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『タクシー不足』は真っ赤なウソだ!:黄昏のタクシー業界にまつわるエトセトラ・その5

過去分はこちらからもどうぞ

2024年の忘年会シーズンが近づいている。
またぞろ『タクシー不足』とか『空車が足りない』とかメディア(マスメディア、バイラルメディア)がラッシュ時間のタクシー乗り場や繁華街といった『絵になる』スポットだけをみて騒ぐのだろう。
一般の方々も「そうなんだ不足してるんだ」「足りないならライドシェアとか駆り出してでもなんとかできないか」と思うだろう。
だが、メディアが触れ回ってきた『タクシー不足』は

『真っ赤な嘘』

だと言っておきたい。
だが、それと合わせて、私たちタクシー業界全体でできることはないのかについても、『下手の考え休むに似たり』で引き続き思考実験として考えてみることにした。

1:ライドシェア待望論について

(前回分)

パンデミックから数年を経て、タクシーに乗り始めて8年目と決してベテランというほどではない自分の眼からみると、タクシー業界が(特に経営層)乗客がどんどん使ってくれたマイカー普及前の時代〜平成バブル時代までの成功体験に囚われているように見えるようになった。


需要の変化・労働市場の変化が起きている今なお、
・過当競争でも供給を増やすのが良いという発想
・運転手は一山いくらで代わりはいくらでもいる
という感覚がタクシー業界に残っているのではないかと思うことがままある。

これは以前勤めていた小売業界でも見られた減少に似ていて、いわゆる『オーバーストア』状態でも顧客を囲い込むために他社が出店している地域でも出店していき、元々他業種より低い賃金や非正規雇用の労働者に依存しカスタマーハラスメントの問題があっても『お客様は神様』と問題に目を瞑り『なかったこと』にして『水に流す』ことを続けてきた結果、他業種への人材流出・人手不足・入職者減少…という結果を招いている。

また、例えば国策としての外国人観光客誘致やマイカー・シェアサイクル・電動キックボードなど移動手段の多様化が起きている中、乗客の減少→収入の減少→生活習慣の変化を受けたタクシー需要の変化・減少…を受け、
・全体的な需要減少
・タクシーの時季・時間帯による需給ギャップの拡大(利用集中時間帯の供給不足と拡大傾向の閑散期における供給過剰)
・地域における供給過剰/不足のギャップ
の問題が見られる。

収入減で去っていった運転手や動かせない車両の供給と需要の隙間を埋める『日本版ライドシェア(NRS)』や、バスや民間事業としてのタクシーが撤退するほど需要が減少した地域によっては『公共ライドシェア』が始まり需給ギャップは解消に向かっているが、根本的解決というよりも(特にNRSは)弥縫策にすぎないのが『ライドシェア』の現状である。


ただ、タクシーが広く普及してきた日本と異なり、タクシーが日本ほど機能せず(例:治安、モラル)ライドシェアが普及している国・地域からの訪問客には日本のタクシーよりもライドシェアが自然かもしれない。
現在の日本のタクシーが新しい時代に対応した人材の育成や新しい需要への対応に進まない中、ライドシェアについてタクシー業界の変革・改革への圧力とみることもできる。

今のタクシー業界は例えばインバウンド客の増加など、需要の変化に適切に対応できているのか。
タクシー業界が外国語が話せる運転手を積極的に支援・採用しているのかも疑わしい状態である。
所詮は『一山いくら』で運転手は『代わりはいくらでもいる』という時代の感覚から脱却できているとはいえず、業界団体が『しぶしぶやっている』ようにしか見えないほど新しい環境への適応に乗り気でないのがうかがえる。
むしろ、今まで通りのやり方を繰り返せばなんとかなると思って安穏としているとみられても致し方ない。

ビジネスモデルの問題の他にも

・職業運転手の責任が小さい事故や『貰い事故』でも運転手の非をあげつらい処罰しがちな交通法規の運用や法規自体の趣旨の問題
・人々が運転手について『誰でもできるから』と軽視してきた歴史

など、諸々の積み重ねやミックスからくる『改革』待望論がライドシェア待望論につながっているように見える。

ライドシェア反対派・賛成派の主張、どちらも自分からみれば道理があるように見えるが、結局のところは乗客など『外野』の世論がどっちを取るかで落ち着くのだろう。

それ以前に、大都市でも地域によってはタクシーが消えるかもしれないという現実を忘れてはいけない。

営利企業であり続けてきたタクシーなどの乗り物が、採算が取れず事業継続不能となり消える地域では『公共ライドシェア』が主になるのだろうか。


また、ライドシェア反対派の中には外資系企業への富の流出や租税回避の問題について批判している向きがあるが、以前からのTPPなど国際的な動きと日本国内の反応や排外主義の一形態が『攘夷』だった歴史を思い起こせば、反対派が往々にして『攘夷』に傾きがちな点は大いに懸念すべきである。

2:労働環境について

①勤務時間

今年(2024年)5月に天神・警固公園の近くの福岡市中央区今泉で起きたタクシーの自損事故から考えてみる。

この事故は第一交通の隔日勤務の人が起こしてしまった事故だったが、
・タクシー運転手が年寄りだらけになった理由
・運転手が減った理由
・隔日勤務(1回あたりの上限拘束時間が22時間までの1日目朝〜1日目深夜or2日目夜明け前までのカレンダー上2日の勤務を1回としてカウントする)をはじめとするタクシー運転手の勤務シフトの運用が時代に合っているのか
まで考える必要がある、とふと思った。


【参考コメント:首藤若菜さん(立教大教授=労働経済学)、一部のみ抜粋】

『…実際、多くのタクシードライバーが隔日勤務(始業と終業が同一日に属さない勤務形態。2労働日を1勤務にまとめて行う)で働いていますので、この働き方ゆえに事故が起きたとは言い切れません。』
『高齢化が加速度的に進むなかで、従来と同じ働かせ方でいいのかどうかは、検討の余地があるように感じます。』

自分の個人の感想を書いておく。
上に述べたパンデミック後の需要変化に応じた勤務体系の構築を労使で考える必要があるのではないか。

現在多くのタクシー会社で採用している『変形労働時間制』の運用を変え、

・繁忙期・閑散期のシフトを組み直したり融通が利きやすく(売上が上がりやすい日に集中して働ける)する
・隔日勤務の場合は半日勤務+残り半日を別の日に振替
・バスなどで導入されている『中休み』(午前中勤務+午後長めの休憩+夕方勤務)の検討
(フレックスタイム制に近い運用)

など、お客様や運転手の意見を基にご利用実態に合わせた運用をすれば、お客様のラッシュ時間帯の利用をカバーしたり需要変動に対応できる余地がまだあるのではないかと思った。
既存の運転手を暇な時季・時間帯に無駄に働かせるよりも、繁忙期や繁忙時間帯にやる気を引き出してしっかり働いてもらえるようにすることを考えるのが大事ではないか。

参考リンク
変形労働時間制について

フレックスタイム制について


今までのやり方を漫然と続け、変化に対応できないままNRSや非正規雇用による欠員穴埋め、無秩序な増員など付け焼き刃的対処を繰り返せば、タクシーのみならずマイカーや新しい移動手段と競合する乗り物は消滅するリスクがさらに大きくなる。

参考までに、タクシー会社の勤務パターンの例をあげておく。
タクシー運転手の勤務実態についての皆さんのご理解の一助になれば幸いである。

【勤務シフト例】
隔日勤務:3ヶ月で36回(夜勤明けの日を含めて72日)乗務・1ヶ月12回乗務
日勤勤務:毎月22回(22日)勤務・週4回乗務
【勤務シフト・実際の運用】
・会社側はカレンダー上で勤務サイクルを決めて割り振る
・運転手は連続勤務の上限(例えば隔日勤務だと7連続勤務まで)を踏まえて出勤日を変える(例:木=明け・金土=休日→金曜勤務日に変更)
・暇な日や用事がある日は有給休暇を取る(隔日勤務は2日消化)

【運用変更イメージ・隔日勤務の場合】
繁閑に関係なく自動的に12回乗務×3ヶ月→
夏期(7・8・9月):7・8月の乗務日を増やせるようにご利用が減る9月の勤務日から1回分振り替えできるようにする
秋冬期(10・11・12月):10・11月の勤務日から12月に1回分振替振り替えできるようにする

【運用変更イメージ・日勤勤務の場合】
繁閑に関係なく月〜木乗務・金土休み・日曜乗務
→月・火休み:水〜日勤務
という選択権を乗務員が行使できるようにする

※あくまでもイメージであり、労働者側に決定権がある場合を想定している。実際にはインターバル規制や休日規定、時間外手当などの規制を考慮する必要がある。

②労働組合

タクシー会社にもよるが、タクシー運転手も労働組合に入っている。
タクシー運転手の労働組合の全国組織は、
・全自交労連(連合:立憲民主党などに影響力あり)

・自交総連(全労連:共産党に影響力あり)

のふたつが主な組織である。

2024年現在、労働組合加入率は他業種より高め(約34%)だが、一匹狼的気質で休みもシフトもバラバラののタクシー運転手が、いざという時まとまって運動できるのかどうか、が問題だろう。
また、各組合の支持政党が国政選挙でどれだけ議席を獲得できるか、の問題もある。
立憲民主党が基本的に保守本流路線の系譜であることと共産党が共産主義体制と資本主義体制の対立歴史を受け継いでいることがポイントだが、(別のnoteに書くが)近年特に共産党の組織の弱体化が大きなネックであることは懸念すべきである。
また、タクシー会社・労働組合・労働者個人・業界団体の各者が、時代の変化やお客様のニーズの変化にどれだけ対応できるのか、労働者同士で助け合う風土つくりができるのか、お客様の声にこれまでよりもっと積極的に耳を傾け自らビジネスモデルを改善できるようにする必要があるのではないかと思うのである。


3:運賃について

現在のタクシーの運賃は、以前も書いたが人件費(主に給与や社会保険料・税)、燃料費など経費を積み上げて利益を上乗せする『総括原価方式』で決まる仕組みである。

また、現在の多くのタクシー運転手の賃金は売上に比例して賃金が変動する『歩合制』が主だが、公共・公益性を求められる交通機関には合わない部分もある。
例えば福祉割引の運転手負担や身障者対応など、額面上の売上にはつながりにくいが手間が必要なケースもあり、自分も含めてこれを敬遠する運転手も多い。

バリアフリー法以前のように公共・公益性をばっさり切り捨てて営利企業だと開き直れば簡単だが、バスが減便したり介護タクシーが使われていない現状をみれば、営利一本やりでやっていくにもいかなくなっている。

『総括原価方式』がベースにあり、認可制である運賃制度の影響もあり賃上げが難しいように思える。

労働者の低賃金や燃料費高騰対策として、また、事業継続のためにも、いっそのこと運賃を自由化してしまえばいいじゃないか、とも思うが、自由化するとどうなるのか…
出鱈目に運賃を設定すればあっという間に悪評が広まるのは確実だが、特に賃金部分を少なくとも最低賃金・できれば賃金+生計費+租税公課まで組み込んだ賃金相当額から逆算し、現代の水準で原価計算し直して運賃を設定できないのか、それを考える時期にとっくに入っているのではないか。
日商簿記2級の工業簿記くらいかじっておけば、この原価計算のことは理解できるはず。
(ちなみに通関士の課税価格計算にも『総括原価方式』に似た仕組みがあり、時々試験に出る)

ここからは個人の妄想だが、
・流し+タクシー乗り場待機車利用(予約なし)初乗り運賃引き上げ(¥1,000)+福祉制度利用は現行通りの1割引
・予約割(電話1割引、アプリ2割引※アプリの場合は一旦メーター通りで精算し後日キャッシュバックや引落額から差し引き…)の導入
・アプリ予約・電話予約での福祉割引率アップ
・アプリ予約の濫用へのペナルティ制度(自己都合キャンセル=一定時間予約禁止、キャンセル料の運転手への還元:ウーバーに類似のシステムがある)
・究極的には福祉割引や自治体の割引券の民間事業者での利用廃止+公営タクシー限定化
という案も改めて検討されるべきではないか。
過去に検討されてお蔵入りしているのかもしれないが。

4:無線配車について

アプリ予約が普及する前は、タクシー会社や予約センターに電話して予約し、お客様の位置に最も近い(ということになっている)車両に無線で予約情報を送り迎えに行く『無線配車』が主だった。
コロナ禍前から徐々にアプリ予約が始まり、2024年秋の時点では
・Uber
・GO
・DIDI
・SRIDE
を中心とするアプリ予約が普及している。
(現在は東京・日本交通グループが中心のGOが最も使われている)

かたや従来の無線配車・電話予約は、
・長年の得意先
・高齢者などアナログ世代
・その他アプリ予約やインターネットが使えない環境の顧客
が主となっている。

アプリ予約では掛け持ちによる車両の拘束と同時キャンセル(例えばレストランで掛け持ち予約+同時に他店の予約をキャンセルする)が第一線の運転手にとっては迷惑だという問題や、キャンセル料がUber以外運転手に還元されないという問題、アプリ自体が運転手にとって使い勝手が良くないという問題がある。

かたや無線予約は、生活習慣の変化により短距離利用が増加していたり、ラッシュ時に拘束されることによる売上アップにつながりにくくなっている『機会損失』の問題がある。
なによりも無線予約を利用してきた顧客が大幅に減少し機器類の更新もままならず、全国組織が解散する状態になっている。

無線システム自体の通信規格は新しいものに移行し始めているが、GOアプリを運営するGO(東京日本交通グループ)の一強状態になるおそれがある。
あとは電脳交通(徳島市)が地方の中小規模の事業者の無線予約を受託しているが、従来より使い勝手の点で問題があるという話を以前中国地方のフォロワーの方から伺っていて、一概に外部委託すれば良いというわけではない。
特に地方の中小・零細事業者の経営体力の低下や市場縮小が、無線予約システムの衰退という形でも表れている。
地方エリアの場合は、無線組合や事業者の統合やアプリ予約推進も必要になるだろう。

5:福岡地域の状況について

①地域全体の需給

福岡のタクシー業界は体感的には供給過多傾向で、福岡地区は国交省・九州運輸局がタクシー特別措置法(道路運送法の特例)に基づいて新規開業やタクシー増加の制限をかける『準特定地域』になっている。
(福岡地区は数年前は台数削減も可能な『特定地域』になっていた)

参考リンク:タクシー特措法の『特定地域』について

『特定』『準特定』とか、それぞれの定義についての説明が『ザ・お役所言葉』なのでほとんどの人には分かりにくく伝わりにくいが、
『特定地域』=タクシーの台数が需要に比べて多すぎてもはや増やせない、むしろ減らす方がいい:例=仙台市周辺
『準特定地域』=タクシーの台数を現状より増やすと供給過剰になるおそれがあるので、新規参入を認めるのは難しい:例=福岡市周辺
と見てもらえるとよい。

参考リンク2


個人的にはパンデミック中からの人々の動きや移動手段・生活スタイルの変化を見ていくうちに、タクシー需要は引き続き全体的には減少するとみるようになった。

先日会った先輩の話では
・初期費用が数百万円かかるとしてもライドシェアにも対応できる可能性がある個人タクシーを選択肢に入れておくとよい
・選択肢のひとつとして考えられる介護タクシーは一般タクシーより高い費用負担がネックで需要が広まらず一般タクシーに流れている
とのことだった。

②外国人客への対応

参考リンク:福岡地域での白タク検挙事件について

先頃、福岡地域で外国人観光客を送迎していた『白タク』が検挙された事件について電子版の記事が出ていた。
その中で、観光客が日頃使っているであろう配車アプリの(おそらく通信速度や機器の仕様、Wi-Fiなどの)通信環境の問題と合わせて、福岡地域のタクシー運転手のうち外国語対応ができる運転手がどれだけいるのかというデータが出ていた。

有料部分から抜粋すると、福岡市タクシー協会によれば
'24年3月時点での加盟会社のタクシー運転手約5900人のうち、
・中国語が話せるのは16人
・韓国語は26人
・英語は51人
とのことだった。
本当ははもっといるんじゃないかと思っているが、正直に言えばタクシー協会もタクシー会社も「誰かいい人がこないかなぁ」「パッと突然現れないかなぁ」という『待ち』の姿勢であり、福岡地域は業界自体が人材発掘・登用に消極的である。
自分は英語・韓国語を独学でやっているが、アピールしたところで収入アップや転職に有利になると思えず、観光客が自ら日本語を簡単なレベルであっても学習してきている以上、業界団体が東京地域のように接遇研修を取り入れ、各社が優遇制度を導入しない限り今以上の改善は望めない。

自分の眼からみると、結局のところタクシー協会もタクシー会社も、
・毎日の変動を乗り切ることや目先の客を右から左に捌く、売上をアップさせるために運転手をこき使う以上のことができていない
・自社/協会加盟各社の利益を守る以上のことは考えきれていない
ようにみえる。
その隙を狙っているのがライドシェア推進派ではないのか。

③賃金そのものについて

Xユーザーの方々の中にはタクシー運転手の方も多く、東京23区エリアで働いている方がよくポストしている。その方達が売上が良かった日の日収(1日あたりの売り上げ)や売上が大きく上がったケースをポストしている。
1回(隔日勤務だとカレンダー上2日)の勤務で10万円売上が上がった、東京都心から例えば成田空港付近までお送りして数万円一気に売上が上がった…などという方がいる。
これは南関東の都市圏が広域的で、東京都心まで/から鉄道で30分〜1時間かかるところお客様が終電後だったり早朝の航空便に合わせて動くなど、ある程度の距離をドアトゥドアで効率的に移動したい需要があるからできることである。
福岡地域は南関東に比べると都市圏が狭く、相対的に薄利多売・売上や年収も低くなる傾向がある。

東京地域の日収が6万円だったのを以前見たが、実際のところはXで売上高や給料支給額(総支給・手取り)を公開している人たちはおそらく全体の上位数%くらいで、実際は高めに見て彼らの70〜80%くらいが妥当な金額だろう。

参考リンク:全国ハイヤー・タクシー連合会

例えば福岡地区は23区の70〜80%くらい(1日あたりよくて5万円前後)なので、福岡地域以外の地方部(特にマイカー社会でタクシー需要がさらに少ない地域)では東京地域の金額から60〜70%程度だとみる必要がある。

個人の感想をさらに続ける。
全国的に似たような傾向なのかもしれないが、パンデミック後には全国で20万人程度まで減っているタクシー運転手の賃金の実態は、
・専業で家族を養える:上位数%
・共働きだとなんとかなる:全体の半分から7割
・副業や年金収入がないと生活できない:残り2割から半分
ではないかとみているが、
現状は上位数%は安定した売上を確保し勝者総取り化が加速し、残りはよくて現状維持・売上減少でとどまればまだマシで、退・転職、廃業も続出しかねない。
元々賃金水準が他業種より低いタクシー運転手は今後は老齢年金や不動産賃料など別の安定収入がある人しか務まらない『副業』になるとみている。

この記事を書くにあたってライドシェア推進派の方々のnoteやXのポストを拝読してみたが、ライドシェアの運転手の『本業』が何なのかについての想像力が欠けているように見え、自分たちの足が使いたい時にいつでも確保できれば良い、という感覚以上のものが伝わらないのが気がかりだった。

自動車運転手(特にタクシー)を誰でもできる簡単な片手間仕事レベルで見ている人が本当に多いんだろうなぁ、と痛感している。
ドライバーをその程度で軽視してこき使ってきた挙げ句の果てが『2024年問題』で右往左往している現状である。

(余談)
人はなかなか生活習慣を改めにくいもので、パンデミック前に加入していた生命・医療保険やスポーツクラブの料金プランも見直し、ネット配信などの定額制(サブスク)も利用頻度が低いものは解約したが、パンデミック中の収入の大幅減少(平時の半分〜3分の1になった時期も!)からの回復が進んでも以前から10〜20%減少したままで推移し、クレジットカードで生活費をやりくりせざるを得ない状況である。
今後はさらに余暇費を削ることにはなるが、金のかかる趣味から見直しをすることになるのは確実である。

こういう傾向が全国的に広まっていれば、趣味で関わっているレジャー産業自体がある程度カネのある中間層以上のものになり、大衆化から二極化へ移行し二極化に対応したサービスに変化していくことになるだろう。
その兆しは、東京ディズニーリゾートの近年の入園料の改定に現れている。


④後日談:他地区との比較(2024/11/14追記)

2025年の福岡地区のタクシー業界について、
・乗客数の推移
・ライドシェアの拡大
・売上の回復/現状維持/減少が読めない
という状況について自分の中でモヤモヤしている。
私的な趣味(スキューバダイビング)についての支出が1年でメンテナンス費用や保険料・登録料などで10万円程度と比較的大きく、2025年の推移次第で2026年以降継続する否かを考える必要があり、そのあたりの事情について、同じスキューバダイビングが趣味で同じショップで世話になっている西日本地区の同業の人と先日昼20分ほど時間をもらって電話で話をした。
おかけで気は楽になったが、
・同業の人が働いているエリアでは供給(稼動台数)不足により需要に対応できていない
・そのエリアでの月収=1ヵ月あたりの売上は福岡地区の3分の2程度
という状況であることを知った。
また、ライドシェアについては、その人の勤務先のお得意様の方の意見では普及まであと数十年はかかるだろうとみているという。
だが、制度改定や政財官界へのロビー活動次第でどう転ぶか分からない、と自分は話した。
また、自分の勤務先の事情については、
・社長が人件費に手をつけたがっている
・最低賃金アップに合わせて足切り(ノルマ)を引き上げる
・給与体系をボーナス相当分込みの月収になる(業界ではB型賃金という※)ようにして、ボーナスシーズンの資金を圧縮するつもりではないか
※近年このパターンを採用する福岡地区のタクシー会社が増えている=これは自分の勤務先の労働組合の人から聞いた話
・だが労働組合との交渉があるのでどうなるかは不透明
と話をした。

2025年の福岡地区のタクシー業界はどう転ぶのか。
感じたことや気づいたこと、何かしらの動きについては改めて書きたい。

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