独身男性が東京の銭湯を勝手に評価する(その6)
■ 銭湯熱、再燃
実はこのシリーズ、自然消滅かなと思っていたんですよね。家から行きやすい銭湯はだいたい行ってしまって、寿湯とか燕湯みたいにイイ感じの銭湯も見つかり、新規開拓にちょっと飽きていたという。
しかし、この度の緊急事態でおよそ2ヶ月ものあいだ足を伸ばして湯舟に浸かるという、これまでずっとやっていた当たり前のことができなくなり、改めて思いました。
いやあ、銭湯って本当にいいものですね。
というわけで、このシリーズを再開します。再開どころか、都内の全銭湯行くぐらいの勢いでやります。
今回は温泉オアシス台東区、都心の千代田区、北区の「泊まれる銭湯」。
■ 評価ポイント・方法
評価のポイントは以下の10項目。(各項目1~10で、10が最高)
・アクセス・・・最寄り駅とその距離、道中の施設など
・外装・・・外見の年季入ってる感だったり、ユニークさ
・内装・・・内装の綺麗さやユニークさ
・入浴設備・・・風呂の広さ、レパートリー、快適さ、サウナの有無など
・備品・・・シャンプー、石鹸、ドライヤーなどの有り無し、有料無料など
・接客・・・スタッフの接客態度、気配り
・入浴以外の設備・・・飲食、休憩所などお風呂以外の設備の充実度合い
・混雑度・・・人の多さ
・客層・・・民度、どんな人が多いか
・営業時間・・・長いほど高ポイント
※本記事の情報は執筆時点の情報です。開閉業、営業時間、定休日などの最新の情報は銭湯に直接お問い合わせください。
■ 帝国湯(台東区)・・・推定44℃。あつ湯パラダイス
・アクセス・・・・・・6。浅草橋駅から徒歩10分
・外装・・・・・・・・8。いわゆるビル型。レンガ作りがお洒落
・内装・・・・・・・・5。生活感漂う。ホコリがちょっと気になる…
・入浴設備・・・・・・8。浴槽2つ(バブルバスとジェットバス)。両方ともあつ湯
・備品・・・・・・・・7。シャンプー・ボディソープの備え付けがある。シャワーのないカランがあるのが気になる
・接客・・・・・・・・7。可もなく不可もなく
・入浴以外の設備・・・6。ほぼなし
・混雑度・・・・・・・8。人が少なくてゆったり
・客層・・・・・・・・7。お年寄り多く、にぎやか
・営業時間・・・・・・7。夕方~深夜
・総合評価・・・・・・69/100
【総評】
帝国湯はドラマ版「孤独のグルメ」にも登場した鳥越神社やおかず横丁の近くに位置する、レンガ造りのビル型銭湯だ。仰々しい名前に似合わず、洒落たレンガ造りのビル型銭湯からは「帝国感」はあまり感じられない(フィクションにおける帝国って、もっと重々しいイメージない?)。
しかし、東京の銭湯情報が掲載された東京銭湯マップというウェブサイトがあるのだが、帝国湯のページには「熱めのお湯が好きな方、よろしく」と書いてある。
出所:東京銭湯マップ
東京下町には、御徒町の燕湯をはじめとしてあつ湯系の銭湯が多いのだが、そんな中にあってなお、あつ湯アピールするだけのことはあった。
浴場には浴槽が2つ横並びになっているが、体感でどっちも44℃はあったと思う。44℃というと、すぐには体を浸けられず、足から徐々に慣らしていかないといけない程度の熱さだ。
ここで我慢して汗をかき、カランで冷水を浴びると交互浴がじつに捗る。普通の銭湯の温度では、水風呂がないとどうしても交互浴の効果が得にくいのだが、ここまで熱いとそれも関係なくなる。
ちなみに浴槽の温度計は38℃を指していた。嘘つけ。
温泉オアシス台東区が誇るあつ湯文化のまさに「帝国」。長湯せずサッと浸かってサッとあがり、おかず横丁に繰り出そう。
帝国湯
住所:〒111-0053 台東区浅草橋5-27-2
営業時間:15:30~24:00
定休日:土曜日
■ 弁天湯(台東区)・・・入口の弁天様がトレードマーク
・アクセス・・・・・・8。JR浅草橋駅から徒歩3分
・外装・・・・・・・・6。ビルの1階、少し奥まった場所
・内装・・・・・・・・8。生活感の漂う雰囲気
・入浴設備・・・・・・7。プール様のタイル張り。浴槽2つ
・備品・・・・・・・・9。シャンプー、ボディソープ備え付け。ストックたくさん
・接客・・・・・・・・8。若いスタッフが複数人いて、フレンドリー
・入浴以外の設備・・・7。マッサージチェアあり
・混雑度・・・・・・・8。駅近の割に空いている
・客層・・・・・・・・7。地元の人メイン
・営業時間・・・・・・8。夕方から深夜まで。日曜は早め
・総合評価・・・・・・76/100
【総評】
銭湯に遠征するときは、行き帰りに湯冷めしたり汗をかいたりしたくないため、なるべく駅から近いとありがたい。しかし銭湯は徒歩圏内のお客さんを対象としているため、必ずしも駅から近いとは限らない。
そんな中、弁天湯は浅草橋駅から徒歩3分の好立地にある素晴らしい銭湯だ。入口に小さな弁天様の社があり、これが屋号の由来なんだろうけど聞くのを忘れてしまった。
弁天様の社
こういっちゃなんだが、設備もサービスもなんてことない普通の銭湯だ。ただ浴室や休憩所で、地元のお年寄りたちがあいさつを交わすのを聞くに、そういう普通の場所こそ必要なんだろうなあと思う。
個人的にうれしいポイントは、無料のシャンプー・ボディソープがたくさんあるところ。最近は無料で使わせてくれるところも多いのだけど、2つくらいしかないと順番待ちになったり、独占されたりすることもあるので、これはありがたい。
弁天湯
住所:〒111-0053 台東区浅草橋1−33−6 浅草橋シティハイツ1階
営業時間:15:30~23:30(日曜、祝日は12:00から)
定休日:第2・第4月曜、元日)
■ 梅の湯(千代田区)・・・本の街のお風呂屋さん
・アクセス・・・・・・9。地下鉄神保町駅から徒歩1分
・外装・・・・・・・・7。一見銭湯に見えないビル型
・内装・・・・・・・・8。板張りで清潔感がある
・入浴設備・・・・・・8。浴槽は1つ。ジャグジーや電気風呂あり
・備品・・・・・・・・8。シャンプー、ボディソープあり
・接客・・・・・・・・7。可もなく不可もなく
・入浴以外の設備・・・7。休憩スペースあり
・混雑度・・・・・・・7。平日夜でもそこそこ人がいる
・客層・・・・・・・・8。地元のお年寄り多め。ほどほどに賑やか
・営業時間・・・・・・8。夕方から深夜まで
・総合評価・・・・・・77/100
【総評】
梅の湯は神保町駅のA2出口から徒歩一分の好立地(駅がデカいから結構移動距離が必要だけど)。
浴槽はドーンと1つで、中でジェットバスや電気風呂などのスペースに分かれている。温度は40℃だろうか。足を伸ばして白湯にのんびり浸かるのが好きなので、個人的にはこの造りがうれしい。
日本最大級の古書店街を擁し、日大や専修大など大学の多い学生街でもある神保町だが、銭湯はこの1軒だけしかない。だからなのか、地元のお年寄りらしいお客さんで賑わっていた。派手さはないが、できるならずっと続いてほしい場所だ。
梅の湯
住所:〒101-0051 千代田区神田神保町2−8−2
営業時間:15:00~24:00(祝日は~23:00)
定休日:日曜日
■ バン・ドゥーシュ(千代田区)・・・レストランかと思ったら銭湯だった件
・アクセス・・・・・・9。地下鉄麹町駅至近。
・外装・・・・・・・・7。ビル型で、半地下
・内装・・・・・・・・7。生活感がある
・入浴設備・・・・・・7。浴槽二つ。ジェットバスあり
・備品・・・・・・・・7。使い捨てシャンプー、ボディソープあり
・接客・・・・・・・・6。可もなく不可もなく
・入浴以外の設備・・・8。ランドリー併設
・混雑度・・・・・・・5。皇居ランナーでかなり混む
・客層・・・・・・・・8。地元の人が多い
・営業時間・・・・・・8。夕方から深夜まで
・総合評価・・・・・・72/100
【総評】
名前だけをみれば、都内で最もユニークな銭湯がこのバン・ドゥーシュだ。
洒落たフレンチレストランのような響きだが、まさしく「ドゥーシュ」はフランス語でジャグジーの意味らしい。
オフィス街の麹町という立地と名前に敷居の高さを感じるかもしれないが、中身はいたって庶民的な銭湯である。
というか、庶民的すぎて一瞬気づかないかもしれないレベルだ。
入口はこんな感じ
東京マラソンをきっかけに皇居ランナー向けの荷物預かりなどを本格化させたそうで、同じ千代田区の稲荷湯などと同様にランナー需要をうまく取り込んだようだ。
参考:東京銭湯 - TOKYO SENTO -
ただ、お世辞にも広いとは言えない浴槽にランナーがかなりいるので、すぐにでも汗を流したいニーズがなければ敢えて行くことはないかな…
バン・ドゥーシュ
住所:〒102-0083 東京都千代田区麹町1丁目5−4
営業時間:15:00~24:00(土曜は12:30~23:00)
定休日:日曜日・祝日
■ 殿上湯(北区)・・・世にも珍しい、宿泊できる銭湯
・アクセス・・・・・・6。JR上中里、駒込駅から徒歩9分、南北線西ヶ原駅から8分
・外装・・・・・・・・8。クラシックとモダンの折衷
・内装・・・・・・・・8。清潔感があって居心地が良い
・入浴設備・・・・・・8。浴槽は3つ。水風呂あり
・備品・・・・・・・・8。無料シャンプー・ボディソープあり
・接客・・・・・・・・7。可もなく不可もなく
・入浴以外の設備・・・9。「銭湯民泊」として宿泊を提供。マッサージルームもある
・混雑度・・・・・・・8。週末は比較的混み合っている
・客層・・・・・・・・8。地元の人も、遠くから来たであろう銭湯ファンも混ざっている感じ
・営業時間・・・・・・9。朝湯あり
・総合評価・・・・・・79/100
【総評】
銭湯といえば前述の通り台東区や荒川区のイメージが強いが、北区も負けず劣らずの銭湯オアシスである。人口1万人あたりの銭湯数は0.8と、上の2区に次いで堂々3位に位置付ける。
人口1万人当たり銭湯数(筆者作成)
そんな北区で最も尖った銭湯が、この殿上湯だ。
なにしろこの殿上湯、泊まれるのである。
airbnbで3室を提供しており、1泊5500円から泊まれるようになっている(2020年5月末時点。詳細は下記の殿上湯公式ウェブサイト参照)。宿泊者は銭湯入り放題。ひとんちに泊まってお風呂に入ってくつろぐ、最高の贅沢ではないだろうか。
宿泊以外にも、銭湯スペースを貸し出してのイベントなどにも対応しており、「古き良き」に甘んじることなく、銭湯文化を次代にアップデートしていこうという心意気が感じられる。
そして尖っていても、銭湯としてのクオリティもしっかり高い。沸かすお湯にはくみ上げの井戸水と備長炭を使い、ペンキ絵は伝統の富士山。
日曜には朝湯も提供しており、こんな銭湯があれば毎日通ってしまいたくなること請け合いだ。
殿上湯
住所:北区西ケ原1-20-12
営業時間:16:00~23:00(日曜のみ 8:00~12:00も営業)
定休日:金曜日
ここまでお読みくださりありがとうございました!