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黄昏のタクシー業界にまつわるエトセトラ〜ニューノーマル編

前回記事:

2024年の4分の3が経過し、人々の行動スタイルが『コロナ禍前』とは明らかに異なったのをいよいよ実感している。
福岡地区は、
・マイカー利用の定着
・新しい移動手段の普及(シェアサイクルやレンタル式電動キックボードなど)
・夜間移動需要の明らかな減少(みずほPayPayドームの大規模イベント後以外)
・タクシー需要の季節変動の明確化(雨季・夏季の需要の高まりとそれ以外の需要減少)
が見られ、初乗り運賃と加算料金の引き上げ・迎車料金(予約手数料)の復活後の売上伸び悩みも起きている。
これを『ニューノーマル』と言わずしてなんというべきか。

季節変動以外にも夏季のスコールなど荒天時のタクシー需要の急増が見られるが、天候が安定してくると需要は減少している。

マスメディアや政財官界やインフルエンサーより『タクシー不足』が叫ばれ、『ライドシェア』の拡大を目論む動きが続いているが、過去にも書いたようにターミナル駅や繁華街のタクシー乗り場に客待ちの行列が朝から晩まで出来ていないことを見れば、タクシーが余っている(正確にいえば需給のミスマッチというべきか)と理解するのが正しい。

例えば中洲地区は、コロナ禍後(ウィズコロナ)の今コインパーキングが目立つようになったが、これはナイトクラブやスナックなど飲食店が入居していたビルのうち古いものがコロナ禍の中で廃業・移転などで消えていった結果である。
人出もコロナ禍前と比べると体感的には
・平日夜:3分の2
・金土夜:8〜9割
・日祝夜:半分以下
という具合である。

人出が回復しているのは東京・大阪・名古屋の三大都市圏くらいで、他は明らかに減少している。
地域によってはタクシーすら消え始めている。

タクシー業界に関わる人々は、もはや『コロナ禍前』には戻らない、と発想を切り替えるべきではないか。

参考ポスト

タクシー以外にもマイカーと競合している路線バスが民営で十分成り立ってきた時代は終わった。

1980年代の『中曽根行革』時代に始まる公営事業の民営化は、『民』の全般的弱体化により転換点を迎えているのではないか。

個人的には、マイカーと競合している乗り物は今後
・再公営化
・公営化しても事業が持続できない場合は公営ライドシェアなど小回りの利くモデルへの移行
のふたつの道を進むことになるとみている。

今後の参考例となりそうな事例が、茨城県のつくば市・下妻市・土浦市・牛久市でスタートしている。
詳細は五十嵐つくば市長のポストに譲るが、半官半民でライドシェア運転手のタクシー運転手への移行を考慮した枠組みである。

『日本版ライドシェア』が2024年にスタートし、わずかながら『ライドシェア』の表示を出している車を見る機会もある。

治安やモラルの問題でタクシーの使い勝手が悪く、ライドシェアが既に展開されている国・地域のような完全自営業(日本の個人タクシーに近いイメージ)と異なり、
・走らせるタクシーを増やしたい
・人手不足を補いたい
・非正規雇用の導入加速により人件費を抑えたい
タクシー会社の思惑が見え隠れする枠組みになっている。

だが、本当の問題は、
・年金暮らしや何かしらの副業がある人、会社勤めだとできないことをやりたい人でないと務まらない現状
・公共性の名の下で労働者に犠牲を強いてきた歴史(『総括原価方式』の影響による低賃金、職業運転手の保護が無視されている交通法制、カスタマーハラスメントと『お客様は神様』意識、車を出せば儲かっていた時代のままのビジネスモデル…)
・一匹狼的な気質のタクシー運転手をどう保護し、職業・ビジネスとして成り立たなくなっている現状の改革
が進んでいないことではないか、と思っている。

これらに象徴される労働問題や経済問題・社会問題がまともに政治問題として世論にのぼらないまま、地方自治体に負担を強いて国政選挙に突入することになった2024年秋。

Xの政治マニアや諸党派支持者の間でまたも繰り返される覇権争い・党派争い。
所詮は人々の暮らしよりも闘争が好きな有閑階級(もどきかも)の暇つぶしにしかならないネットバトルには背を向けていきたい。

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