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植物工場:クリーンルームを無菌と誤解させる…嘘か無知なのか!?

クリーンルームで栽培しているので、“無菌”です!
よく植物工場で「クリーンルームで栽培しているので、“無菌”です!」ということを言う企業がありますが、これは「認知の差異」を利用したキャッチコピーに過ぎないという印象で、個人的な印象ですが、知っていっているなら“嘘”、でなければ、全く仕組みをしらない“無知”によるものだと感じています。

イチゴの植物工場を対象でいうと、工場内には受粉用のハチも入っていますし、企業によっては培地を言われている栽培するための土台に、苔を乾燥させたピートモスを使ったりします。ピートモスは菌の塊とも温床とも言える存在です。そもそもイチゴの植物工場内は生き物が複数存在する空間なので、無菌状態になるはずがないのです。

クリーンルームというと半導体を製造する工場だったりを想像する人が多いため、=無菌というイメージを持ちやすいと感じます。よって「ああ、無菌だよね」と勝手にイメージから連想する状況が多いように感じますし、実際に多く経験しました。
半導体のクリーンルーム ≠ 植物工場のクリーンルーム なのです。

既に多くの菌がいる栽培エリアで、如何に病気を出さないように栽培ノウハウを構築するかがイチゴの植物工場スタートアップの腕の見せどころです。
“無菌”だと言っているようでは、“嘘”か“無知”によるものなので、この難しい課題をクリアすることは不可能だと考えます。

無菌だから長期間、腐りません!?

イチゴは追熟しない果物で、収穫した瞬間から味の劣化が始まります
無菌が要因ではなく、何らかの保存方法で長期間保存できたとしても、味の劣化は進行し、どんどん美味しくなくなります。
また保存に適した傾向のイチゴというのもあります。
その判断基準となるのは、“果皮の硬さ”と“糖度”です。
果皮の硬さ、つまりイチゴ自体の硬さが保存に影響し、硬いほど長期保存できます。日本の一般的な柔らかめの食感のイチゴは長期保存に向かず、アメリカ産のような齧るとカリッとするようなぐらいの硬いイチゴは長期保存に向いています。
もうひとつ、糖度が高くなると長期保存は難しくなり、痛みが早くなります。これも前述の日本産とアメリカ産のイチゴのような関係になります。

一般の人は、イチゴに関しての情報やその特性を理解している部分が少ないと思いますので、専門家のように見える人から説明を受けたら、そのように信じてしまうこともしょうがないと思います。
ただし、“嘘”を認識して、説明しているようでは消費者だけでなく、投資家にも大きな問題を抱える可能性があると認識します。


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松田祐樹@MD-Farm
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