衆議院議員総選挙2024観察記:【『大丈夫』か、共産党】編
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2024年衆議院議員総選挙は、平戸藩9代目藩主だった松浦清(号:静山)が『剣談』に残した
『勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし。』
という言葉を思い起こさせる顛末だったように見える。
この『負けに不思議の負けなし』、近い時期に行われたアメリカ合衆国大統領選挙についても言えそうである。
今回は勢力を後退させた共産党について個人的感想を書いていく。
1:ハラスメント問題について
近年の国政野党の党派(特に共産党・日本維新の会・参政党)は
・上意下達型でイエスマン中心の運営
・非主流派の排除
といった組織運営の問題が話題に上がっていた。
それが今回の選挙結果に響いているように思える。
近年はセクシャル・パワー・カスタマーハラスメントに対する人々の反感が強くなっているのは皆さんご存知のはずだし、政治の場にも上がっているはずだ。
東京都がカスタマーハラスメント問題に対して国政より先行して動いているが、そういう世論を国政政党はどれだけ読み取って選挙戦や日頃の党運営に反映できていたのか。
オープンな意見交換が日常的でなく風通しの悪い組織に政権を任せられるのか、という有権者の素朴な疑問に答えられない政党が国政選挙で躍進するはずがない、と思わざるを得ない。
今回勢力が伸び悩んだ・後退した党派をみると、ハラスメントへの関心や意識が低いように有権者から見えたのだろう。
22世紀の民主制において、最低限あらゆるハラスメントに思想信条問わず支持者も関係者のNOに運営側が誠実に向かい合わなければ失格、という時代になっているのではないか。
有権者は決して『愚民』なんかじゃない。
2:共産党について
今回は主に共産党について感じたことを書いていく。
①『刺さらなかった』公約
先に『処分』を受けた神谷貴行さんのブログをはじめとして、共産党を支持してきた方々が今回の選挙活動について違和感を表明していた。
お金より時間が大事なのか?という。
お金の問題をメインにして票を掻っ攫っていった国民民主党、そして、インフレなど生活苦に喘いできた人々の票を掻っ攫っていったアメリカ合衆国のトランプ50代大統領をみれば、貨幣経済である現代社会でカネが最強という現実を忘れてしまったように私たちから見えたのが共産党の幹部である。
物好きな自分は選挙期間中に見たこと感じたことをXにポストしていたが、共産党の政策についてモヤったものがあったので改めてここに置いておく。
神谷さんがブログでも書いていた内容だが、違和感を感じた方々は相当数いたのではなかろうか。
このパターンは、これまでの世論調査で社会保障や経済政策について政治の場で議論して欲しいというアンケート調査が散々出ていたにも関わらず、いざ国会が始まると『政治とカネ』問題や日程闘争や問題発言がピックアップされてしまい、野党支持者もそこを攻めることに熱を上げがちな『いつものパターン』にでも見られがちである。
②共産党の高齢化
2022年の参院選の時にも感じていたが、支持者や選挙運動・日常の活動でも動ける人たちが高齢化しているようにみえたが、実際党の支持者のみならず党員も高齢化が進行しているようである。
以前、Xに悪戦苦闘する高齢党員の話題が赤旗で紹介されていたが、最近だと現代のネチケットすら危うい人が悪目立ちしていまうほどインターネットの世界に暗い人たちが党関係者に多いんじゃないかと思わざるを得なくなっている。
ただでさえ右翼や保守の方がインターネットに強い傾向にあるのに、だ。
ある時は寒空の下で『フェミブリッジ』という横断幕を掲げていた高齢の運動員をみたこともある。
本当にそれでいいの?と思ったのが記憶に残っている。
③閉鎖的体質と除名・除籍問題
共産党は『革命政党』として成立し、過去には武力闘争を辞さない姿勢まで取ってきた。2024年の今は国政選挙や日常活動を通して政治的活動を行い、例えば千葉市では学校へのエアコン導入といった実績をあげている。(参考:大野たかし氏のnote)
だが、『民主集中制』という制度を党として採用し党を運営している中で、異論が封じられ時には排除されたり『なかったこと』にされたりすることがある。
その典型例が松竹伸幸さん・鈴木元さん・神谷貴行さんへの『処分』である。
党中央の方針が上意下達で現場に下され、現場が党中央に異議を唱えることが許されない空気が党に蔓延しているというのは由々しき事態であり、20年以上党の顔として党を牽引してきた志位和夫氏はじめ党幹部の責任は極めて大きい。
このような体質の党が仮に政権を獲得したらどうなるか、という人々の不安に党はきちんと答えてきたのか?
それも、言葉ではなく行動で。
そもそもの話だが、今の共産党の組織の在り方に影響を与えたのはかつてのソ連共産党(ボリシェビキ)であり、特に『革命政党』として党を率いてソ連に君臨してきたレーニン・スターリンの影響が今なお残っているといっても過言ではないだろう。
(旧ソ連共産党についての参考書籍『スターリン』)
鈴木元氏が自著で(シェアは高くないが)それなりにネームバリューがある産経新聞に取り上げられることの影響力の大きさについて触れていたが、いくら赤旗の関係者が厳しい労働環境の中社会問題や政権与党の醜聞について奮起しても、産経新聞に出ることで党の問題を一般の方々から懸念・批判され、それが赤旗以上に拡散力があるという現実を忘れてはいけないと思っている。
④遺恨:かつての『新左翼』〜れいわ新選組
2024年衆院選では、れいわ新選組との確執がXを中心に炙り出された。
数年前は『野党共闘』『オール沖縄』の大義名分のもとで選挙協力や立候補者の調整もあった記憶があるが、今回はそれが崩れた格好。
ここまで言うか、と強い違和感を感じた。
(参考ポスト『オール沖縄』について)
だが、時々右翼クラスタで話題になっている『新左翼』のれいわ新選組への接近のことと、かつて共産党から『新左翼』が分離独立し抗争を繰り広げた歴史を思い出せば、確執があるのも必然ではなかろうか。
新左翼:Wikipedia
参考リンク『中核・革マルは共産党の分派なの?』(2006/06/14『しんぶん赤旗』掲載分の電子版より:日本共産党)
3:個人の感想=これでいいのか?共産党
ここに書いてきた内容はあくまでもXを中心に交わされてきたみなさんのご意見や主張をベースに個人の感想として書いているが、根本的には政策のミスマッチやハラスメント問題、除名問題など、党運営の問題が今回の選挙結果に響いているように見える。
党幹部が人々の中の『アレルギー』に向き合ってきたのか、適切に対応できたのか、疑わざるを得なくなっている。
本当に大切なのは、一人ひとりの国民が貧困やインフレや見えない圧力に苦しまず幸福な生活を送れる社会つくりではないか。
党利党略・党派間の覇権争いが大事なのか?
そこを国民が見抜いていた、そう思わないのだろうか。
どちらかといえば左翼〜リベラル(保守本流)に近い価値観を持ち続けてきた自分だが、流石に今回取り上げた共産党をはじめとする左翼・リベラル党派の体たらくは強く批判しておく。
灯篭の斧といえばそれまでだが、そうしておかないと若い世代の人たちにロクでもないものを遺してしまう、と思っている。
特に若い人たちと趣味やラジオを通じてつながっているだけにそう思うのである。
よりマシな組織にして、よりマシな世の中にするために、共産党はじめ左翼・リベラル党派には奮起して欲しい。
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