西洋かぶれのオッサンが、どうしてもやってみたかったことを父親の葬儀で決行
チチキトクスグカエレ
もう歳も歳なので、付き合いのある人たちの多くも歳が歳でして、これから不幸に遭遇する確率がハネ上がるかと思い、まずは革靴の準備をしてまいりましたが、
その“ローク”アルドウィッチ『靴おろしの儀』を、親父の弔いで発動させることになるとは…
地元の久留米にいる弟から、パッパがもう長くはないと連絡があったあと、2日後には旅立ったとのメールがありました。
葬儀までには、帰らなければならない…
白のドレスシャツや黒の30mm幅ベルト、ロングホーズの黒くつ下はあれど、礼服と黒タイの『冠婚葬祭専用アイテム』がココにはない。
ネットで済むものはネットでほとんど調達してきたのでネットで探そうとしましたが、時間がなくてあえなく断念。
仕方なく、近所のリアル洋服の青山で買うことに。
服装規定
ハズレも含めて、ファズばかり買いすぎた(最近は、そのハズレファズを1番かけている)“エフェクター”は、もう『お腹いっぱい』。
そう思っていたのに…
毎日100円ずつ販売価格を下げていく、ほぼ“エフェクター”専門セラーがメルカリにいるのですが、そのセラーからライダースジャケットが有名な“ルイスレザー”とのコラボ作品、アヴィアキットの新品が出品されていて、
31.799円→30,210円へと一気に値下げをされたので、条件反射でついポチッてしまったのです。
前回、こちらのセラーからおなじメガネが売り出された際に、31,999円で購入されていたのを知っていたのでなおさらです。
ポチッたアヴィアキット、じつはクリアではなく薄いグレーのレンズが入っていまして…
アメリカの葬儀では、セレモニーでサングラスをかけている参列者がいるシーンをよく目にします。
でもそれを、日本でやるのはマナー違反だと。
そもそも、カラーレンズが入ったメガネをかけること自体が、死者や司祭者を冒涜しているという理屈が理解できない。
なので、色メガネをかけて式に臨む。
(年をとったおかげで涙腺がユルくなり、もし情が高ぶって「うるっ」となったところを見られでもしたら、ばつがわるいから)
そうはいっても、他人の葬儀でこれをやるには少々はばかられますが、今回は身内だけの家族葬で喪主(うちの弟)でもない。
ストックでたとえると、“JMM”ディランをかけてDQNなオッサンを演じたいわけではなく、
“エフェクター”ではそこまで主張する大きさでもなければ、レンズの色もそこまで濃くはないアイウェアをかけると言っているだけ。
(“ルイスレザー”フューチャリングなだけに、玉型はややとんがっているけど…)
ということで葬儀当日の早朝はJR名古屋駅、アヴィアキットをかけてのぞみ273号 博多行に乗り込むのです。
多様性と寛容性
式はつつがなく終わり、白い目で見られることもありませんでした。
それよりも…
参列者は親類筋でほとんどを占めていたのですが、男性陣でストレートチップの革靴を履いていたのは、『絶滅危惧種レベル』の少数派。
「シボ革のフルブローグガー」とか、「ダービーのプレーントゥガー」なんか『靴ひも』がある分まだマシなほうで、スリッポンやモンクストラップの者まで。
あれだけ、ファッション関連のWebサイトやYouTube動画で、「冠婚葬祭には、黒の内羽根キャップトゥ」と口を酸っぱくして言っているのにもかかわらず、現状はこんなもんです。
そのうち、黒ければレザースニーカーを履く者まで出てくるいきおい。
ということは…
マナー講師などの言う「すべき」「すべからず」の同調圧力に、そこまで神経質になる必要はない時流なんですよ。
最後に、アルドウィッチの話をすこし。
基本、オープンチャネルのマッケイ製法以外はレザーソールにハーフラバーを貼らない派なので、オープンチャネルでもグッドイヤーウェルト製法のアルドウィッチは、素のまま持ってきたのですが…
斎場の床がカーペットだったので油断をして、焼香のときにあやうくコケるとこでした。
レザーソールの恐ろしさを、完全に忘れてますた(汗)