イチゴの植物工場で必須となる技術
イチゴの植物工場は、難易度が高く、挫折しているところも多いです。
また初期段階の栽培で成功していても、あくまで小さなスケールでのもので大規模化はできなかったり、大規模化しても問題を抱えたままというケースも見られます。
まず最初に必要となる基本的な技術をいくつかご紹介したいと思います。
1、大光量のLED
一般市販品のLEDでは光量が低く、安定的かつ「なり疲れ」をしないで連続的に収穫することは不可能と見ています。よってイチゴの栽培に適したLEDの入手とその運用ノウハウが必要となります。
様々なメーカーから、イチゴ栽培できますという触れ込みのLEDの売り込み等がありますが、実際は性能そのものが不足していたり、運用実績のない誇大広告的な紹介なので、そのまま鵜呑みにすることは危険です。
2、無機質の培地で育てられる技術
一般的な施設園芸では、ピートモスやヤシガラ、土などの培地を使って栽培するのが多いですが、そのままだと培地自体が病気の発生源になったり、培地から害虫が発生します。閉鎖型環境ではそれらの発育にもよい環境となる傾向が強く、あっという間に広がります。
よって無機質の培地をコントロールし、病気・害虫の発生源をカットしつつ、イチゴを安定的にかつ美味しく育てる栽培技術の確率が必要となります。
3、閉鎖型環境での受粉技術
一般的に閉鎖型環境の中では、蜂は受粉行動をしないというのは通説です。蜂の生態行動を理解し、蜂による受粉を室内で行う環境を作る技術が必要となります。
ここでご紹介した3つの基礎技術は、あくまで初期段階のスケールの小さな栽培室でイチゴの栽培を行うときに、最低限必要となる技術です。
これが確立できたとして、単純にスケールアップできるわけではなく、更に別な技術的ハードルが待ち受けています。
葉物野菜の植物工場は一番簡単で容易なものと位置付けされると、その対極にあるのが「イチゴ」になります。おそらく植物の中で最高に難易度が高く、経験や知識及び資金がないと手を出すべきではない植物になります。
(イチゴに比べると稲などのその他の植物は比較的容易な作物という認識です)
個人的な感覚ですが、大規模化にスケールできるイチゴの植物工場の開発には少なくとも10億以上の研究費が必要となる印象です。
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