独身男性が東京の銭湯を勝手に評価する(その14:豊島区・北区編)
今回は東京豊島区、北区の銭湯を紹介します。「お婆ちゃんの原宿」巣鴨周辺のこのエリア、銭湯のレベルが高すぎる…
※新型コロナウイルス感染症の影響で、営業日や営業時間を一時的に変更している銭湯が多くなっています。
本稿では最新の情報の発信を心掛けておりますが、実際の営業についての確認は各銭湯にお願いします。
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■ やすらぎの湯 ニュー椿(豊島区)・・・圧倒的偉容を誇る銭湯デパート【95点】
中山道を巣鴨から都電方面に歩いて行くと、通りを向かって右手側に現れる大きなビル型銭湯。
外観。「でっけ!」という幼稚園児の感想しか出てこない
ビル型銭湯といっても普通はマンションの1階部分であったりと、建物の一部のみが銭湯であることが少なくないのだが、ここの場合は4階建ての建物がすべて銭湯とラウンジに使われており、コインランドリーも併設している巨大ぶりだ。
デパートみたいな広さ
さて、このニュー椿は普通浴場なので基本の入浴料金は470円(今度値上がりしてしまう…)だが、サウナの手ぶらセット(シャンプー、リンス、タオル類含む)が1,300円、サウナとタオルのみのセットが1,200円と、界隈の銭湯サウナとしてはかなりの強気設定だ。この辺りの銭湯サウナは入浴料金と併せて7~800円程度なので、500円ほど高いことになる。
最初に訪れた時は、4ケタ円出すほどの価値があるのか?と疑って浴室だけ利用したのだが、先日2回目の訪問でサウナを利用して、その先入観はぶっ飛ばされた。もちろんいい意味で、である。
さて、ニュー椿は広すぎて筆者は全設備を体験したわけではないため、可能な範囲で詳細を書くことにする。
浴室は建物の2階部分と3階部分に割り当てられており、毎日に男湯女湯が入れ替わる(奇数日:男性2階・女性3階、偶数日:女性2階・男性3階)。
浴室は白湯・ジェットバス、マッサージ風呂、薬湯など豊富な種類の内湯のほか、露天風呂がどちらのフロアにも作られている。2階の和風な雰囲気の露天風呂も心地よいのだが、個人的なおススメは3階の露天風呂。
上階だからか開放部が2階の露天に比べて広く作られていて、まずそのあけっぴろげ感に驚かされる。湯温は41℃台前半と熱すぎずぬるすぎずちょうどよい塩梅だ。白湯の他に、頭上からお湯が落ちてくる打たせ湯のスペースもある。休憩用に椅子も2脚用意されていて、広い空を見上げながらの休息は最高の癒しだ。
さて、名物サウナスペースは更衣室から浴室を経由して行くことができる(サウナ鍵が必要)。3階部分には温度が低めなハーブサウナと高めのロッキーサウナの2種類のサウナ、水風呂、休憩用の椅子(7脚)、シャワー、給水機などがあり、広さ、設備の充実度ともに一般的な銭湯サウナの標準をはるかに凌駕している。
ハーブサウナには塩が用意されており、肌に塗りこんで汗で流すと肌がつるつるになる。比較的温度が低いうえ、テレビもあるためゆったり過ごすのに向いている。じっくり汗を流してお肌をきれいにしよう。
そして個人的に出色なのが、高温のロッキーサウナだ。丸太造りのログハウス風の空間に、丸木と石を組んで大きなサウナストーブを設置している。賑やかなハーブサウナと異なり音楽が流れているのみの落ち着いた空間を作り上げており、巣鴨に北欧風のサウナ室を出現させているのは見事としか言いようがない。
私は暑がりなので、サウナに入ってもすぐに「いつまで我慢するか」と考えがちなのだが、ここはあまりに雰囲気が良すぎて、「可能な限りいつまでも入っていたい」と思えるほどだった。
ただしそれだけのクオリティがある分次々と人が入ってきて、サウナシートベースで10以上のキャパシティが常に一杯だった。時間帯をうまく見計らわないと密になってしまうかもしれない。
水風呂は水温系の表示では20℃弱だが、明らかにずっと低く、体感15℃ないくらいの冷たさ。サウナに長居して温まり切った体をキュッとクールダウンさせるにはうってつけだ。ちなみにサウナ室外の浴室にも水風呂がある。サービスが良すぎないだろうか。
最早スーパー銭湯やサウナ施設と区別の付かないレベルの高水準な入浴体験。巣鴨の近くに住むべき理由の7割方が、ここにあると言っても過言ではない。
やすらぎの湯 ニュー椿
住所: 〒170-0002 豊島区巣鴨5−20−3
営業時間:15:00~24:00
定休日:木曜日
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■ 巣鴨湯(豊島区)・・・地蔵通りの庶民派銭湯【88点】
都電の庚申塚駅から歩いて数分、とげぬき地蔵尊のある地蔵通りが丁度終わるころの地点に位置するビル型銭湯。
下足から番台に向かうと、愛想のよいお母さんが迎えてくれる。ロビーで特に目を引くのは大きな鉄道ジオラマだ。店主の趣味だろうか。
更衣室がかなり広く、ロッカー数が50以上はあろうか。それに比例して浴室もゆったりスペースが取られており、一般の銭湯にしては広めだ。
浴槽は全部で3つ。まず最も広い白湯には一人用のジェットバスが2か所備わっているほか、最近では珍しい打たせ湯もある。そして下町銭湯にありがちな、浴槽の中から照明を照らすタイプのスペースもある。どうしてそういうものがあるのかは未だにわかっていない。
隣の浴槽は3~4人程度の小ぢんまりとしたぬるめの浴槽で、サウナ活の締めくくりにちょうどいいかもしれない。
最後はその隣にある2~3人収容の水風呂だ。水温計の表示は15℃だが、バイブラ式で体感温度が少し低いことを加味しても20℃弱といったところ。ぬるめの水風呂が好きな私には非常にちょうど良い。
サウナは大きくはないが清潔なドライサウナで、300円の利用料金にでフェイスタオル・バスタオルが付くのはお得感がある。
近隣住民の利用が多いためかシャンプーやボディソープの備え付けはないが、それも気にならなくなるくらい開放的な空間が有難い。「でっかい湯船に入れる」という銭湯の根源的な価値を思い出させてくれる、巣鴨の良銭湯だ。
巣鴨湯
住所:〒170-0002 東京都豊島区巣鴨4丁目13−9
営業時間:16:00−24:30 日曜15:00-
定休日:金曜日
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■ 飛鳥山温泉(北区)・・・露天とサウナが魅力の温泉旅館風銭湯【90点】
名前に反して天然温泉ではないものの、温泉旅館並みの入浴体験が叶うのが、王子駅から徒歩10分程度の飛鳥山温泉である。
首都高環状線に沿って走る明治通りから少し入ったところ、目の前のセブンイレブンと、漫画家の松本零士氏がキャラクターデザインを務めた商店街の看板が目印。
商店街の入口。わかりづらいがメーテルが上にいる
隣にコインランドリーのあるビル型銭湯で、下足場やロビーの休憩室の面積からしてかなり広いことがわかる。下足箱の数から考えると、男女合わせて最大100人近く収容できるんじゃないだろうか。
入口には東京都北区浴場組合の公式キャラクター「ゆきたん」の像が出迎えてくれる。1月にはしっかり防寒し、5月には端午の節句にちなんだ格好をしているなど、季節感も抜群だ。
「ゆきたん」の石像(1月仕様)
子どもの日仕様
浴室構成は男湯と女湯を仕切る壁沿いにお湯の浴槽を並べるスタイルで、浴室とは別にサウナ室と露天風呂へ続くドアが奥にある。水風呂は露天スペースへの入り口近くに設えられた形で、サウナからの動線もよい。
サウナはドライサウナで、砂時計で時間も管理できる。キャパシティも公衆浴場としては広めで、ソーシャルディスタンスを取りやすいのが有難い。
サウナに隣接し、窓からも見える露天は岩風呂風味で雰囲気抜群。深めと浅めのスペースを組み合わせており、入浴客は思い思いの体勢でくつろいでいる。外気浴用の椅子もしっかり2脚用意されていて、サウナ→水風呂→外気浴の黄金サイクルを最短経路で実現できる。
温泉旅館のような風情に引っ張られるのか入浴客の振る舞いもどこか落ち着いていて、人は集まっていても騒がしくない点も高評価。少しいいことがあった日に入りたくなる銭湯だ。
飛鳥山温泉
住所:〒114-0023 東京都北区滝野川2丁目43−2
営業時間:14:30~24:00、日曜13:30~
定休日:火曜日
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