととのえるので、結果短時間でリラックスできる。
②初心者に易しい、について。
10~20℃台の水風呂は入り慣れないとハードルが高く、サウナーが増えない理由の一つだと思う。オーバー30の水風呂ならプールと同じぐらいなので違和感なく入れるし、これを入口にもっと温度の低い水風呂にチャレンジしてもよい。
筆者がオーバー30の気持ちよさを実感したのは、足立区北千住の「タカラ湯」の水風呂でのこと。タカラ湯にはサウナこそないものの、湯温の高い浴槽が多かったため、あつ湯と水風呂の交互浴を行った。
大袈裟かもしれないが、タカラ湯の水風呂体験は衝撃的だった。水流で爽快感があるのに冷えすぎる感覚がなく、気持ちよさに包まれてずっと入っていたくなった。
サウナーの「ととのい」はコンディションや入り方に左右される現象だが、この日は1サイクルで、従来なかったほど深い「ととのい」に入ることができた。なにより、気持ちよさを得るために無理している感じがないのがとてもよい。
これ以来、ぬるい水風呂を提供する銭湯は必ずチェックするようにしている。
■ 都内の「オーバー30」水風呂たち
最後に、個人的に都内でお薦めの「オーバー30」水風呂を紹介します。
もしお読みいただいた方で、ここ以外のオーバー30の水風呂をご存知の方は、ぜひ情報をお寄せください。ダッシュで入りに行きます。
※水温計等から30℃以上であることを確認したものは施設名に「★」を付しています。その他については、オーバー30の根拠は筆者の体感によるものです。
①★タカラ湯(足立区):水流×水風呂
上で扱ったので詳細は繰り返さないが、筆者がオーバー30の素晴らしさに目覚めるきっかけとなった銭湯。風呂上がりの休憩に最高な、池を備えた庭園など風呂以外のクオリティも高く、東京メトロのCMとはいえ石原さとみが訪れるだけのことはある。
タカラ湯についてレポートした記事はこちら↓
②改正湯(大田区):黒湯温泉×水風呂
蒲田の改正湯は大田区に多い、植物質が溶け込んだ黒湯が名物だ。もちろん普通の温泉や、ここにしかない黒湯炭酸泉も素晴らしいのだが、目立たないながら良い仕事をするのがオーバー30の温泉水風呂だ。
水風呂は2人入るとぎゅうぎゅうになってしまう狭さだが、ほのかに黒い濁りと独特の温泉臭があり、体感35度程度のぬるさが炭酸泉で温まった体をクールダウンさせるのにちょうどいい。
改正湯についてレポートした記事はこちら↓
③押上温泉大黒湯(墨田区):露天×温泉×水風呂(サウナ有)
押上にある大黒湯も改正湯同様汲み上げの天然温泉だが、こちらは黄濁色で硫黄臭が強い。温泉は豪華にもスカイツリーを眺められる露天風呂で、2つある浴槽のうち1つは通常の温泉、もう1つは体感30℃程度の水風呂だ(内湯にも10℃台後半の水風呂がある)。
サウナもドライとミストの2種類あるが、個人的にはじんわり蒸気で温まるミストサウナからの温泉水風呂をおすすめしたい。時間をかけてクールダウンした体を、屋外2階の休憩スペースでリラックスさせれば、確実に「ととのい」を得られる。
④★御谷湯(墨田区):不感温のマジック
墨田区本所御谷湯も、薄い黒湯といった感じの天然温泉が名物だ。ここで扱う水風呂の水温は35~36℃程度と、上述した不感温温泉なのでオーバー30の定義から微妙に外れるが、非常に素晴らしいので紹介したい。
不感温だと温度ギャップがないため、水に入ることによるリラックス効果を感じられるという。さらに御谷湯の場合、奥まった真っ暗の空間に水を満たしているので、自分の体が浮いている感覚だけに集中でき、こんがらかった頭の中を整理したり、メンタルを整えたりするのに非常に向いている。
また天然温泉も温度別に浴槽が分かれていたり、打たせ湯や半露天などユニークな種類の風呂があったり、銭湯レベルではない施設の充実っぷりが魅力だ。
御谷湯についてレポートした記事はこちら↓
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ここまでお読みくださりありがとうございました!
以上、来年30になろうとする筆者がお送りしました。オーバー30の歳も変わらぬお引き立てをよろしくお願いいたします。
よいお年をお迎えください。